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【体験談】ベンチャー1人目人事としてやったこと全て解説

こんにちは!スタートアップで1人目人事をやっていたぽぺぬです。
今回は業務委託という立場にも関わらず1人目人事としておこなった施策を成功と失敗に切り分けてご紹介をさせていただきます。


【このシリーズを読んでほしい人!】
・1人で人事をしている方
・少人数企業で何をすればいいかわからない人事さん
・初めて採用担当を採用しようとしている社長さん


1.会社状況や課題

まずは会社状況ですが、
SNSマーケティングのコンサルティングや運用代行をしている会社で、営業が上手くいっており資金面は比較的余裕があるスタートアップにしては安定しているいい会社です。

ざっくり会社紹介

●人数
営業:1名
運用:5名+アルバイト2名
撮影・編集:3名+業務委託1名
バックオフィス:1名+アルバイト1名

●事業内容
SNSマーケティングのコンサルティングおよび運用代行

採用はWantedlyで細々掲載していてそれ以外は何もしていない状況です。

ここまではよくあるスタートアップの状況だと思います。
課題は山積みで以下の通りです。

1年間ほど採用できていない
そもそも有効応募がきていない
人気な領域ではあるため採用が難しい求職者様の応募はたくさんある
応募者管理がされていない
条件通知書などを出したことない
採用目標数がない
ペルソナがない
求人票もない
採用フローもない
評価項目もない
退職予備軍がいる
事業発展をしていく上でマネジメントポジションがいない

本当になんにもないんですよ...
ヒアリングを始めてメモを取る必要がなかったのをすごく覚えています。

こんな状況から、1人目人事として何をどのような手順で着手したかを次章からまとめていきます。


2.採用ポジションの選定・予算設計・採用計画作成

具体的な内容ですが、まずとりかかったことは会社のPLと人員配置図を作っていただき今後の事業計画とすり合わせて人が絡む問題点の抽出をしました。

事業内容として、SNSに掲載する動画などの撮影も代行していたのですが、
撮影を受けている部署は人が足りず知り合いの方に業務委託でお願いをしても残業ばかりしている状況でした。
他にもSNSの運用をしている部署は、内製化しているものの残業が多い状況でした。
このように、定量的な観点と定性的な観点(事業状況や対応している人の状況など)から問題点を洗い出し、解決していく順序を立てます。

今回のケースですと、運用をしている部署の方々の離職懸念が一番の問題であり、採用を急がないといけないと考えました。
動画の撮影・編集についても残業が多く退職懸念はありましたが、既に業務委託として依頼をしているスキームがあったため、社員よりも業務委託できるメンバーを増やすことで人事がすぐに介入しなくても改善できると判断した形になります。
それに対して運用側は業務委託にお任せするスキームを新しく作成するよりも社員をすぐにでも採用して業務の分配をしていくべきだと考えていました。

次に事業特性から組織のあるべき姿を考えていきます。
何をするのかといいますと、
「どのような条件がそろえば売り上げが上がるのか」
「どういう状況で赤字になるのか」
など会社に関係なく、事業という観点のみで考え、そこに人がどう影響していくかを考えます。

SNSマーケティングの場合ですと、
・ストック収益
売り上げ=運用代行社数×代行単価
運用代行社数=運用担当社員数×1人辺りの平均担当数

・フロー収益
売り上げ=撮影代行件数×撮影単価

もう少し細かくできますが、ざっくりこのような公式で表すことができます。
多くの会社ではストック収益を増やしていきたいと思いますし、今回のケースの会社もストック収益を増やす方針でした。

次に赤字になるケースを考えていきます。
基本的に人件費以外がコストになる事業ではないため、運用代行できる社数の低下が一番事業上のネックとなります。
この点についてはコロナなどの不況が来た際に代行の契約を切るケースが多くあるため、社会情勢に影響を受けやすい点まで頭に入れておきます。
こういう点を考慮して行くことができれば、社長から「もっと○○ポジションを採用しよう!」と深く思案されていない声に対して論理的に止めることができます。
スタートアップの人事は経営陣の御用聞きになり、なんでもかんでも採用をすればいいというわけではありません。100名を超える会社とは違い、一人一人の影響力が大きい故に採用をしないという選択肢も重要になります。

予算設計と採用計画

ある程度会社の現状把握などができたら次に採用をするための準備をします。
スタートアップ企業ではなかなか採用に予算を割けないのでシビアになる点ですが、1人目人事の役割として採用ポジションごとに採用単価を決めたりと、細かく設計していきます。

今回のケースですと、人件費を別とした採用に捻出する額が300万円ほどに抑えたい状況でした。
その上で採用ポジションですが、

・SNSマーケティング運用経験者×2名
・映像ディレクター×2名※業務委託でも可
・経理経験者
・営業

計6名です。

マーケティング経験者の採用はしたことなかったのですが、そこまで難しい内容ではない気がしており、すべて投資するのは怖いので採用費を150万円で採用する方向で採用戦略を練ることにしました。

また、採用計画として簡易的なWBSを作成して、ある程度の採用順位と現場社員に面接などをお願いする目安のタイミングの告知も忘れず行います。
なぜかといいますと、現場社員が採用への意識が低く、共に働く同じポジションの採用なのに自分には関係ないというスタンスであったため、「明日からこの方と働いてくださいと言われて困らないですか?」などとお聞きして参加する意義を認識いただきます。
それでも今回のケースは現場が疲弊している状況であるため、採用活動の手伝いを突発的にお願いされても困ると思いますので、スケジュールを提出して覚悟だけしておいていただきます。


サンプル:採用WBSイメージ

もし項目だてが難しそうでしたら、我々の中でもフォーマットをいくつか作ってみているので、ご活用ください。


3.採用施策

やっとどうやって採用するかに入ります。
まず今回の採用ポジションごとに想定していた採用費ですが、

・SNSマーケティング運用経験者×2名:140万円
・映像ディレクター×2名:0円
・経理経験者:0円
・営業:0円
※残り10万円は3か月分くらいのWantedly代です。

こんな感じで考えておりました。
また、採用チャネルですが、

・SNSマーケティング運用経験者:人材紹介・SNS・新しめの採用媒体・Wantedly(記事)
・映像ディレクター×2名:CloudWorks・Wantedly(求人)
・経理経験者:engage
・営業:SNS

上記を活用して採用をしました。

特にネックなのはSNSマーケティングポジションで、ここは早期に採用したかったので、人材紹介に頼りつつ最近できた媒体に成果報酬制で交渉して使わせていただきました。
また、Wantedlyで仕事の詳細が分かる記事だけ作り、候補者様にお見せできる状態にしておきました。内容は仕事内容のみフォーカスして人物のエピソードなどは省いたシンプルな内容にしております。記事を作成する理由ですが、会社を受ける前に会社のことを調べる方は増えています。ですがスタートアップの会社は良くも悪くも何も情報が出ないケースが多いですよね。自分が求職者の立場であれば何も情報が出てこない会社って受けるの怖くないですか(笑)そのため最低限どういう業務をするのか程度でも開示して、人については選考過程で見ていただくために開示をしました。
※これを候補者様が見てくれたかは聞くの忘れたのですが、多分見ていません(笑)

映像ディレクターはCloudWorksで業務委託・Wantedlyで正社員で公開をしました。
Wantedlyでは採用ポジション的に経験が浅い方しかこないと予想できたので、CloudWorksの業務内容に+αとして教育まで盛り込んで公開をしています。
なんでかというとCloudWorksってとんでもない量の応募が来るんですよ!
本当に!ビックリするくらい!
なので一人くらいそういうことができる方も来るだろうと打算的に考えていました。

また、運用担当者と映像ディレクターを正社員で雇う場合は起業?やフリーランスになりたい、といった独立志向があり行動力がある方を求める人物像にしています。
理由は先に挙げたように人件費がコストとしてネックになる可能性があるため、会社が潰れそうと自分で判断して良い意味で「出て行ってくれそうな方」というイメージで採用を進めました。
定着してくれる方を採用することも会社にとって魅力的ですが、安定していないスタートアップにおいて辞めてくれる志向を持っている方を採用することも、今の会社フェーズにおいて1つの魅力的な志向性だと考えてのペルソナ設計になっています。

経理経験者は今までの経験上リモートワークであればengageでそこそこ応募がくることが分かっていたので、施策として採用しました。

営業については急いではいませんでしたが、執行役員が1名で営業しており、SNSマーケティング運用の方も統括している状況であったため、選任を1名採用したい状況です。
「TwitterかLinkedinなどで声かけてみよ」くらいなテンションであわよくば採用したいポジションです。


4.結果と反省

結果ですが、1人目人事としてなんとか全てのポジションの採用に成功しました。
SNSマーケティングについては人材紹介とSNS経由で140万円ギリギリで採用できました。
映像ディレクターは狙い通りとはいかず、Wantedlyで相当できる経験者を採用できてしまい、CloudWorksでもハードル下げて採用できたのはうれしい誤算でした。

経理経験者については予想通りengageで採用でき、営業は運用をお願いしたいと思って声かけた方が元々無形商材での営業経験があり現在運用をされている方が営業をやりたいとのことで採用に繋がりました。

今回は相当運がよかったですが、1人目人事として慣れない点も多く、多くの反省があってのこの結果です。

いろんな反省

大きく2つの反省をしております。

まず起こった事件としては求職者情報の共有方法が現場社員に行き届いておらず、2分前に職務経歴書などの見方が分からないと連絡があったりと、関係者が確認しやすいようにフォローしていなかったのは相当反省しています。
事前にSlack上でレジュメを共有しておいたものの、フロー型のコミュニケーションツールであり、採用に慣れてない方々だったため、現場の仕事で忙しい方への、情報連携の方法は今後頭に入れないといけないと猛反しました。

内定後のフローを全く設計していなかった。
「この方に内定出そう!」となった後に「条件通知書のフォーマットとかありますか?」と質問して「なにそれ?」と返ってきて結構びっくりしました。採用担当の経験があれば常識ですが、労働条件通知書を出すことを知らない方は意外にいます。
ですので、会社印を入れた条件通知書を発行する流れを明確にする必要がありましたが、今まで支援した会社で知らないことがなかったので、1人目の内定出しをするタイミングで見込み残業代の計算であったり、細々した大事なことを短い時間で対応する必要があります。
大変なので事前に作成をしておきましょう。
※ちなみに入社一人目の方には入社日前日にお渡ししています…

採用活動に慣れていない会社だったため、他にも事件はいっぱい起こっていて、前日まで電話でコンタクトが取れていたのにオファー面談で音信不通になってしまったり、オファー面談と会社見学をしたいと言っているのに対応する気満々だった社長が時間になってもこないなど、そんなことある?という事件で辞退になることもあり大変でした。
よく三か月で何とか形になったなと思いますね。

最後に

1人目人事として、この次に何をしていくのかが気になる方もいると思いますが、需要があれば別でまとめたいと思います。1人目人事の役割として、採用だけでなく、営業や社内の活性化のためのサポートになるような打ち手を幅広く考えていく予定です。
他にも最低限の採用ページをnotionで作成したりして情報の開示をしたり、簡素な定量化しかできていないので、詳細な分析ができる状態(ATSの導入・運用などの仕組み)を作っていく予定です。

スタートアップの採用はできることからやるのではなく、1人目人事としてやらなければならないことを見極めて現場の協力を仰ぎ、走りながら計画的に採用体制を整えていくこと、そして目の前の求職者の方とどう向き合うのか、がカギになります。
会社の基礎になるコア人材を採用するみたいなお話を良く見ますが、正直どのフェーズの会社でも同じようにコア人材を求めていますし、スタートアップでは目の前のブランド力やサービス内容、組織体制などの中で訴求できることは少ないので、現場との協力体制を築きながら、選考の中でパーパスに共感してもらえるように丁寧にコミュニケーションをとり、採用体験で差別化することがまず取り組めることだと考えています。

経営者の方で人事もおらずお困りの方は、ぜひ一度すごい人事パートナーにお気軽にご相談をいただけますと幸いです。
状況や事業内容に沿って解決できる「すごい人事」をアサインさせていただき課題解決をさせていただきます。

世の中のベンチャー・スタートアップにおける、1人目人事の皆さん、経営者の皆さんのお力になれたら幸いです!

ライター:ポペヌ
エンジニア歴約10年、人事歴約3年。中学時代からエンジニアとしてお小遣い稼ぎを始め、エンジニア経験を活かしながら、大手IT企業にて人事に転身。
「プログラミングができる人事」として、主に経営陣をカウンターパートに経営視点の人事戦略設計〜実行、検証まで従事。
即戦力エンジニアをオフライン・オンライン施策をベースに採用単価0円で採用実現するなど、特に新卒採用、およびエンジニア採用に強みを持つ。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe 
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、
・3年かけて1000名から採用率10%「即戦力」プロ人事シェアリングサービス"すごい人事パートナー"
・6ヶ月で「成果の出せる採用チーム」に変わる月額定額制人事のライザップ"すごい人事トレーナー"
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