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2024/8 ラストマイル感想

 映画がうますぎる……同世界の「アンナチュラル」「MIU404」も出しつつ、「ラストマイル」ならではの世界も深く描く。短い時間で人物像を掴ませるのがめちゃくちゃうまい。特に個別配送をする親子2人と離婚したての3人家族。最後まで見ないとどう繋がるかわからない描写だけど記憶に留めさせるだけの背景がある。
 資本主義経済において消費者は労働者であり労働者は消費者で、欲が欲を生み、回り出した歯車を止めるこ

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2024/6 映画・ゲームまとめ

映画
・最後まで行く(2015)

 飲酒運転で人を撥ねるという失敗をしたあと隠蔽してしまって、それがバレるかバレないかの瀬戸際を走り続ける映画。いや〜な緊張感が漂い続けるから、結構観るのしんどかった。ただ主人公に不屈の精神があり、カーチェイスや暴力が洗練されているのでおもしろかった。日本であんだけ汚職とか違法風俗店経営してる警官をフィクションで出すとリアリティ無いと言われそうだけど、韓国だとあれ

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2024/5 映画・ゲームまとめ

映画
・メメント

 おもしろかった…!レナードの記憶障害を観客へ本当に体験させて、「自分は一体何をしたんだ?」「目の前の男は何者なんだ?」でグイグイ展開を引っ張っていく。10分ずつシーンが遡っていくことで、映画=動画だから過去から未来の方向にしかいかない媒体で未来から過去へ時間を流している。時間って逆方向に流せるんだ……すごいな。めちゃくちゃおもしろかったな……

↓以下ネタバレ
「彼の嘘を信じ

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2024/4 映画・ゲームまとめ

映画

・ウルフ・オブ・ウォール・ストリート

勢いのある映画だった。セックスとドラッグと金が濁流のようにあふれてくる。でも見終わった後には空虚感が残る。悪い意味ではなく。おそらくそう感じるように狙って作られ、そして成功している。
 後から振り返っておもしろかったという感慨は無いけれど、間違いなく鮮烈な記憶として残るし、観ている時は夢中だった。スケールが大きくて煌びやかで刺激的。
 ジョーダンのス

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2024/2 映画・ゲームまとめ

映画
・返校 言葉が消えた日

背景美術への気合いの入り方がすごい。単に怖がらせるための背景ではない。暗くて打ち棄てられているけれど、なぜか美しい。原作ゲームリスペクトの構図を効果的に使っていた。
確かに脚本は原作を意訳している部分が大きいけれど、伝えたいメッセージはブレてないと思う。映画にするにあたってより分かりやすく、作品のコアが伝わりやすいように脚色したという感じ。言論弾圧と暴力と密告が猛威

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2024/1 ゲーム

映画

・笑いのカイブツ

爽快さはなく、ひたすらつらく永劫に続くような苦しさがあった。ツチヤタカユキのあの「人間関係不得意」は完璧主義の表れなのかなと思った。人はどうでもいい会話・つまらないくだらないやり取りを何度も繰り返して、時々人を誤って傷つけてしまったり、関係を修復したり、逆に偶然面白い会話になったりしながら対人スキルを育てていく。でも、ツチヤタカユキは「おもろさ」に物凄くこだわりがあって

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2023/12 映画・ゲーム

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・ハッピー・デス・デイ

 誕生日の夜に殺されるが、ループして朝目が覚める。誰が犯人か?を突き止めるミステリー要素もある。主人公トリーは傍若無人で恨みをたくさん買ってそうでお世辞にも性格がいいとは言えない人なんだけど、ハキハキ自分の言いたいことを言うし、めちゃくちゃ行動力があっておもしろい。途中ではっちゃけて全裸で歩くのは一回やってみたかった的なアレ??

・ウォレスとグルミット 傑作選

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2023/11 映画など

映画
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 「兄弟以上夫婦未満の相棒」っていいね……落ち目になったリックがすごくしんどそうなのとは対照的に同じく仕事にあぶれているクリフが普通の顔して特に落ち込みもせず生きてるのがおもしろかった。「自分が役立たずだと受け入れるのがつらいんだ」と泣いて8歳の子役に慰められていたリック、覚えたはずの台詞が飛んでしまって自分を激しく責めたリックが、その後切り

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2023/10 映画など

映画
・メン・イン・ブラック
・メン・イン・ブラック2
・メン・イン・ブラック3

 おもしろかった〜続編もちゃんとおもしろくてよかった。無印の途中で昔観たことをぼんやり思い出した。セリフやカメラの動きの緩急がバッチリ決まっていてカッコよくて、それでいてコミカル。高速会話キャッチボールの後にピタッと無音と真顔の数秒が挟まると、それだけなのに可笑しくてふふっと笑ってしまう。「間」で笑わせるのに弱くて

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2023/9 映画など



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・ルームロンダリング

 いい映画だった…2018年公開
「事故物件に住んで告知義務を消すバイト」という題材だけど、なんかほのぼのしていて色彩が明るい。御子の服装が緑と赤という絶対合わないだろという色の組み合わせなのに、何故かこの映画の中で御子が着てると似合ってて不思議だった。溶け込めなさを表してるのだと思う。ラストでも緑と赤を着てて、なんだか安心した。個性が消えたわけじゃないとわかった

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2023/8 映画など

映画
・ウィジャ・シャーク

 初めて観たサメ映画がこれで良かったのか……?サメ映画ってこんな感じなんだ……退屈すぎて気が遠くなったけど、ギリギリで耐え切った。家庭用ビデオカメラで撮ってるように見えるのは段々慣れてくるんだけど、その後やってくるこの主人公は一体何がしたいんだ?などの疑問が置いてけぼりにされながらストーリーは強引に進んでいく、し、そのストーリーも別に面白くはない。封じたウィジャ盤を破

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2023/7 映画など

映画
・君たちはどう生きるか

 ストーリーとしてはめちゃくちゃ王道。現実世界での自己の解決すべき成長課題→異世界へ入って課題に関連する試練をくぐりぬける→現実への帰還という異世界ファンタジーの典型。
なんだけど、場面の転換や描写になんとなく安部公房とかカミュっぽさを感じた。不条理劇の色彩
新しい母を母と受け入れられないのに、誰も気がついてくれないから眞人は石で自分の頭を殴って「転んだだけだ」と

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2023/6 映画

映画
・銀河鉄道の父

 私の生来的な趣味嗜好には全く合致しないけど良い映画でしたね。国語の時間に永訣の朝をやってうるうるしていたので、としが亡くなって火葬して、明るくて悲しい朝の風景で泣いてしまった。
 物語を書き始めるまでの半生は、うまく人生に馴染めなくてはみ出してしまう苦しみが強かった。善良なんだけど見通しが甘いというか根本のところで甘えがある。思いついた時は固い意思を見せるのに、ちょっとつ

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2023/5 映画など

映画
・ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

 そうか、スーパーマリオ「ブラザーズ」だもんな。ルイージの「センスのいいやつなら(兄さんに)惚れるさ」ってセリフが好き。クッパに生殺与奪の権を握られながらこれを言えるんだなー怯えながら足が震えながらマンホールの蓋持ってクッパの炎の前に飛び出してくるところも良かった。
 ルマリーの闇っぷりはなんか元ネタがあるのかな?転生して星になるのが希望だから、牢

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