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カメと暮らせば 2

 クサガメの「師匠」(※名前)と暮らすようになって5年ほど経った。
拾った経緯については以前の記事に詳しいので、こちらを見てほしい(横着)。

note記事「カメと暮らせば」
https://note.com/sugiohitsuji/n/n4a65cf3b8395

 あれから2年ほど経った2021年の師匠であるが、拾ったときより一回りほど大きくなったように思え、脱走の予感で日々、私を戦々恐々とさせている。実際、かなり危ない場面は幾度かあった。

 カメ類の図鑑によると、クサガメのメスは30 cm、オスは20 cmほどまで大きくなるらしい。カメの雌雄同定は尻尾(と総排出腔)を見ると分かりやすいとあるので、師匠の尻尾を拝見しようとしたところ、かつてない抵抗にあった。どう考えても引き出せる感じがしなかった。図鑑の写真だと小ぶりの可愛いカメが尻尾を引き出されていたが、師匠は甲長18 cmほどのだいぶ大きなカメである。抵抗力(?)が強いのも当然であろう。

 なので、尻尾が出ている瞬間を狙って観察しては、(メスかな……)と察するしかなかった。メスだとすると、現在の1.5倍以上の大きさになるはずである。今の住処の衣装ケースだと絶対に狭い。狭いのもそうだが、確実に脱走する。ということはいずれ、さらに大きな水槽を入手する必要がある。

 オスだとそろそろ頭打ちの大きさのため、(メスかな……いやーオスかも……)などと悩んでいたが、数か月前のある日、師匠の性別が確定した。

 師匠が卵を産んだのだ。

 流石にオスのカメは産卵しない。つまり、師匠はメスのカメである、ということだ。同時に成長がまだ続くであろうことも確定した。脱走の確率も上がった。師匠を養う私の責任はより重大になった。

 師匠の居住環境といえば、この冬(もう初夏だが「この冬」と表現する)から師匠は冬眠をしなくなった。水槽にヒーター(暖房)が付いたからだ。
 私のクサガメ先輩である某氏から、「絶対にヒーターを付けろ」と断言されたため(この某氏のクサガメ氏は某列車内で脱走するなど豊富なエピソードをお持ちだ)、私は熱帯魚ショップを訪問してヒーターを入手することになった。

 ちなみに、水棲動物のヒーターには色々と種類があり、使い切りタイプ(空焚き防止で一定以上の温度になると二度と使えなくなる)や機器を組み合わせて温度を下げることも可能なタイプなどがある(こちらは間違えると茹で魚や冷凍魚が発生する、上級者向け)。

 師匠の水槽は一般的なアクリルなどの素材ではないので、温度調整ができる&使い切りタイプを使用することにした。すげえ高かった(約5000円)。

 使い切りタイプということは使い切りなので、水替えの際にウッカリ電源を切り忘れると使い切ってしまうということになる。私は購入した1週間後にそれをやらかしてしまい、5000円が吹っ飛び、さらに新しいヒーターと予備ヒーターを買う羽目になった。水棲動物をこれから飼育する予定の皆さま方はよくよく注意してほしい。

 そんなこんなで拾いガメだが生活費はそこそこ掛かっている。夏期に入ったので水替えも毎日1回以上となった。水道代爆上げ大フィーバーだ。それでも、拾ったからには世話をしなければいけないと思うし、最後まで付き合わねばと思っている。私の方が長生きをせねばならない。

 師匠は今日も衣装ケースの水槽でのんびりと暮らしている。