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ここまで好きなものがある私の人生は、幸せだと思っています クライマー遠藤由加さん/12days to 彼女たちの山

【12days to 彼女たちの山】
2023年3月14日に出版した『彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか』(柏澄子著、山と溪谷社刊)を紹介するシリーズです。
出版前に20日間かけてSNSなどで拙著に登場する女性たちを紹介したものを、ここに再録します

クライマーの遠藤由加さんには、第1章に登場いただきました。
ここでは、由加さんの自著を紹介したくご本人ではなく本の写真を載せます。

由加さんは「SNSには好きなように書いて」と言ってくれたけれど、言葉になりません。

初めてお会いしたのは、三つ峠での取材。1990年代後半だったか?
由加さんが懇意にしていた木村東吉さんと三つ峠の岩場を登るのを、編集とカメラを兼任したのが故敷島悦朗さん(私の大好きな先輩でした)、私がふたりのやり取りを文章で収録。

随分経ってから由加さんが、「あのときキュロット履いてきたでしょー。女の子やなー」みたいなコトを言っていたのですが、私……キュロットって持っていないし、膝丈短パンというヤツでしょうか?由加さんが思うほど、オトメではありません(笑)。

四川省の双橋溝というエリアにあった未踏の岩壁を一緒に登りに行く機会もありました。

言葉にならないのは、私が由加さんを好きすぎて、強い憧れがあり、彼女からもらったものを私はまだ自分の血肉にしきれていないからという結論に至りました。

『彼女たちの山』の少し前にも、由加さんをインタビューしました。国立登山研修の年報「登山研修vpl.33」(2018)の50周年特集に「女性の登山指導者にまつわること」という文を書いたときに、登場いただきました。
ちなみにこの時も今回もインタビュー場所は同じ、クライミングジム・パンプ2の2階にある休憩室です。

今回は、由加さんが山野井妙子さんと登ったチョ・オユー南西壁スイス・ポーランドルートのあと、ヒマラヤには区切りをつけフリークライミングへ没頭していくことを書きました。50歳半ばを越えたいまも、昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分……自分をプッシュし続けています。それは、まったく容易なことではありません。
けれど、とても由加さんのことを書ききれなかったなあと思っています。それで本人の著書を出すのは、書き手として卑怯な気もします。でも、やっぱり描き切れませんでした。

繰返し原稿のやり取りをするなかで、由加さんはいつも自分のことを「変人だ」と言うのですが、変人なのでしょうか……?私には至極まっとうな人間のように見えます。それはクライマーとしてもまっとう、社会人としてもまっとうということです。
自分の描くクライミングを目指して進む姿勢はクライマーとしてまっとう、社会で働き自立心のある生活をしている姿は社会人としてまっとう。
これ以上のまっとうはあるのだろうか?とすら思います。

そして、本書の帯に由加さんの言葉を載せました。「ここまで好きなものがある私の人生は、幸せだと思っています」(遠藤由加)

由加さんの著書はこちら。古本屋さんやネットにもありますよ!
『青春のヒマラヤ―ナンガパルバットへの道 』(1989)
『きっと、また登る』(1998)
『ロッククライミング・タクティクス50』(1998)

由加さんの愛読書と自著、インタビューが載っている書籍


そして……先日、ロストアローが運営するThe Tribeを訪ねたら、何人かのクライマーのそれぞれの愛読書を並べたコーナーがありました。その中に由加さんの書棚もありました。拙著と一緒に、上記3冊、さらには由加さんのインタビューが載っている『彼ら挑戦者』 『岳人備忘録』や由加さんの愛読書もありました。

『彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか』(山と溪谷社、3/14発売)


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