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2021ファジアーノ岡山にフォーカス2「2021編成評価」 Part4:FW(ST・WG、CF)編

1、前書き

今回は、2021シーズンの開幕前の編成についてフォーカスを当てたいと思います。Jリーグ全体でのファジアーノ岡山についての編成評価が、客観性が高く理想ですが、私が一番良く見ているファジアーノ岡山の歴代の選手(監督)と比べて、どうかという視点での評価していく事で、より分かり易いのではないかと思い、今回のフォーカス記事を書いていきたいと思います。

また、記事を分割して投稿していきたいと考えており、完成した場合は、同様の内容の記事を1つに統合したものを再アップ予定です。その点は、ご了承下さい。

【 評価基準 】

A・B・C・D・Eの5種を使います。
良:A~E:悪

実際に見ることが出来ていない選手は、選手自身のインタビューや、実績、動画、過去の選手名鑑などを参考に、評価を書きたいと思いますので、ご了承下さい。
また、ポジション毎に評価基準の厳しさは違いますので、同じAやEであっても違う評価の場合もある点もご了承下さい。
加えて、表記上、監督や選手という文言を一部省略させて頂いていますが、プロの監督や選手として、最大限の敬意を持った上で、書かせて頂いていますので、その点もご理解頂けると幸いです。

それでは、宜しくお願いします。

2、ST・WG編

IN:なし
OUT:なし

15山本 大貴(ST、CF、左右OH):総合力C・期待度C

15山本大貴

・個人成績

通算(196試合25得点)

J1(18試合1得点)
J2(160試合23得点)
リーグ杯(5試合0得点)
天皇杯(13試合1得点)

・密集地帯でも光るチャンスメーカー

ゴール前の密集地帯でもパスを呼び込む動き出しの質が高い。FWという事で、自らシュートを狙う事もあるが、味方を活かすパスを出す事に特徴がある選手。ボールを持った時のキープの仕方や、パスの出すタイミングが、絶妙。敵・味方選手の細かい動きを瞬時に読み取り、一瞬の隙を突く。ゴール前でのパス交換を円滑に行う事ができる選手で、前線での流動性を高め、チームの攻撃にリズムを生み出す。守備では、ファーストディフェンスで、前線から献身的にプレスをかける。早めに交代で下がる事も多かったが、チームのためにという強い気持ちを感じる選手。今季もストライカーをサポートする1.5列目のシャドーストライカーとしての得点に絡む活躍に期待したい。

18斎藤 和樹(左右WG、CF、左右SH):総合力C・期待度C

18斉藤和樹

・個人成績

通算(288試合46得点)

J1(24試合0得点)
J2(238試合38得点)
リーグ杯(12試合1得点)
天皇杯(14試合7得点)

・ライン際のウイングドリブラー

外に流れるプレーを得意とするドリブラー。特にライン際での駆け引きが得意で、2,3人に囲まれたポジションでも1つのフェイントのターンで、振り切りゴール前に近づくことができる選手。そこからのラストパスのお膳立てや、隙があればシュートも狙える。また、昨シーズンは、頭で合わせる形で、ゴールを決めたシーンや惜しいシーンを何度か作った。外でのドリブルが光る一方で、細かいタッチやテクニックが要求されるゴール前は、シュートまでに戸惑い、シュートブロックに合う事も少なくなかったので、昨季の頭で合わす形や、スピードを活かして裏へ抜けるプレーなど、今季はより得点にも絡むプレーにも期待したい。ただ、基本的には、外を第一の選択肢に考え、中を二つ目の選択肢に考え、持ち味を存分に発揮して欲しい。

3、ST・WG編(考察)

・ベテラン2人を軸に

STとして、内でのチャンスメークやCFのサポートとしては、落ち着きと献身的な守備や攻撃の選択も冴えている15山本を基本に考えておきたいポジション。WGとしては、サイドからのチャンスメークが得意な18斎藤を基本に考えておきたいポジション。この辺り、コンディションや他のポジションの組み合わせ等を考慮し、スタメンや交代起用が考えられる。

・守備強度の維持のため交代の選択の優先度が高い

ベテラン2人を基本と考えているので、前線からの献身的な守備を売りとしている岡山としては、運動量維持のために交代優先度は高い。時には、後ろの選手を増やす選択肢や数を増やす事もある。そういった意味で、若い選手が中心となった補強の動きに対して、静かだったこのポジションもある意味、重要視しているとも感じる。

・他のポジションから代役も考えられる

基本的には、後ろを軸にバランスを見つつ、姿を変えるのが前線である。他のポジションからスライドさせて、ここに入る事や、一時的にポジションを変える事もある。有力候補としては、2列目の14上門、10宮崎、25野口、27木村といった選手となる。よって、ここへの手の入れ方で、監督がチームとして守備的に行っている、攻撃的に行っている。そういった事が、判断できるポジションで、選択肢の幅を昨季より広がっており、戦術的な柔軟性は高まっている。

・ST & WG総評:充実度(C)

計算できる選手2人を軸に考えたいポジションであるが、基本的には動きがなかったポジション。昨季の得点力不足を考えると、少し物足りなく感じる。よって、基本的には、他のポジションからのスライドを選択肢の比重は大きく、内と外のチャンスメークの変化だけでは甘いと感じられれば、積極的な変化を選ぶ可能性も高い。また、得点力が伸びなければ、夏場の補強も考えたい。ただ、18斎藤と15山本の2人のパフォーマンスは、非常に安定しており、怪我明けの昨季よりコンディションが良く、2人で半々を基本方針として、戦って行く事になるが、この2人で、今季を戦い抜くのも悪くない。

4、CF編

IN:20川本 梨誉
OUT:赤嶺 真吾、ハディ・ファイヤッド

9李 勇載(CF):総合力A・期待度A

9李勇載

・個人成績

通算(279試合55得点)

J2(197試合46得点)
天皇杯(3試合0得点)
フランス2部(39試合3得点)
フランス3部(29試合4得点)
F・リーグ杯(2試合0得点)
フランス杯(9試合2得点)

・岡山最多得点記録を持つフィジカルが武器のエース

スピードとパワーを兼ね備えた岡山のエース。ディエルで簡単に倒れない圧倒的なボディバランスを持っている。ロングパスの比率が下がってきている有馬ファジでは、ロングパス一本で、競り勝って抜け出すというシーンこそ減ったが、随所随所に強さを発揮している。得点パターンは、力強いものが多く、ゴールの嗅覚で嗅ぎ分けた上で、フィジカルで、危機察知能力のあるDF選手を一歩上回り、力で決めるというゴールも少なくない。シュートやドリブルは、そこまで得意ではないのかもしれないが、テクニックをも凌駕するパワーで、シュートコースを見つけ出し、決める。エースの完全復活に向けて、フィジカルの強さを発揮できる場面を如何に作れるか。岡山としては、J1昇格のためにもゴール前のシーンを増やしたい。

20川本 梨誉(CF、左右WG、SB):総合力B・期待度A

20川本梨誉

・個人成績

通算(13試合1得点)

J1(8試合1得点)
リーグ杯(3試合0得点)
天皇杯(2試合0得点)

・清水から来た俺系ストライカー

天狗になっていたと反省の弁を語るほど、プレーに自信を持ってプレーできる選手。清水で、初スタメンでの監督の起用に、初ゴールで応えるという大舞台に強い、勝負強さの様なものを感じる。ゴールは、自分がこういったプレーをすれば、得点を決める事ができるという自分を信じる事から始まる。そういった意味で、ストライカーとしての天賦の才とも言えるメンタリティを持っている。決して、フィジカルだけに頼る選手ではなく、確かな技術も持っている。元岡山の仲間 隼斗、押谷 祐樹の様な熱くなるような激情の様な荒々しさを持っているのか。ただ、自信過剰な選手で終わるのか。岡山で実績を残す事で、清水に戻っていく事を含め、ステップアップできるかどうか。岡山のエース9李とのFW争いに、勝てるかどうか。本人には、尻込みするどころか、結果で勝ちとる意欲を見せている。是非とも、そういった気持ちを、結果に繋げて欲しい。

32福元 友哉(CF、ST、OH):総合力E・期待度E

32福元友哉

・個人成績

通算(35試合1得点)

J2(33試合0得点)
天皇杯(2試合1得点)

・まずは心身ともにコンディション

大怪我の影響もあり、まずはベストコンディションに戻すという事から始まる。怪我で離脱する前に、天皇杯でプロ初ゴールを決めた後に、力みが抜けたプレーが出来ていた。判断の遅さやプレーの不安定さという粗さが目立つ一方、強烈なシュートや強さといった輝くものを随所にあった。そういった強さを再び活かすためにもベストコンディションに戻す事。怪我の影響は、しばらく続くが、メンタルがしっかりしてくれば、自分の出来る事をしっかりできる。昨季終盤に出た際は、なかなかプレーに絡めず、厳しい内容であったが、得意のポストプレーなどに磨きをかけて、岡山でも違いを出せる選手として、試合出場を目標に着実に前進して欲しい。

25、CF編(考察)

・新旧&日韓代表のエース争い

元韓国代表で、岡山のJ2での最多得点記録を持つ9李に、清水の世代別代表の20川本が、スタメン奪取を虎視眈々と狙う構図。9李のフィジカルを活かした仕掛けや得点力は、J2でも屈指のレベルにある。対する20川本もフィジカルとテクニックの両方を兼ね備えるストライカー。キープ力もあるので、ボールを持てば何かをしてくれるのでは期待感がある。20川本は、未知数の部分もあるが、楽しみな選手で、9李とのスタメン争いは、非常に楽しみ。

・32福元はコンディション回復から

怪我での離脱直前のプレーは、力みが抜けて迷いのないプレーが出来ていた。そういったプレーを取り戻すためにも、まずは、コンディション回復して、自身を持ってプレー出来る所から。9李や20川本と比べて、どうしても期待度は、低くなるが、岡山の将来のエース候補として、出場機会を重ねて欲しい。9李と20川本を軸に戦って行く中でもチャンスはあると思うので、飛躍の一年に出来る可能性も十分あるので、期待したい。

・ポストプレー特化のストライカーが現れるか?

エースストライカーと言える得点力に特化した選手が9李。20川本がどういったタイプのストライカーは、公式動画だけではまだはっきりと分からないが、フィジカルとテクニックに優れたストライカーであることが分かる。元岡山の赤嶺 真吾、押谷 祐樹といったストライカーは、ポストプレーも巧かった。縦パスを志向する上で、そういった役割を20川本ができるかどうか。ここは、大きなポイントである。32福元もそういったプレーが出来れば、スタメンの可能性もあると思うので、注目したいポイント。

・CF総評:充実度(B)

9李を脅かすCFと言える存在は、長澤元監督体制及び有馬監督体制でも、脅かされる事はなかった。常にCFは、9李を軸にチームを作られていた。そこに今季は、清水から怖いもの知らずの若武者の20川本の加入。そういった意味で、CFにも競争が生まれるのではという編成は、楽しみなポイント。32福元も高さや運動量、献身性の部分で、出場機会はあると思うので、9李と20川本の競争に、割って入れる様に32福元のアピールに期待したい。今季のCFのパワーは、岡山史上屈指だと思うので、その辺りに前面に出して、戦えれば、互角以上の戦いも十分できる編成。

6、FW編(考察)

・動きが少なく計算できる陣容のFW

9李と役割が被りがちだった清水 慎太郎の代わりに、20川本を補強。どこまで活躍できるかという点では、未知数であるもののフィジカルとテクニックの両面で、強みのある清水の将来を背負う可能性のあるストライカーという意味で、伸び代は大きい。開幕時の戦力としては、維持もしくはダウンかもしれないが、試合数を重ねて、チームにフィットして行く中で、最終的にアップ出来れば、チームとしての得点は増えてくると思う。9李と15山本、18斎藤といった選手は、昨季は、コンディションが良い時期が少なかったが、今季は、コンディションが良い時期を長くできるかどうかもポイント。

・変則的になるか本来想定したFW起用となるか

過密日程と怪我人が多かったという事もあり、昨季は、本来想定していた組み合わせを出来なかったのではないか。例えば、15山本と18齊藤という組み合わせも悪くはないが、15山本は、内からのチャンスメーク。18齊藤は、外からのチャンスのメークが巧い選手。中にどっしり構えられる9李や清水 慎太郎とのどちらかとコンビを組むことを軸に考えたかった筈。FWとはいえ、ゴール前に張り付くだけでは、なかなかチャンスを作れない。昨季は、本当にこの辺りのやり繰りは、大変だったと思う。そう考えると、通常日程で、一年間戦えるかどうかは、得点増を狙う岡山にとって、順位に直結してくる問題と言える。仮に資金力があるチームであれば、総合力の高いFWも獲得できるが、岡山だとそうはいかず、工夫が必要となる。

・縦パスを如何に引き出せるか

昨季は、遅攻に重点を置いていたこともあり、縦パスが少なかった。加えて、縦パスの得意な選手も少なく、CFになかなかボールが入らない試合もあった。そういった意味で、パスを呼び込めるポジショニングやポストプレーの質を高められるかどうか。これは、シュートの機会増やカウンター増が狙えて、攻撃のスピードを速め、バリエーションを増やす事ができる。この辺り、新加入の20川本や内側でのチャンスメークの巧い15山本、高さのある32福元辺りに期待したい点である。

・FW総評:充実度(B)

フィジカルを武器とする9李というエースを軸に、新エース候補の20川本。将来のエース候補の32福元と、内からのチャンスメークの巧い15山本と、外からのチャンスメークの巧い18斎藤という編成。基本的には、CFタイプとST(WG)タイプの選手と組ませるのが、バランスが良い。ただ、CFタイプを2枚並べる選択肢やST(WG)タイプを2枚並べる選択肢もある。5人中、4人が昨季所属メンバーという事で、連携にも問題なく、昨季よりは選手のコンディションも良さそうで、監督の起用が当たる試合も昨季よりは多くなるのではないかと、期待できる編成。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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