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【循環の形】第二の拠点はどこにする?


“暮らし”と“しごと”のバランスがとれる場所探し

トロノキハウスでの体験を経て思ったこと。それは、東京を残して、次の拠点をどこにするか。ふと、自分のライフステージデザインのことを考えた。当時44歳、なんとなくの折り返し感。両親は70代に突入し、会う度に(良い意味ではない)変化を感じる。残り20〜30年の子育て環境と両親の介助、定年や隠居、年金や後期高齢者、医療・介護リスク。そんなテーマが頭をよぎる中、「家族が家族らしくいられる場所」「暮らしとしごとのバランスが取れる場所」で絞り、夫婦それぞれの実家の中間地点で探すことにした。

私の実家は福井県大飯郡高浜町。奥さんの実家は愛知県稲沢市。その中点あたりが良いのではないか?と考えるようになった。そして、「米原駅」という格好の穴場を見つけたのだ。良い意味で誰も知らない「米原駅」は名古屋駅から新幹線で2駅、京都駅から1駅の滋賀県米原市にある。東西を分ける岐阜県関ヶ原市(関ヶ原の合戦地)の隣に位置し、新幹線の駅なのに駅前は栄えていないという最高の条件(不動産価格が高くないという意味)。よし!この駅から車で30分圏内で、以下の条件に当てはまる古民家を探そう。トロノキハウスに影響を受けていた私の頭には「古民家」以外の選択肢は頭にはなかった。

古民家を探す条件
- 自分の実家と奥さんの実家の中間地点にある場所
- 新幹線「米原駅」から車で30分圏内
- 状態の良い古民家(できれば、離れ、小屋付き)
- 出来れば、里山(管理された山)に近く、田・畑・山付き、水が美味しい
- 周辺に小学校、中学校、高校があり、自力でアクセス可能

米原駅西口の円形広場(写真:米原市)

時の流れと循環はどこに?

そして、コロナでロックダウンの最中(2020年夏〜)、各自治体の空き家バンクに問い合わせ、東京から新幹線とレンタカーを駆使し、ありとあらゆる古民家を見に行った。米原市、関ヶ原町、彦根市、多賀町、長浜市、近江八幡市、愛荘町など。町の雰囲気を掴み、気に入った物件があれば見せてもらうことにした。各自治体に特徴もあり、古民家も地域によって特徴があった。しかし、それらのほとんどは世代が途切れる象徴のように「モノに溢れ」「空気がよどみ」「ホコリをかぶった」家だった。たった50〜100年で、その営みはどこかに消え去り(吸収され)、高齢者がひとり最後までその家を守ろうとした痕跡と後悔。経済成長により、地域より都会の方が豊かだと信じ、我が子を都会へ送り出した結末。そこには、持続可能ではない空間と時間が流れていた。(古民家への想いは別の回へ)

内見した古民家の一部

長浜での古民家探しの始まり

そんな中、古民家の情報が非常にわかりやすく整理され、担当の方がとても熱心な自治体に出会った。そう、のちに第二の拠点となる「長浜市」である。初めてこの自治体を訪れたとき、その担当の方に分厚いファイルを渡された。「これがいま登録されている古民家ぜんぶです。気になるものがあればピックアップしてください」と言われ、20〜30分くらい時間をもらった。住所、間取り、広さ、方位。そして外内観の写真、構造、柱、梁の雰囲気などを確認して、3件ほど物件を選んだ。その担当の方は、私が選んだ物件情報をひょいと手に取って確認すると「センスが良いなぁ」と褒めてくれた。実際に物件を見てみると、状態の良いものが多く間取りも大きさも申し分ないものもあった。しかしその視察では、最終的にコレという物件に出会わなかった。

毎週古民家を探しに…そして、運命的な出会い

そこから、米原駅を起点とした古民家探しを毎週のように続けることになった。東京からほぼ日帰りだったが、周辺の自治体にも行き、同じように物件を見せてもらった。しかし「これだ!」というものがなく、約2ヶ月が経過しようとしていた。そんなとき、最初にお世話になった長浜市の担当の方から電話がきた。「杉本くん、君の希望条件がすべて揃った物件があるんだが、この週末に見に来ないか?」その内容を聞いた瞬間に私は「行きます」と答えていた。そして週末、新幹線に飛び乗り担当の方と再会、物件の案内を受けた。現地に着いた瞬間「あ、これだな」と思った。もちろん中も確認して色々と頭を悩ませることもあったが、即決。担当の方に「こちらでよろしくお願いします」と伝えていた。そしてここから、家族へのプレゼン、現地調査、母屋・離れの設計、自宅・ゲストハウス改修への道が始まるのだが、その話はまた次回以降に…。

 即決した長浜の古民家(のちにAMARIとなる)と担当の西島さん

次回は、古民家ゲストハウスAMARI誕生のきっかけについてお話する予定です。お楽しみに。

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