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インターネットは僕を守ってくれた


#はじめてのインターネット
このタグを見て、真っ先に頭に浮かんだのが「チャット」だった。

このチャットが、知らない人とつながる安心感を教えてくれた。
そして、僕を守ってくれた。

チャットにドはまりした

今から約15年前、僕が中学生のとき。
自宅にデスクトップPCがやってきて、新しいもの好きな兄がイジイジして知識を吸収しまくっていた。

その知識を余すことなく僕に教えてくれて、その中の一つがチャット。
名前何だったっけな?「ぱらちゃっと」だったかな?
とにかく、インターネット上のチャット部屋みたいなもので知らない人と会話をするというもの。
匿名掲示板にイメージは近いのかな?

ちなみに、実家を出るまで、僕の知識の大半は兄が教えてくれたことだった。携帯電話、修学旅行のいい過ごし方、友達の恋愛事情など、勉強以外の知識は兄の受け売りともいえるような状態。

学校の授業で少しはPCに触っていたので、PC自体に特に驚きはなかったが、チャットは衝撃だった。
画面越しにどこかの誰かと繋がれること。名前も顔も知らない人と楽しく会話ができること。
知らない人と話すことが当時は考えられなかったし、それが自宅で可能であることが、わかるようでわからなかった。

中学校のときは、部活から帰ったらご飯、風呂以外の時間はずっとPCの前に座っていた。
そう、チャットにドはまりしていたのだ。

「ぱらちゃっと」というサイトの中に、年代や出身地別に部屋が用意されていて、好きな部屋に入室することができる。
あんまり覚えてないけど、10代限定みたいな部屋にずっといた気がする。

誰かが入室すると、お決まりのやり取りが発生する。

「こん^^」(こんにちは、の意)
「どこ住み?」(どこに住んでいる人ですか?の意)
「ノシ」(さようなら、の意)

自分で書いていて、懐かしさに思わず頬が緩んでしまった。
また、チャットで出会った女性とメールアドレスを交換し、メールで告白されたこともある。
「あ、ありがとう」しか言えなかったな。千絵ちゃんだっけな?会ってみたかったな。

ちなみに、僕は「COOL」という名前だった。テニプリの主人公越前リョーマの必殺技「COOLドライブ」から取ったものだ。
中学生的なネーミングがこりゃまたCOOL。

そんなわけで、僕はチャットにのめり込んでいた。
口数がそんなに多くない僕は、学校で友達と話す口数よりも、家で家族と話す口数よりも、キーボードで打つ文字数のほうが圧倒的に多かった。
そのおかげで、高校大学ともにタイピングはクラスで一番早かった。

では、僕がなぜチャットにハマったのか?
それを今になって振り返ってみると、「守られる場所があると気づいたから」なのかもしれない。

インターネットが自分を守ってくれた

中学生のころ、僕は学校の友達ほとんどからイジられるようになっていた。
小学校のころはそんなことなかったけど、中学に上がった途端に。

ここでいう「イジられる」とは、芸人的な愛のあるものではなく、むしろ揶揄されるような内容。
僕の外見や人とはちょっと違った話し方、弱気な性格など。
ことあるごとに難癖をつけられ、周りにいる人から嘲笑されるような毎日だった。

軽いちょっかいから始まり、ふとした時に後ろから椅子を引かれて転倒させられたり、その流れで教室や廊下を引きずり回されたり。
「文化祭の出し物を考えよう」と言われて集合場所に行っても、僕だけしかいなかったこともあった。好きでもなんでもない女の子に対し、大勢の前で告白させられそうにもなった。

僕は、意地だけでそいつらを追いかけ回してた。休み時間はそんな格闘の時間だった。
また、その意地から僕はいじめだとは思わないようにしていたけど、はたから見たらどう考えてもいじめだろう。

結果、僕は学校が好きじゃなくなっていた。
全員が敵に見えたから。
だから勉強を頑張って進学校に入学した。
進学校にいけばこんなことは起こらないだろうと思って。

その点、チャットはものすごく楽だった。
「知らない人」というのがプラスに働いた。

どこの誰なのか知る必要もないし、特に深い会話をする必要もない。
嫌ならすぐ出て行けばいいし、会話が弾んだらそこに残ればいいし。

また、みんな知らない人同士なので、それぞれがそれぞれに対して興味を抱きやすい環境にあった。
そして、荒らしのような人が来たらみんなすぐに察知して追い出そうとしたり、みんな退出して気にしないようにしていた。

つまり、自分を受け入れてくれるし、守ってくれる場所だった。
学校で嫌なことがあっても、キーボードで文字を打っていたら楽しい会話ができる。インターネット上で会話をしていると僕は安心できた。
中学生の僕にとって魔法のツールだったのだ。

インターネットは、守ってくれる場所を創造した

「インターネットは時間と距離を破壊した」という言葉がある。
それに加え、僕は「守ってくれる場所を創造した」と思っている。

現実世界で泣いている人も、インターネットの世界は笑える。
それでいいじゃないか。

15年前、画面越しに僕と会話をしてくれた知らない人たち。ありがとう。
あなたたちのおかげで、僕は安らぎを得ていたのです。

SNSが発達して会話がオープンになった現代だからこそ、クローズドの会話の意義を理解できる。
インターネットは、自分が晒される場所じゃなくて、守ってくれる場所なんだよ。

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