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2021ファジアーノ岡山にフォーカス2「2021編成評価」 Part3:MF(DH・CH、左右SH・OH)編

1、前書き

今回は、2021シーズンの開幕前の編成についてフォーカスを当てたいと思います。Jリーグ全体でのファジアーノ岡山についての編成評価が、客観性が高く理想ですが、私が一番良く見ているファジアーノ岡山の歴代の選手(監督)と比べて、どうかという視点での評価していく事で、より分かり易いのではないかと思い、今回のフォーカス記事を書いていきたいと思います。

また、記事を分割して投稿していきたいと考えており、完成した場合は、同様の内容の記事を1つに統合したものを再アップ予定です。その点は、ご了承下さい。

【 評価基準 】

A・B・C・D・Eの5種を使います。
良:A~E:悪

実際に見ることが出来ていない選手は、選手自身のインタビューや、実績、動画、過去の選手名鑑などを参考に、評価を書きたいと思いますので、ご了承下さい。
また、ポジション毎に評価基準の厳しさは違いますので、同じAやEであっても違う評価の場合もある点もご了承下さい。
加えて、表記上、監督や選手という文言を一部省略させて頂いていますが、プロの監督や選手として、最大限の敬意を持った上で、書かせて頂いていますので、その点もご理解頂けると幸いです。

それでは、宜しくお願いします。

2、DH編

IN:なし
OUT:なし

6喜山 康平(DH、CH、CB、左SB、左右OH・ST):総合力B・期待度B

6喜山康平

・個人成績

通算(450試合61得点)

J1(33試合2得点)
J2(339試合14得点)
JFL(48試合18得点)
中国(17試合27得点)
リーグ杯(2試合0得点)
天皇杯(11試合0得点)

・車輪の軸と言える存在

やはり、チームとして安定して試合を戦うには、中央が安定している必要がある。走り過ぎて中央にスペースが出来れば、そこを突かれて、守備が不安定になる。また、中央にパスが出し易い位置にポジションをとる事で、ボール繋ぐ時のパスミスや連係ミスによる事故が減り、安定した攻撃も出来ます。車の車輪が外を円形に回るのに対して、中央の軸は、同じ場所がずっと動かず回っている事で、安定して車が走れます。6喜山も中央にどっしり構えることで、チームとして安定して戦う事ができる。そして、中盤に限らず、様々なポジションがプレー可能で、チームに幅を生むことができ、チームの隙に、ポジションを移す事で穴埋め可能。昨季は、怪我で満足にプレー出来なかったが、今季に完全復活する事が出来れば、勝ち点を安定して掴む事も可能になる筈であり、期待したい。

26パウリーニョ(DH):総合力B・期待度B

画像11

・個人成績

通算(377試合47得点)

J1(52試合3得点)
J2(228試合17得点)
リーグ杯(2試合0得点)
天皇杯(10試合0得点)
ブラジル(85試合27得点)

・攻守でのパワーに期待

中央の守備において、ボール奪取や1対1の守備で強さを発揮する。タックルも巧い選手。6喜山が静だとしたら26パウリーニョは、動の守備が出来る選手。また、守備だけではなく、視野の広さを活かした縦パスや思い切りの良いミドルシュートで、攻撃でも貢献できる。失敗を恐れないプレーを攻守で選択するので、プレーの成功率自体は、安定しないが、攻撃の目の付けどころが良く、状況を打破する力があり、守備では、悪い流れを止める事もできる。ただ、やはりプレーが安定しないという事は、チームとしてカバーしないといけないので、チームとして、26パウリーニョが動きやすい状態を作れれば、チームとして良い方向に試合を進める事ができる。今季も失敗を恐れないプレーで、流れを引き寄せてくれることに期待。

29劉 龍賢(DH、CH):総合力D・期待度D

29劉龍賢


・個人成績

通算(5試合0得点)

J2(3試合0得点)
天皇杯(2試合0得点)

・未完の大器

まだまだ若い選手だが、少ないプレー時間ながら力強い守備が光った。プロとしての実績こそまだ乏しいが、ファールを恐れない物怖じしない守備は、強い信念を持った強いメンタルを持っている中堅の選手やベテランの選手にも負けない様に見え、可能性を感じた。攻撃でも基礎技術がしっかりしている印象を持った。試合数を重ねる中で、攻守の判断の質の向上も期待できる。33阿部と共に、高卒ルーキーとして、出場が難しい状況が続いているが、期待も大きく、飛躍の一年にしてくれることに期待。

3、DH編(考察)

・岡山の武器にできる選手の揃ったDH

6喜山の危機察知能力の高さに裏打ちされたポジショニングが、チームに安定を生んだ2019シーズン。2020シーズンもチームとしての失点数は少なく守備は安定していたが、得点力不足に陥った。チームとして、前へ運ぶ選手も少なかった事もあるが、6喜山が後方に控えているという安心感が無かった事で、守備の憂いを後方に抱えた事で、無意識の内に重心が後ろにあったのが痛かった。26パウリーニョが、前への意識を高く持ち、縦パスを狙い、高い位置まで運べる事もあったが、人数をかけた厚みのある攻撃は、不十分だった。6喜山と26パウリーニョを軸に、様々な組み合わせで、攻守での安定感を生み、岡山の武器としたい。

・3名の内1人がピッチにDHで立つ事の必要性と怪我への不安

6喜山は2020シーズンをほぼ怪我でプレーできず、26パウリーニョも怪我で、トップパフォーマンスを維持できなかった。守備を売りにした両選手だが、怪我への心配も少なからずある。そう考えると、29劉の台頭にも期待したくなる。2020シーズンは、CHの上田、7白井、17関戸の選手がDHも兼ねていたが、中盤の底を任せられるDHとの最大の違いは、安定感やパワーのある守備、攻撃の土台となる守備の基盤にある。守備や攻撃の軽さは、チームとしての安定感を欠き、守り切る事と、攻め切る事を難しくしていた。岡山が、上位を目指す上で、DHの3名は、欠かせないピースである事は間違いなく、1人は中盤でピッチに立っていて欲しい。

・知性と直感そして若さ

6喜山は、危機察知能力や視野の広さを武器に、計算された知性的なプレーでゲームを作る。26パウリーニョは、直感的に感じたプレーで、能動的に動き攻守でプレーの流れを作る。29劉は、若さを武器に力強い守備と技術を武器に中盤に力強さを生み勢いを作る。特性を考えると、スタメンは6喜山で、ゲームを落ち着かせて着実に勝ちに行く。26パウリーニョや29劉で、流れを変えるという起用法が考えられる。タイプの違う3人をどの様に起用していくのかというのは、年間通して安定的に戦って行く中での1つのテーマと言える。

・DH総評:充実度(B)

6喜山の静と知の安定と、26パウリーニョの動と力の安定。タイプは違うが、歴代の岡山でも中盤に安定を守備から生み出せる歴代屈指のDHが、揃っている。歴代のDHと比べて、得点力は見劣りする部分はあるかもしれないが、守備の安定や奪取力は、屈指の実力がある。この計算できる両選手のコンディションの良い状態を維持できれば、安定した戦いができ、勝ち点を積み重ねていく事も可能。後は、対戦相手や日程により、スタメンを変更しつつ、若い29劉に実戦を積む機会を増やす展開が理想である。DHとして、守備から入り、攻撃を下支えする事で、得点力不足の打破に期待したい。

4、CH編

IN:28疋田 優人
OUT:上田 康太

7白井 永地(CH・DH、左右SH、左SBは一度のみ):総合力A・期待度A

7白井永地

・個人成績

通算(174試合12得点)

J2(164試合12得点)
天皇杯(10試合0得点)

・走攻守の3拍子揃った歴代最強のダイナモ

90分間走り切ってもプレーの質が落ちない脅威のスタミナと高い基礎技術を持った選手。攻撃を組み立てる力はそこまで高くないが、攻撃の流れを繋ぐのは、非常に巧い。的確なポジショニングとスペースの隙を見つける嗅覚と、攻撃の流れを読むバランス感覚から導き出されたフリーランは、攻守でチームを助けている。歴代の選手と比べて、特別巧くフィジカル的に優れる訳では無いが、インテリジェンス溢れるプレーが売りで、判断の正確性からプレーの正確性を生み出し、ミスが少ない。攻守でのあらゆる場面でのプレーの成功率の安定感は、間違いなく歴代ナンバー1。その安定感はゴール前でも変わらず、得点力も高い。今季も2020シーズン同様、攻守で岡山を引っ張る選手として期待したい。

17関戸 健二(CH、左右SH):総合力C・期待度C

17関戸健二

・個人成績

通算(268試合9得点)

J2(232試合8得点)
JFL(30試合0得点)
天皇杯(6試合1得点)

・緩急が巧く成長を続ける岡山の誇るハードワーカー

フィジカル的に持久力と柔軟性以外は厳しいレベルにあるが、足りない物を選手として加えて成長して行く中で、岡山で毎シーズン活躍してきた。逆に他の選手に負けているパワーやスピードを独特のドリブルの緩急の武器として、ドリブル突破からマークを剥がしてからのミドルシュートやラストパスで、決定的な仕事をしてきた。もちろん、持ち味の運動量で、攻守で多くの場面に顔を出し、チームを助けた。近年は守備に粘り強さが増し、試合によっては縦パスを多く通し、選手として更なる高みを到達しつつある。ただ、近年は、強力なライバルの加入や、自身の怪我などもあり、出場試合数は、ピーク時よりは減りつつある。それでも、歴代の監督の高評価は変わらず、どの監督の下でも信頼を掴み、試合出場を重ねて来た。今季も重要な戦力として、期待がかかる。

28疋田 優人(CH):総合力?・期待度D

28疋田優人

・個人成績

ルーキーのため出場記録なし

・岡山に足りない物を埋めてくれる可能性ある選手

ミドルシュートとキック精度が武器であるという情報だけからでは、どういった選手か読み解くのは難解ではあるが、チームに足りない要素を埋める選手を獲得するという観点と、移籍の動きからどういったプレーに期待して獲得した選手か予測する事は可能である。期限付き移籍で、甲府に期限付き移籍していた武田 将平が京都へ完全移籍した事で、ミドルシュートでの得点を狙えて、中長のパスでチャンスメークできる選手が不在となった。そこが、チームにとっても足りない点であると思うので、そこを補える可能性のある選手であると予測できる。後は、その判断の正確性や守備がどれだけ出来るかである。こればかりは、試合で見て見ないと分からない。仮に開幕スタメンを勝ち取る事が出来るのであれば、キック精度だけではなく、判断力やフィジカルもプロで戦えることの証左となるので、開幕戦は、現在地を測れる場となる。

5、CH(考察)

・バランスの取れた構成

ベテランの域に入りつつある17関戸と、中堅の7白井、新人の28疋田という構成。基本的には、計算のできる17関戸に、昨季加入し、チームMVP級の活躍をした7白井の二人でスタメンを争う形になるが、そこにルーキーの28疋田が、どう食い込んでいけるかという構図となっている。総合力の高い7白井を軸に、計算できる17関戸、この2人と違った持ち味をもつ新人の28疋田との共存を含め、様々な組み合わせや、チームとしてCHとして、まだまだ伸びる余地があるのと同時に、崩れない安定感のあるポジション構成となっている。

・岡山を体現する2人

17関戸と7白井の武器は、運動量の多さとフリーランの質の高さにある。17関戸が、岡山で、長くプレー出来ているのは、やはり走れたというのが大きい。17関戸は、無駄走りという守備時に寄せ過ぎる事や、攻守で連携が取れていないフリーランが少なく、フリーランの質が高かった。更に7白井は、フリーランの質が高いだけではなく、守備に力強さ、攻撃では得点に繋がるパワーランとも言えるぐらい走りが活きた。17関戸は、どちらかと言えば、サポートを主体としたランであるとすると、7白井は、積極的に攻守に関与しようというランである。例えば、パスの受け手になろうという17関戸に対して、ラストパスの受け手になろうという頻度が高いのが7白井のラン。この2人のフリーランが、2021シーズンでも走る岡山を象徴するプレーを魅せる事で、活躍してくれることは間違いない。

・ゲームの組み立てや縦パスに不満

走って守れる選手が揃っている一方で、縦パスを狙える選手や、パスでゲームを作れる実績のある選手が不在。良いFWが居ても出し手が不在であれば、シュート機会も限られる。17関戸も7白井も悪くはないが、過度の期待は禁物である。元岡山である矢島 慎也の様な選手も欲しいが、なかなか難しい。せめて、キック精度の高い武田 将平や上田 康太の様に、一本のパスで、決定機を作れ、得点を狙える選手が、DH・CHのどちらかに、要ればチームとして、より高みにいける筈であるので、29疋田にもチャンスはある。

・CH総評:充実度(B)

運動量とフリーランに特徴のある選手の17関戸と7白井を擁する点は、岡山史上最強ではあるが、キック精度に特徴のある選手は、29疋田のみという構成。中盤における長短のパスと、ミドルシュートは、必要な武器であり、大きな展開からの脱却を計った昨季から一転して、新人で獲得。チームとしての幅を広げる意味で、29疋田には、期待がかかる。チームとしての幅と伸び代が武器である有馬監督の方針として、7白井を軸に、状況に応じて、17関戸はもちろん、29疋田にも出場機会が早い段階でも不思議ではなく、実力者揃いで、満足の行く編成。

6、左SH・OH編

IN:なし
OUT:武田 拓真

14上門 知樹(左右SH・OH、ST):総合力B・期待度A

14上門知樹

・個人成績

通算(117試合24得点)

J2(80試合21得点)
J3(35試合2得点)
天皇杯(2試合1得点)

・岡山史上最強のミドルシューター

歴代の岡山の2列目の選手中で、ドリブル後からのシュートが一番巧い選手である。残念ながら浮き球のボールやダイレクトシュートは、元岡山の押谷 祐樹、仲間 隼斗、豊川 雄太といった選手と違い、あまり得意ではない。ドリブルは、それなりの成功率を誇るが、ドリブラーではない。ただ、抜き切らずともシュートまで行くのは、非常に巧い。ゴールへの意識が非常に高いので、ゴールに近い選手も良く見えており、ラストパスも配給も巧い。昨季終盤こそ、シュートを警戒された事で、シュート機会やラストパスは減ったが、岡山に来て2年目、そして上田 康太の14番を受け継いだ14上門には、連携の深めてのアシストやゴールに期待したい。

25野口 竜彦(左右OH・ST):総合力D・期待度C

25野口竜彦

・個人成績

通算(27試合1得点)

J2(27試合1得点)

・狭い所で持ち味を発揮するファンタジスタ

周囲が良く見える選手。運動力が少なく、スピードも無い事から、定位置をあまり動かないタイプの選手。運動量の求められる左SBを任された時は動きが乏しく、攻守でプレーにあまり関与できなかった。左SHで出場した際は、局面では力を発揮した。運ぶというよりは、足下で受けて、寄せに来て奪い来た選手をいなすのが巧い。スピードやパワーで、突き破るというよりは、細かいボールタッチや相手の動きのベクトルを利用して、ボールをずらす事で、局面を打破し、次のアクションを起こせる選手である。よって、左OHを想定しているが、トップ下というポジションがあれば、密集し易く、中央に構えておけばいいので、そこがより輝く選手であると思うので、4-2-3-1や4-1-3-2、4-1-4-1といったシステムも検討して欲しい。

7、左SH・OH編(考察)

・本職2人体制の是非

14上門を軸に戦って行く事になる。昨シーズンの過密日程でも多かった出場数を考えると、問題ないと考える事もできる。ただ、サッカーは何があるか分からない。そう考えると、決して小さくないリスクではある。加えて、25野口のフル出場は難しく、他ポジションから引っ張って来る事で、対応することになってしまう。そう考えると、14上門と一緒に戦い抜くという事に強いチームのメッセージを感じる。仲間 隼斗の後釜として、チーム最多得点こそ決めたが、大きすぎた前任の代役を埋めきれなかったシーズンとなった。今季は、2年目という事もあり、前年以上に求められる期待は大きい。その期待に、14上門が応えられるかどうかは、順位に直結する。

・25野口の可能性

昨シーズン、出場機会が何度かあった25野口。違いを魅せる事のできたプレーもあったが、限界を感じたプレーもあった。14上門の様に得点を積み重ねる点に対しての期待は、あまりできない。しかし、違いを出せる局面を如何に作れるかという考え方での起用ができれば面白い選手である。そう考えると、14上門と同じ役割ではなく、14上門との共存や、システムチェンジなども視野に起用していきたい選手でもある。また、14上門は、運動量もあり、献身的な守備も出来る選手だが、25野口は、どこかでセーブしないと45分でスタミナ切れする選手でもある。この辺り、攻守での工夫が必要で、少しでも長く、かつ効率的なプレーが出来るという視点でのプレーに期待したい。

・外へ(から)行くか内へ(から)行くか

14上門は、基本的には、密集地から離れた外にポジションを取りつつ中へ仕掛けて行く印象が強い。そこからドリブルやパス交換で、右足でシュートまで行くというスタイル。時には、外のスペースへ走ってクロスという選択も選ぶことがある。一方で、25野口は、スピードがないので、外に深く入っていくプレーが得意ではない。サイドに張るというよりは、中にどう入って行こうか考えてプレーしている印象を持つ。ただ、チームスタイル的になかなか中に入っていけなかった。そこが如何に出来るかがアシストやゴールという結果に繋げられるかのポイントなる。逆に14上門は、如何に密集地帯を避けつつ、少しでもフリーでシュートを打てる形を作れるかが、ポイントとなる。

・左SH・OH総評:充実度(C)

14上門のバックアップ(90分間走り切る選手)不在という事で、層の薄いポジションである。ただ、巧く起用すれば、違いを出せる2選手であり、面白い選手が揃っている。昨季以上の活躍に期待したい14上門と、限定的ではあるが局面で力を発揮できる25野口の可能性を如何に広げることが出来るかという2点に期待することとなる。緊急時には、他のポジションから引っ張って来て、対応する事になる。理想は、14上門が一年間怪我なくスタメンとして試合数重ねて、25野口も経験を積むことが出来れば、大きな武器となる可能性を秘めた編成と言える。

8、右SH・OH編

IN:10宮崎 幾笑
OUT:三村 真

10宮崎 幾笑(OH、ST):総合力A・期待度A

10宮崎幾笑

・個人成績

通算(96試合14得点)

J1(2試合0得点)
J2(62試合9得点)
J3(25試合4得点)
リーグ杯(1試合0得点)
天皇杯(6試合1得点)

・待望の10番らしい10番

テクニックのある選手でもあり、視野の広い選手でもある。ゴール動画を見る限り、裏への抜け出しが非常に巧い。また、ペナルティエリア内に入ってからも冷静で、タッチが柔らかく、質が落ちない。バイタルエリアやゴール前でのプレーの質に不満があった昨季の課題への答えとして100点満点の解答と言っても良いだろう。18齊藤が右SHを起用するまでは、ここに主導権を握れなかったという趣旨のコメント有馬監督が残していたが、今季は、武器になりえる活躍が期待できる選手であると思う。本人談の「10ゴール10アシスト」という目標以上の結果も現実的な目標と言え、十分狙える数字であり、岡山躍進の可能性を高めることへの期待値の高い選手であると思います。

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27木村 太哉(左右SH、左右WG):総合力C・期待度B

27木村太哉

・個人成績

ルーキーのため出場記録なし

・仲間 隼斗になれる可能性?

新加入会見を見た限りだと、岡山が好む誠実な人柄の選手だと感じた。それ故に、献身的な守備も期待できる。記事を見た限りだと、ドリブルに特徴がある選手でもあるので、第2の仲間 隼斗になれるのではないかと期待しています。ミドルシュートでも得点を決める力もあり、積極果敢にドリブルを仕掛けて搔き乱す役割をメインとしつつ、守備もサボらず続ける。岡山の新たな切り札になれる可能性を秘めた選手だと感じています。

35山田 恭也(左右SH、左右OH):総合力?・期待度E

35山田恭也

・個人成績

出場記録なし

・岡山ユースの星になれるか

岡山ユース出身の唯一の選手。チーム編成上、何人かを保有していなければならないので、岡山ユースで一番期待できる選手だったという事になる。岡山ユースでのトップチームで、主軸として活躍した選手は、未だにいない。そう考えると、そういった選手になって欲しいというのは、当然ある。一方で、J1昇格を目指すチームにおいて、実力差というのは、致し方ない部分はある。サッカーは、テクニック・フィジカル・メンタルといった様々な要素を如何に活かせるようにチームにフィットするというのもあるので、自分の武器を見つけ、プロとして、J2の岡山で、出場機会をまずは掴んで欲しい。

9、右SH・OH編(考察)

・待望のFW色の強い2列目の選手を獲得

昨季は、MF型の選手が右SH・OHを任されることが多かった。しかし、今季はFW色のある得点力のある選手が揃っている。チャンスメークや献身的な守備が良かった一方で、攻撃が物足りなかった右サイド。10宮崎のテクニカルなドリブルや、27木村の戦車の様な力強いドリブル。この2人の加入で、岡山の右サイドが劇的に変わる予感しかしない。10宮崎が、10ゴール10アシストという目標をクリアし、27木村が、元岡山の仲間 隼斗の様にどんどん仕掛ける事が出来れば、昨季の得点力不足がから一転して、1試合2点以上という重厚な攻撃も可能となる。そういった期待が非常に強い。

・共存と吸収

昨季の戦力分析の記事で、右SH・OHについて、FW色の強い選手の起用かMF型の起用の可能性について述べたが、今季は、FW色がより強くなると思われる。ただ、チームとして、色々な選択肢があるので、FWから選手をここに引っ張ってくる事や守備的MFも引っ張って来る可能性も依然としてある。ここで、名前を挙げた選手以外にもそれだけ候補いるため、チームとして、色々な選手が共存する可能性や、組み合わせの選択肢は多い。監督が、この辺りどういった決断をするのかは、開幕までは分からないが、今季は、昨季と一転して、右サイドの得点のパターンは、間違いなく増える。

・攻撃的な選手は他チームで燻ぶっている若い選手を軸にという流れを

正直、岡山の資金力では実績のある選手の獲得は難しい。そう考えると、若くて出場機会を求めて、移籍を模索している選手に声をかけるのが、現状はベストであると思います。他チームの主軸クラスを引っ張って来るのが一番良いのかもしれませんが、岡山では、それが難しい。やはり、完全移籍での保有権を持つ選手で固めた昨季の安定感と対して、爆発力に欠けて低迷した。今季は、チームとしての若返りを図った事を考えても、ここで、好成績を残す事が出来れば、この流れに戻す事が可能となる。そういった意味でも10宮崎やルーキーの27木村には期待したい。

・右SH・OH総評:充実度(B)

ドリブル・パス・シュートのどれも光るものがある新10番の10宮崎。強い精神力と、ドリブルに特徴のあるルーキーの27木村、ユースの道筋を作るために初出場を目指す35山田という構図。岡山での実績のある選手は不在ではあるが、金沢の実績のある10宮崎への期待は大きい。27木村はルーキーであり、プロとしてどこまでやれるか未知数。35山田は、まだまだこれから。そういった意味で、どれだけやれるのかという不安は確かにある。しかし、それ以上に、どれだけやってくれるのか、どういった変化を岡山にもたらしてくれるのか。そういった期待の方が大きい。良い選手が、揃ったポジションであると思います。

10、MF編(考察)

・完成図が見えた中盤

昨季より守備をより安定的にし、得点力アップの両方を狙える陣容が揃った。DHに6喜山、CHに7白井、左SHに14上門、右OHに10宮崎が恐らく現段階のベストメンバーと言える。2列目は、ドリブルでもパスでも仕掛ける力を持っているだけではなく、シュートも巧く得点を狙える。14上門は、外のスペースからの攻撃を得意とし、10宮崎は、中のゴールに近いところで、力を発揮できる。6喜山がスペースをケアし、攻撃のサポートするポジションでチームを落ち着かせて、7白井が攻守のあらゆる場面で顔を出し、厚みを作る。役割がしっかりしていてしっかりバランスが取れている。この4選手に他のレギュラー候補の選手が、スタメン奪取を含めどれだけ絡めるか楽しみである。

・フォーメーションの幅

4-1-2-3、4-2-3-1、4-1-4-1という中盤の構成を変更する事が可能な個性のある選手が揃っている。監督としては、コンディションが良い選手や対戦相手に応じて、色んな選手を起用する選択肢が持つことができる。スタートに限らず、試合内容や試合展開によって、選択肢の幅が広ければ、チームとして安定した結果を残す事に繋がるので、開幕までに色々な組み合わせや形を試しつつ、形にして欲しい。実際に4-2-3-1もTMで試しており、確かな手応えを感じている様だ。

・唯一の弱点

やはり、MFの選手を見た時に、縦パスというのが、今季も少なくなるというのが、正直な感想。確かに岡山の求める運動量のある選手で縦パスの出せる選手というのは、リーグ全体を見渡しても希少価値が高い。そう考えると、遅攻でも得点力を上げつつ、運動量で、守備を安定させる。これは、合理的な判断と言える。確かに、速攻を狙い続けるというのもローリスクローリターンで、安定こそするが、通用しなかった時に手詰まりになってしまう。難しいサッカーを追い求める事で、上限値は高くなり、チームとしての伸び代は、必然的に大きくなる。そう考えると、終盤でも勝てるチーム作りに向けて、この中盤のタレントで出来るサッカーをどこまで突き詰める事ができるか注目したい。

・MF総評:充実度(B)

昨季のテーマであった競争がチームのレベルの向上に繋がるという狙いの編成でしたが、過密日程と怪我人の多さで、パフォーマンスを維持するのがやっとで、サッカーの方向性を共通理解として、浸透させるに留まったMF。その点、今季は、競争からの進化が期待できる編成。特に2列目の得点力増に期待でき、他ポジションも兼ねていたボランチもボランチに専念し易い編成となっている。運動量を維持しつつ、距離感を大事にし、攻守のバランスを保ち、2列目で違いを出す。各ポジションに個性豊かな選手が揃っている。有馬監督が、どういった判断を下し、どういったサッカーを志向するのか楽しみである。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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