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挑戦しちゃう!? カナダ自転車旅!

海外旅行や語学留学先として、すっかりメジャーなカナダ。
今回ご紹介するのは自転車でめぐるカナダの旅です。
「カナダを自転車で、ってどういうこと?」
この記事は、そんなあなたに向けて書いています。

私が過去に参加した自転車ツアーを紹介するこのシリーズ。
今回は、バンクーバーを出発し、ロッキー山脈を超え、大西洋を目指す、カナダの自転車ツアーの紹介です。

個人で頑張るのもよいですが、ツアーなら、初心者や女性でも、いろいろサポートを受けられて安心。
でも、何の情報もなしに安易に参加するのはさすがに危険です。
この記事では、自転車ツアーについてだけでなく、カナダの観光や言語、そして日本観までカバーしています。

まずはしっかり情報収集。
読んでいただいた後で、「挑戦してみようかな」
そんな気持ちになってもらえたらうれしいです。

全長約7550キロ! 北米大陸横断では一番長い自転車ツアー Tour du Canada

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出典元:http://tourducanada.com/

自転車が盛んなカナダでは、大小さまざまな自転車ツアーが存在します。
今回ご紹介するのは、創立33年を誇るカナダ横断ツアー、Tour du Canada
走行距離7550km、トータル72日間の旅です。
期間:2020年6月24日から2020年9月4日
料金:$ 6078.54 (カナダ  1$=約73円 2020.8.4現在)
(飛行機代は含まれません。念のため)
公式サイト:http://tourducanada.com/
ルート:下図の赤線のとおりで、西はバンクーバーから東はセントジョーンズまで。

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ところで北米には大陸横断/縦断ツアーはいくつもあります。
現在最も北米で長距離のツアーは、TDAが主催する「NORTH AMERICAN EPIC」の14,040kmです。
こちらは北米大陸縦断ですね。
Officialサイト:https://tdaglobalcycling.com/north-american-epic

TDAでは北米以外でも、こんなツアーを扱っています。
アフリカ縦断ツアー「Tour d'Afrique」、走行距離は11,000km。
シルクロードツアー「Silk Route」、こちらは12,440km。
TDAは非常に長距離のツアーを取り扱っていて、これらのツアーについては9~12記事目で紹介予定ですのでお楽しみに。

●個人で自転車旅行はやっぱりあぶない? ツアーなら安心?

私が海外自転車旅でツアーをおすすめする理由は、やはりサポートにあります。
ツアーによってはテントや自転車を貸してくれるところもあるのです。
渡航のさい頭を悩ませるの荷物の量について、あるていど軽減できますよね。
Tour du Canadaではテントや自転車のレンタルまではありませんが、かさばる調理器具、自転車の修理キットは貸してもらえます。

●自転車が壊れたり、体調がわるくなったらサポートしてもらえる?

Tour du Canadaには自転車のメカニックが同行しています。
タイヤ交換など費用が発生する場合もあるので、そのつど相談してみましょう。
私はパンク修理をお願いしたことがありますが、そのていどであれば無料でした。
体調が悪くなった場合はサポーターが近くの病院を手配してくれますので、こちらも、ケースバイケースで相談してみましょう。

そして何よりありがたいのは、衣類やテントなどの大きな荷物を、まとめては混んでおいてくれる点です。
詰んだ荷物の分、ペダルは重くなりますからね、これは本当に助かります。

また、とにかくアジア人女性は小柄なこともあり、男性より犯罪のターゲットになりやすい。
ツアーに所属することで、たとえば突然の行方不明というケースでは、早めに気づいてもらうことが期待できます。
個人の自転車旅行だと、いなくなったことに気づいてくれる知り合いを作らない限り、数日、数週間たっても誰も探してくれません。
屈強な男性ならともかく、女性にツアーをおすすめしたい最大の理由はこの点ですね。

なお、自転車を飛行機に積む場合。
自転車を袋に詰めただけではNGなケースがあります。
私は国内便に乗せたことがないのでJALやANAがどう言ってくるかはわからないのですが、海外の航空会社を利用したときは、段ボールに梱包するようにと言われました。
自転車屋に相談すると、自転車が梱包できる段ボールを譲ってもらえることがあります。
ぜひ、事前に飛行機会社に確認しておきましょう。

義足のランナー、テリー・フォックスの足跡をたどる旅でもある

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出典元:https://www.alamy.com/stock-photo/statue-terry-fox.html

あちこちにあるので、カナダを旅行したことがある方なら、一度は目にする像です。
彼はカナダでは大変有名な、義足のランナー、テリー・フォックスです。
Tour du Canadaのルートは、テリー・フォックスが通ったコースとほぼ同じなので、道中何体ものテリー・フォックスの銅像を目にします。

テリー・フォックスは40年ほど前に、義足でカナダ横断に挑戦し、一躍「時の人」となった人物です。
10代で骨肉腫のため右足を切断せざるを得なかったテリー・フォックス。
しかし、不屈の精神で、義足のままカナダ横断をマラソンで走破しようとチャレンジしたのです。

毎日の走行距離は、なんと42.195キロ。
しかしカナダ横断の全行程のうち、2/3の地点でがんが肺に転移していたことが発覚。
マラソンの続行はかなわず、志半ばのまま、わずか23歳でこの世を去ってしまいました。

Tour du Canadaはそんなテリー・フォックスに敬意を表して、同じコースをたどる行程になっているのです。
道中何度もテリー・フォックスの像や石碑を見かけますので、ぜひチェックしてみてください。

カナダを西から東へ! 山岳地帯からセントジョーンズ島まで

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結論から言うと、Tour du Canadaのルートは、もうとにかくどこを撮っても絵ハガキのような美しい風景にあふれています。
さっそくみてみましょう。

壮大な自然が美しい ブリティッシュコロンビア州

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出典元:https://media.canada.travel/ja-JP/resources/canada-in-brief

スタートからわずか3日で、もうカナディアンロッキーに入ります。
カナディアンロッキーは、ブリティッシュコロンビア州とお隣アルバータ州にまたがる山岳地帯です。
ウィスラースキー場や、バンフ国立公園があることでも有名な、カナディアンロッキー。
他にも、Tour du Canadaでは、神秘的なブルーの湖面が美しいレイクルイーズ(バンフ国立公園内)や、ジャスパー国立公園にも立ち寄ります。

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氷河から溶けて流れ込んだ水でエメラルドグリーンに輝く、レイクルイーズ

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アルプスのような山々がひろがるバンフ国立公園

毎日の道のりはハードですが、雄大な風景を見ると報われること間違いなし。
また、メンバー同士の頑張りをお互いに見ることで、絆も深まります。
頑張る価値ありありのカナディアンロッキーです。

【基本情報】
バンフ国立公園Officialサイト:https://banff.ca/
ジャスパー国立公園Officialサイト:https://www.jasper-alberta.com/
公式サイトにあるように、両公園ともアクティビティがたくさんありますが、日程的に参加は難しいです。
雄大な大自然を走行中存分に目で見てお楽しみください。

ネイティブアメリカンの息吹を感じるマニトバ

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出典元:https://media.canada.travel/ja-JP/resources/canada-in-brief

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カナディアンロッキーを過ぎると、サスカチュワン州、マニトバ州と、広大な大平原が続きます。
走行中、目に入るのは緑、空、雲。
代わり映えしないたいくつな風景が何日も続くかんじです。
ところで、カナダにはアメリカと同じく、ネイティブアメリカンの居留地がたくさんあります。
そんなマニトバ州ですが、みどころは、毎年マニトバ湖周辺でネイティブアメリカンによる一大イベント、「パウワウ」。

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出典元:https://www.travelmanitoba.com/blog/post/10-dances-to-watch-for-at-the-manito-ahbee-international-pow-wow/

マニトバ州のパウワウ情報サイト:https://www.manitoahbee.com/

パウワウは、いくつもの部族が集結して、伝統の歌や踊りのパフォーマンスを見せあうとっても華やかなイベントです。
マニトバ湖だけでなく、アメリカやカナダなどいろんな地域で開催されているのでご存じのかたも多いのでは。
ちょうどTour du Canadaが通過する頃に開催されるので、ぜひ、立ち寄ってみてください。

五大湖とトロントをめぐるオンタリオ

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オンタリオ州に近づくと、またコースがアップダウンの繰り返しになります。
とはいえカナディアンロッキーを超えた体には大したことないでしょう。
オンタリオ州は五大湖に面しており、Tour du Canadaでは1日だけ船で五大湖を移動する日も用意されていて、見所はいっぱいです。
ただ、一大都市トロントを通過するときは、とにかく交通量がハンパないので、走行には十分気をつけましょう。

フランスの香り ケベック州

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出典元:https://media.canada.travel/ja-JP/resources/canada-in-brief

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フランス語圏で知られるケベック州。
一番大きな街モントリオールではフランス語の看板があふれ、道行く人が話す言葉もフランス語。
モントリオールでは1日フリータイムがあったので、私はモントリオール美術館に立ち寄りました。
ヨーロッパ絵画のコレクションがすごく充実しているので、お好きな方は、ぜひ。
【基本情報】
モントリオール美術館Officialサイト:https://www.mbam.qc.ca/en/

カナダの公用語は英語とフランス語

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公用語が英語とフランス語、というのはよく知られています。
「ということは、カナダの人全員が、2か国語を話せるってこと?」
たとえば、カナダの英語圏に育った人は学校でフランス語を第二外国語として習い、フランス語圏の人は同じように英語を習う。
私はカナダに行くまでそう思ってました。

いえ、実際は、ほとんどの英語圏育ちの人はフランス語なんか話せません。
そして、フランス語圏の人は、英語があんまり通じない。
両方話せる人はわりとめずらしい扱いです。
ツアーのメンバーにもいましたが、行く先々で重宝されていました。
つまりカナダは政府として、英語を話す人もフランス語を話す人も、平等にあつかいますよ、という意味で「公用語は2つ」と定めているのです。

カナダの英語はクリアな発音

ちなみに英語圏の人が話す英語は、日本人にはもっとも聞き取りやすい英語です。
中学や高校の英語の授業で「お手本」として聞かされた、テープやビデオの英語。
カナダの英語は、まさに当時聞かされてた「お手本」そのものです。
したがって非常にわかりやすく、なんともありがたい。

ただ、オンタリオ州の東部エリアに入ると変わります。
英語、なんでしょうが、なんだかぱっと見フランス語っぽくて聞き取りにくい。
たとえば、「nation」とか「satisfaction」のような「~tion」の発音が、「~シヨーン」と妙にフランス語っぽく聞こえるかんじ。
英語に自信がない方は、彼らの発音に慣れるまで、集中力を大発揮しましょう。

英語がほとんど通じない、フランス語圏 ケベック州

そしてケベック州に近づくにつれ、人々の話す言葉が徐々にフランス語に変わっていきます。
そうなると大変。
英語はほとんど通じません。
ガイドブックに載ってるような、最低限のフランス語は頭に入れておきましょう。

彼ら自身はそれで困らないんですかね。
だって仕事で他の州に取引の電話を掛けたり、出張や転勤をしたら英語ですよ。
非常に不思議です。

「フランス語ってスペルも発音も難しくない?」
そんなこと気にしなくていいのです。
魔法の呪文がごとく、くっきりはっきり唱えればだいたい伝わります。
私が頭につっこんでおいたフランス語はこんな感じです。

・ケース:道に迷った時。
「ここはどこですか? 」
“Je suis où ?”
(ジュシウ? )
かんたんですね。
この呪文を唱えるときに地図も見せればGood。
現在地を指で指示してもらえるので、たとえ相手が長々とフランス語でなにか返答してきたとしてもこわくありません。
現在地さえわかればあとは何とかなります。

では次。
「Aキャンプ場に行きたいです。」
“Je veux aller dans un A camping.”
(ジュブエリ ダーズン Aキャンピン)
複雑そうに見えますが、“キャンピン”を強調して唱えれば、
「ん? キャンプ場? キャンプ場に行きたいとかそういうことかな?」
と、察してもらえます。
あとはボディランゲージをフル活用して道案内をしてもらいましょう。

「そこまであとどのくらいですか?」
A quelle distance est-ce?”
(アケール ディスタンセ?)
距離は数字です。
相手は当然「あと何キロ」など数字をフランス語で返答してきます。
すかさず指で3キロなのか、10キロなのか、ボディランゲージ全開で情報を得ましょう。

・ケース:トイレを借りたい。
“Où sont les toilettes?”
(ウソン ル トワレ?)
“トワレ”を強調すれば、
「ははーん、トイレだな」
と、察してもらえます。

・ケース:道案内してもらう。
方向はボディランゲージでは限界があります。
最低限、「前・まっすぐ」、「後ろ・戻る」、「右」、「左」は聞き取れるよう、覚えておきましょう。
“Tout droit”, “Arrière”, “Droite”, “Gauche”
(トゥードワ 前・まっすぐ)(アリエ 後ろ・戻る)(ドワ 右) (グーシュ 左)

東海岸は再び英語圏 でも聞き取れない!?

ケベック州を抜けると、再び英語圏に入りますが、どういうわけか聞き取れない。
実は、カナダの東海岸で話されている英語は、大航海時代の発音がいくつか残る、非常に古いタイプなのです。
もちろん、こちらが話す英語はふつうに通じます。

道に迷って質問したのに、相手の言うことが今イチわからない、という場合は、地図を使ったり筆談すれば問題ナシです。

たとえて言うなら、現地の人が話してくる英語は、いわば、日本語初心者の外国人が京都弁を聞かされてるイメージですかね。
ゴールのセントジョージズでは、この古い英語を売りにした観光ガイドもいます。
英語に自信のある方は、一度、旅の思い出にガイドされてみるのもよいですね。

カナダ人は、日本をとても小さい国だと思っている?

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日本について詳しいカナダ人は、どうもそんなにはいないようなのです。
そのため、ツアーの初めの頃はかなりヘンテコな質問をされました。
と、いうのも、Tour du Canadaの参加メンバーは、やっぱり半分以上がカナダ人。
アジア人は私一人、あとは全員白人、というメンバーだったので、なんだかとてもめずらしがられました。

とはいえスタート地点のバンクーバーでは、街を歩けばちらほらアジア人を見かけます。
なのでカナダ人にとってはそんなに日本人は珍しくないんじゃないかと思ってた私。
が、
「へー、あなた日本から来たの。日本のどの島出身?」
といきなり聞かれ、
「え、島!? 大島、新島、三宅島とかから来たのかってこと!?」
と混乱。

すると知人に日本人がいる、という別のカナダ人が助け舟を入れてくれ、
「あー、だいたいの日本人は、”本州“という島からくるんだよ、君もそうでしょ?」
とのこと。
なるほど、言われてみれば日本は島国。
私にとって”本州”はでっかいけど、カナダから見たら島なんだなぁ、と感心。

しかし、
「震災の時は大変でしたね。あなたの街も津波は来た?」
「いえ、神奈川なので、津波は来ませんでした」
「え、あんなすごい津波が届かないところなんてあったの?」
と、カナダ人にとっては日本はなんだかすっごいちっさい島だと思われているようです。

アジア人と口きいたのがそもそも初めて、という人も多く、
「なんで毎日全員同じだけ陽を浴びてるのに、あなただけどんどん日焼けしていくんだ」
と驚かれたことも。
でも確かに、日本でもいろんな地域から来た外国人をみかけますが、あえて彼らと交流したりする人は少ないですよね。
カナダでもおんなじなのでしょう。

まとめ

Tour du Canadaは私にとって最初に参加したツアーということもあり、一番思い出でいっぱいの自転車ツアーです。
●全長約7550キロ! 北米で一番長い自転車ツアー Tour du Canada
ツアーの詳細について紹介しました。
期間:2020年6月24日から2020年9月4日
料金:$ 6078.54 (カナダ  1$=約73円 2020.8.4現在)
公式サイト:http://tourducanada.com/
・義足のランナー、テリー・フォックスの足跡をたどる旅でもある
カナダ人なら知らない者はいない、というくらいに有名な、悲劇の義足のランナー、テリー・フォックス。
Tour du Canadaは彼に敬意を表し、ほぼ同じルートをたどる行程になっています。
●カナダを西から東へ横断! ロッキーからセントジョーンズ島まで
各州の魅力を以下のようにお伝えしました。
・壮大な自然が美しい ブリティッシュコロンビア
・ネイティブアメリカンの息吹を感じるマニトバ
・五大湖とトロントをめぐるオンタリオ
・フランスの香り ケベック州
●カナダの公用語は英語とフランス語

カナダの言語事情についてご紹介しました。
・カナダの英語はクリアな発音
・英語がほとんど通じない、フランス語圏 ケベック州
・東海岸は再び英語圏 でも聞き取れない!?
●カナダは日本をとても小さい国だと思っている?

初めて話をしたアジア人が私、というカナダ人が多く、そんな彼らの日本観について紹介しました。
自転車ツアーは、毎日が発見と冒険の連続です。
これぞ非日常。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
では、また、いつか。

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