2023/6 映画

映画
・銀河鉄道の父

 私の生来的な趣味嗜好には全く合致しないけど良い映画でしたね。国語の時間に永訣の朝をやってうるうるしていたので、としが亡くなって火葬して、明るくて悲しい朝の風景で泣いてしまった。
 物語を書き始めるまでの半生は、うまく人生に馴染めなくてはみ出してしまう苦しみが強かった。善良なんだけど見通しが甘いというか根本のところで甘えがある。思いついた時は固い意思を見せるのに、ちょっとつまづくとすぐに挫けてしまう。質屋の仕事を知ったような口で批判したり、日蓮宗に傾倒しているあたりが痛々しかった。入門を断られて痩せた細い手足を縮めて部屋の隅に固まっている姿が病んでいてとても美しかった。
 過保護気味な父と甘ったれの息子でどっちもどっちという描き方なんだけど、後に遺ったものは本物だ。親ガチャ的にはUR引いたよね、宮沢賢治。あの時代、実家が太くないと文学なんかできないよね。

・岸辺露伴 ルーヴルへ行く

 順当に真っ当に作られたドラマの延長線上の映画だった。普通におもしろかった。作中「死んだ人間にヘヴンズドアできない」とあるから、あの女性は死人ではないのだろうけどじゃあ何だ?一旦死んだっぽい描写があるから、蘇ったということ?
おそらくあの夫婦に子供はいなかったのだろうと思うから、たとえ岸辺露伴が本当に女性側の兄弟などから派生した子孫だとしても岸辺露伴があの絵師とどことなく言動とか偏執的な性質が似ているのはなんとなく因果を感じさせつつも全くの偶然と考えるしかないだろう。
大量のクモにうげーと思いつつも割と大丈夫だった。

・きさらぎ駅

 B級ホラーだけど、ちゃんとオチがあって良かった。きさらぎ駅ってこういう話なんだ〜主人公の人が先輩に似ている。怖くはないけど怖い感じはするぐらいなので、ホラー苦手でも全然大丈夫そう。辛いもの得意ではないけど好きみたいな。

ゲーム
・stray

 可愛い猫のガワ大好き。猫大好き過激派の方はできないかもしれない、主人公は辛い目に遭うのが定石なので。猫ちゃんも高いところから落ちたりネズミみたいな生物に襲われたりする。でも可愛い猫ちゃんだからこそ、そんな酷い目に遭わせないように頑張ろうというモチベーションが出てきてとても良かった。アクション要素がとても苦手なので、そのモチベが無かったらクリアできなかったと思う。世界観も良かったな〜いろんな機械たちがいた。
普通の猫はできないだろうけど、主人公猫はめちゃくちゃ賢いのでB12の翻訳を理解するしB12との絆を育めます。

・AI ソムニウム ニルヴァーナ イニシアチブ

 メタ的な演出が大好きなので世界シミュレーション仮説を前面に押し出してくるの好き。最初見えないつながりが少しずつ見えて、繋がって整合性が取れていく過程がとても楽しい。どうやって書いてるんだ??誰と誰が関係があって、6年前と今でどう違うのかが明らかになりつつ、それ以上に不可解なことが起こり続けるというのがめちゃくちゃ楽しい。1つわかると3個わからないことが出てくる。それらが全て繋がって結末に雪崩れ込む。
 エンディングでみんな踊ってると強制的に大団円感が出て、私は結構好き。「終わり」を強く感じるから。


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