グループホームの利用者とホーム側との関係は「お客様と世話係」では無い
あくまで、私の考え。
私がグループホームを経営していて一番難しいと感じたのは、スタッフにタイトルに書いた精神を実践してもらう事だった。
他のグループホームがどう考えているのかは知らない。(私には「動物と飼育員」のようにしか見えなかったが)
が、グループホームというものが本来どういうものか?を調べてもらえれば、利用者が「お客様では無い事」がわかっていただけると思う。
なのに、なぜスタッフにこれを実践してもらうのが難しいかというと、利用者を「お客様扱い」している方が仕事がめちゃくちゃ楽だからだ。
実はグループホームというのは、障害者の終の住処として用意されてはいない。
これは、65歳以上になったら介護施設に行くから…という話では無い。
そもそもグループホームというのは、地域で生活する為(一人暮らしや同棲、結婚等で)の練習をする場所なのだ。
食事の用意
掃除
洗濯
仕事の準備
遊び
遊びを終わる事
起きて仕事に行く事
無事に帰宅する事
お金の管理、
計画性
善悪の判断
…etc
これらが出来るようになれば、共同生活の場で無くても良い。
健常者でさえ、どれだけの数がこれらを出来ているのか?という疑問はあるが、グループホームというのはこれらを出来るようになってもらって、自分(達)で生活してもらう事を目標にした施設だ。
つまり、卒業生が多ければ多い程、そのグループホームは優秀…と言う事。
しかし、そんなホームは無い(とはもちろん言い切れないが、無いに等しい)。
利用者さんに卒業されたら、収入が減る。
新しい入居者見つけないといけない。
新しい人より、勝手を知ってる人の方が楽だ。
そもそも、仮に一人暮らし出来そうだったとしても、親が生きてたら「そんな事させないでくれ」って言ってくる。
もちろん、利用者本人がどう思っているのかが一番大事。
一人暮らしなんかしたく無い人もたくさんおられる。
が、もし出来る事が増えていけば、一人暮らししたいと思うかもしれない。
だから私は「利用者が自分で出来る事、しようとしている事」をスタッフがやるのは間違いだと思っている。
例えば、朝食の用意。
私は、自分で出来る利用者には
『おかずは作るから、自分でパン焼いて』
と言っていた。
「ソーセージを自分で焼いてみたい」と利用者が言えば
『よっしゃ!やってみよう!』
と、台所に並んで立って見守ったりした。
でも、スタッフ側にとっては、これはめちゃくちゃ面倒だ。
自分のペースで動けない。
自分でやれば1分で終わる仕事が、10分かかるかもしれない。
出来ないのを見るとイライラする。
利用者が怪我をするリスクだってある。
利用者の1人に「○○さんはバター塗ってくれますよ?」と言われた時、愕然とした。
そのスタッフに聞くと、バターをテーブルや床に落としたら掃除が面倒だし、綺麗に使うかもわからないから…という回答だった。
そのスタッフは、利用者のコップが空になれば、お茶も注いでいた。利用者がお茶を溢すと面倒だからだ。
100%自分の為の行動。これは、とてもじゃないが「支援」とは言えない。
もちろん、出来ない利用者さんにはしてあげないといけない。
たった4人。たった4人の利用者の特徴に合わせるだけだ。簡単とは言わないが、無理難題という事は無い。
でも、楽したい。
誰も見てないから、スタッフは楽をしたい。
何か起きたら対応するのでは無く、起きないようにしたい。
結果、利用者の動きを制限する。
そして問い詰められたら「利用者さんの為を思って…」と言い訳をする。
1人、利用者さんを「○○様」と呼ぶスタッフがいた。お客さんなんだから同然だ、と。
そのスタッフは、介護福祉士として介護現場が長い人だった。
残念だが、初日で辞めてもらった。
利用者さんに悪影響しかないし、こちらの方針に楯突いてきたから仕方ない。
その考えが許される所で力を発揮して欲しいと言って、辞めてもらった。
「そんなやり方じゃ誰も付いてきませんよ!」と言われたが、結局、辞職したスタッフは誰もいない。
…(いつもの事だが)話が逸れた。
出来るものが教え、互いに出来る事をし、出来ない事をやってもらう。
成長のペースは利用者によって違う。目に見えた成長がなくたって良い。でも、せめて全員が「自立」の方を向いていないといけない。
結果、終の住処になっても良い。
でも「ここに来たから部屋の片付けが出来るようになった」とか「洗濯機使えるようになった」とか「玉子焼き作れるようになった」とか、何でもいいから、何か成長して欲しい。
もちろん、しなくても良い。
でも、してもらうには?は常に考える。
無理なく、苦痛なく、何か成長するには?を考える。
それが、本来のグループホームの、そしてサービス管理責任者の仕事だと思う。
決して、テンプレの計画書に判子押すのが仕事では無い。
……よね?
二人の障害児の父
すけじろう
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