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社会に出たら、かわいい服が着れなくなった

学校を卒業したら、かわいい格好ができなくなった。
かわいい服が嫌いになったわけじゃない。
その証拠に、クローゼットを開けたら花柄のブラウス、レモン柄のワンピースといったおしゃれ着がたくさん並んでいる。

学生時代は「身だしなみ」など意識しない、おしゃれしてナンボの世界だった。
友達と遊ぶ約束が決まれば「なに着ようかな?どんなおしゃれしよう?」とワクワクした。
自分の気分が上がるのであれば、胸元が開いてるブラウスでもショートパンツでもなんでも着た。

だけど、好きにかわいい服を着られなくなったきっかけがある。

就活中、就活対策のコミュニティで知り合った男性とすこし話すことになった。
気軽に話すだけの予定だったので、Tシャツにジーパンというラフな格好で行った。
しかし向こうはデートか何かのつもりだったらしい。
「はしばちゃんかわいいよ」と一方的に値踏みされたあげく、「なんで今日おしゃれしてこないの?男の人に見せるためにおしゃれするんでしょ?」と言ってきたのだ。

は?なぜ服を着るのに男性の目を気にしなきゃいけない??おしゃれをするのは自分のためですが?
なぜ勝手に理想の女性像を押しつけられなきゃならない??意味がわからなかった。

中学から大学まで10年間女子校で、周りも当たり前のように「人間」として扱ってくれた。
世の中は男女平等といわれているし、これからもずっと人間扱いされると思っていた。
でも学校を出てみたら、人を値踏みして「モノ扱い」してくる奴が世の中にたくさんいる。女性の格好に平気で口を出してくる。
社会に出るって、そういうことなんだ。

就職する直前、肩まであった髪をベリーショートに切った。
中性的な格好をすればとやかく言われないかな、と思ったのだ。
自分に「女性の役割」を求められるのは嫌だった。というかちょうど髪切りたかったし。

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配属された職場は男性が9割だったので、20代女子はどうやっても浮いてしまう。せめて「かわいい」を見せないように必死だった。
仕事場でよく着ていたコーディネートは、首元を見せないスタンドカラーのシャツ、黒のパンツ、黒い革靴、そしてバッグはマルイで買ったメンズもの。
とにかく男性の格好に近づけた。

そういうシンプルな格好は嫌いじゃなかったけど、気を張ってて疲れることもあった。
だから休日は自分のためにかわいい服を着ることで自分を保っていた。
(ただし着る場面は女友達と会う時に限る、露出の多い服は着ないなど、今まで以上に気を使うようになった。)

平日は男性、休日は女性を演じる。例えるならそんな感じ。

社会人になって必要になったのは、社会で生き抜くためのシンプルな服と息抜きするためのかわいい服。洋服代が今までの2倍かかった。
でも男性らしい格好、女性らしい格好、どっちも合わせて自分なんだと思う。

誰の目も気にせず、かわいい格好を楽しんでいた学生時代の自分に戻りたくなる。
社会人だからって「身だしなみ」ばかり考えてたら疲れてしまう。
おしゃれを楽しみたくなったら、学生時代の気持ちをすこし思い出してもいいのかもしれない。

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さて、何を着ようかな。
わたしは今日も、シンプルな服とかわいい服が入り混じったクローゼットを開ける。


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