ペンギンになりたかった友人のはなし
もう10数年、いや、20年近く前のことだが、わたしは坂道の途中にある小学校に通っていた。より正確に言うならば、小学校の敷地が傾斜地にあって、両脇を坂道が通っていた。校門はいずれも坂道の途中にあって、わたしは東側の門を使っていた。傾斜地を切り開いて造られているものだから、校庭の端は崖のように切り立っていて、ずいぶんと高低差があった。…ただし、ほんものの崖のようにのっぺりとした絶壁ではなく、そこには石の段々が設けてあって、傾斜地の一番上まで登れるようになっていた。段々の最上部には