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2023ファジアーノ岡山にフォーカス12『 2節を終えた両チームの現在地 』J2 第2節 ファジアーノ岡山 vs 清水エスパルス

J2 第2節(2023/02/26)
ファジアーノ岡山 0 vs 0 清水エスパルス
シティライトスタジアム

 岡山と清水は、原 靖 前強化部長(現在は町田のフットボールダイレクター)の就任と共に、急接近した。

 22シーズンには、梅田 透吾(怪我によるシーズン途中で契約解除で清水にレンタルバック)、河井 陽介(岡山に来るまで清水一筋)、チアゴ・アウベス(清水でも活躍したストライカー)、ミッチェル・ デューク(同じく清水で活躍したストライカー)、川本 梨誉(清水期待の若手のストライカー)が、岡山に所属した。岡山への練習参加から清水に加入した乾 貴士の存在もあり、岡山サポーターは、清水の残留を、清水サポーターは、岡山の昇格して欲しいという声をよく目にしてきた。

 清水の選手に、日本代表の選手やJ1得点王の選手のように、有名な選手がいることも影響しているかもしれないが、個人的には、双方への想いとJ1への想いが、満員御礼の開幕戦という最高の空間が誕生した。

 とはいえ、勝負の世界。両チームとも勝ち点3を目指して激突した。

 重要な一戦であったが、書き始めから日にちが経過していることから要点を絞ったコンパクトな内容、特に両チームの基本スタイルと選手評を軸とした内容となっている。いつもとは違う感じになるかと思いますが、よろしくお願いします。

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1、受ける時間帯

 2試合目であるが、今季の岡山のシステムの変化により、確かな変化がより明確なものとなった。それは、やはり受ける時間帯が、はっきりしたことだ。第1節の磐田戦も今節の清水戦も、開始してしばらくは、対戦チームである磐田や清水がボールを持ち、サイドから仕掛けられる時間帯が長かった。

 今季の岡山は、前から行く意識が下がったというよりは、4-3-1-2になったことで、後方の中央が厚く、サイドが薄くなった。そして、3-1-4-2に比べて、前からプレスに行く人数と強度も下がったことで、受けなければならない時間帯(アッタキングサード付近まで運ばれ易くなった)が、分かり易くなった。

 ただ、岡山としては、並び上は、4バックだっが、実質は5バックみたいな形になった上で、左CHと右SBが、サイドを蓋して、DHとCH、OHの3人が流動的に対応して、スペースをケアすることで、守り易い形を作れている。ボックス内も空中戦に強いCBとGKがいることで、簡単には失点しない(磐田戦のように点と点で合わせられたり、至近距離まで運ばれてのシュートを防ぐのは難しいが…)ことで安定している。

 これは、清水戦でも当て嵌まり、磐田よりドリブルで仕掛けるアタッカー気質の強い選手が揃っていることで、磐田戦以上にサイドでの攻防が激しく、被シュートからのセットプレーというシーンも増えて苦しい時間帯が長かった。22佐野 航大と48坂本 一彩といった個のキープレイヤーが不在ということもあり、より厳しい内容となった。

 両サイドのSBの交えた攻撃にボランチが絡んでくる中で、前線の強力な2トップの内、9チアゴ・サンタナにボールが入ると、収まる上に、仕掛けられることができて、シュートレンジも広いという事で、対応にやや苦しんだが、しっかり付く事と囲むことを徹底して行く中で、シュートコースを消して、得点は許さなかった。18ディサロ・燦シルヴァーノの運動量があり、攻守に捕まえるのが難しい選手ではあったが、岡山はチームとして流動性がある分、ある程度対応できた。

 基本的には、中央ではなく、サイドからまず仕掛けさせる守り方が、現段階のスタンダードとなりそう。ただ、これから様々なスタイルのチームと対戦していくこととなるので、違う形が見えるかもしれない。


2、攻める時間帯


 岡山の攻める時間帯としては、やはりパスを繋いで運ぶ事ができた時間帯は、岡山の時間帯である。ポゼッションというよりは、カウンター色の強いパスワークが岡山のパスワークの特徴と言える。時間をかけて守備ブロックを崩すというよりは、効率的にゴール前に運んで、隙を突いていくということが岡山の狙いの1つだ。

 磐田戦と清水戦でも、このパスワークができた時間帯は、良い形でシュートまで行けた事と、パスワークの後の長い距離を走ってからのロングカウンターもしっかり得点に結びついた。ただ、今後は、このプレス網の精度の高くなていく磐田やゴールを割れなかった清水の堅守のチームに対して、ゴールを決めることができる完成度のあるチームを作って行かなければ、昇格は、厳しい。とはいえ、清水勢の2連戦で、1勝1分というのは、価値のある結果であったと言える。

 今後のポイントとしては、ゴール前を固めてというクラブに対して、どういった攻撃パターンを用意できているかである。シンプルに高くなっているので、シュートを打っていくことで、CKを獲得して高さを活かして、得点を狙っていくだけではなく、ドリブルで仕掛けることもできる選手やシュートの巧い選手も増えていて、左利きのSBやSHのできる選手が入った事で、クロスからの得点パターンも期待できそうではないかとは、ここまで2試合を観ていて、感じる所である。

 実際にどこまでできるかは、今後の試合を観て行きたい。


3、清水視点でのスコアレスドロー


 やはり、清水が、長年残留争いに巻き込まれてきた影響が色濃いというのが、率直な感想だ。J2の長い岡山サポーター目線で観ていくと、組織的に戦わず、個の力のみで戦うチームは、J2には、存在しなくなった。その中で、独自スタイルを確立したチームが、結果を残している。近年の戦術リーグのであるJ2にも、J1クラスの個の力を持った選手も増えてきて、組織的に戦えるチームだけではなく、個でも戦える(対応できる)クラブが増えてきた。

 清水のサッカーは、カウンター色が強く、負けないサッカーの意識が高くなっていたことで、守備の堅いチームを主体的に攻めるという点が、結果的に、個人技頼りになってしまっている。J2では、逆に個の優位性を組織的に活かしていくというサッカーまで求められるが、現状はまだそのスタイルを清水が確立できていない。

 もし、失点しない。負けない。カウンタ―を狙う。個人技を軸に戦う。という方針で戦い続ける事となれば、今季の昇格は厳しいものとなるかもしれない。どこかリスクを冒していかないといけない。

 とはいえ、J2では、群を抜いた戦力であり、J2のサッカーに慣れて行く中で、勝ち点を積み重ねて行くだけの戦力がある。まだ、2節(執筆段階では、清水は3節消化した)終わっただけであり、この辺りを清水が、どう結果に繋げて行くのか。サッカースタイルや選手起用などの戦い方から見守りたい。


4、両チームの選手について


2高木 友也(岡山)
 14田中 雄大が、負傷交代するアクシデントがあったが、2高木 友也を長く見る事ができた。時間が経つにつれて、高い位置でボールを持てる時間帯が増えて、クロスがもう少し低ければ、アシストに繋がりそうなクロスを入れて行くシーンなどもあり、左の2高木 友也、右の16河野 諒祐という新たな岡山の形になりそうだ。

28吉田 豊(清水)
 岡山の誇るドリブラーである9ハン・イグォンや19木村 太哉が抑えた対人守備というのはやはりJ1で戦って来た選手であると感じた。ここで優位性を岡山が持つことができていれば、もう少し攻めるシーンを作る事ができたかもしれないが、抑えられたことで、岡山の攻撃の攻め手が少なくなったのも事実である。

18櫻川 ソロモン(岡山)
 普通に対応したら簡単に抑えられない。そのフィジカルの強さは、間違いなく岡山の武器となっていた。2山原 玲央が、手や腕を使って、守備に四苦八苦していたが、50鈴木 義宜が対応する事で、明確な優位性こそ失ったが、やはり岡山の武器となっていた。99ルカオも加入したことにより存在感を増す事になりそうだ。

10カルニーニョス・ジュニオ(清水)
 バイタルエリアに入って行って、放たれたシュート。完全にやられたと思いました。幸いにも枠内には飛ばなかったものの岡山の中央の守備を無力化させた形であり、大きな決定機の1つではあったことは間違いないと思います。小刻みに出だし良く進むドリブルは、岡山の脅威の1つであったと思います。

8ステファン・ムーク(岡山)
 攻守に非常にのびのびプレーできている。サッカーをやっていて楽しいだろうなと感じられるぐらいの自由を岡山の中で感じる。攻守で非常に効いていて、2トップと中盤の3選手とも連係も良好。怪我や出場停止がない限りは、ファーストチョイスは揺るがないのではないかと感じます。惜しいシーンもありましたし、結果も残せるシーズンになりそうだ。

9チアゴ・サンタナ(清水)
 総合力の高いストライカーであると、改めて感じました。ドリブルで突破できますし、キープ力もあり、高さや体格を活かしたポストプレーや空中戦の強さ、シュートレンジも広い。センターサークル付近からの弾丸シュートには、驚かされた。彼が持ったら、何がおきても不思議ではない。J2では、間違いなく反則レベルの選手。

6輪笠 祐士(岡山)
 8ステファン・ムークと同じく、今季の核となっている選手。中盤の組み合わせ次第では、距離感が離れすぎて、ボールロストが多くなっている印象があるので、90分間通して、ゲームプランを構築していくのか、また練習の中で、どう意志疎通(ポジショニング・受け方・出し方)を共有していくのかというのが、問われていきそうだ。

57権田 修一(清水)
 やはり、TV画面だけでは感じられない凄さというのが、そこにあった。守備範囲の広さやシュートへの抜群の反応、足下の巧さ、全てがレベルが違っていて、当然ながら完成されていたGKであった。これからもまだまだ活躍していく選手であることは間違いなく、清水の堅守を支え、最後尾からチームを引っ張っていく存在でもあると感じました。

 こうして選手を観て見ると圧倒的な戦力だ。清水は、どう踏み込むで、得点力UPを図るのか。それとも手堅くここからも戦って行くのか。注目していきたいところだ。

 一方で、岡山は、磐田と清水に対して、組織的に戦えただけではなく、個でも一定の手応えを掴んだ静岡勢との2連戦。99ルカオの補強もあり、これから42試合で、頂への挑戦に相応しい戦いを総力戦でやり遂げて欲しい。


5、写真紹介

大盛況のファジフーズ
ウェストランド
スタジアムからの景色
柾木 和敬 様(テノール歌手)、川崎 泰子 様(ソプラノ歌手)、カラーガード ソレイユの皆様、ファジアーノ岡山チアダンススクール生による今日だけの共演。
選手入場
岡山イレブン
清水イレブン
試合後

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・Photo=Masaaki Sugino

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