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現場からは以上です

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ウェディングプランナーは見た!本当にあった結婚式現場の裏話。(2000字)
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#現場からは以上です

ところでプランナーさんはどんな結婚式したんですか?

ウェディングの相談は、初めて会った人と約1~2時間、向かい合って話をするという、あまり普段の生活にはないようなシチュエーションだ。必要な情報は今のご時世、だいたいネットに書いてあるので、せっかくの対面の個別相談の機会にはなるべくホームページに書いてないようなことをお話しできればいいなと思う。 しかし、そうは言っても「そんなこと聞きたいかぃ?」と思う質問を帰り際にされることがある。 「ところでプランナーさんはどんな結婚式したんですか?」 この質問の主旨、目的はなんだろう。

無い!からのリカバリー②

一瞬ないけど用意する話の続きです。 前回の話はこちら↓ 明日の席札がない/明日のグラスを割る/カメラマンが来ていない/料理を落とす ほか ケーキがない。 天井まで届くほどの白いウェディングケーキ。 あれは入刀の時に運ばれてくる今般の生ケーキとは全く違う。 高さ2~3mもあるアレは、シリコン製である。セッティングの際にバックヤードから会場内まで運ぶのだが、台車に乗せても入口のドアを通らないので、横にして入れなければならない。全花嫁の憧れ、夢のウェディングケーキを肩に担

かつら事件。

仕事で30年来のお付き合いのあるMCさんと、30年目にして初めてのランチをしていた時のこと。 MC「昔、披露宴でこんなことがあってさ~」 私「あったあった。てか私そこにいた。あの時司会だったの?」 あの時はまさか30年後にふたりでランチ食べてるなんて予想だにしなかった。それにしても二人とも詳細まで覚えていた伝説の一件。 それは起こるべくして起こった 白無垢で挙式をした後、色打掛に掛替えをして披露宴の入場をする。髪は文金高島田。お式では清楚な角隠しや綿帽子だが、色打掛に

キャンドルサービスを取り巻く風景

ザ・披露宴の3大定番イベントといえば、 ①ケーキ入刀 ②キャンドルサービス ③花束贈呈 その中で、今となっては定番かどうかもわからないキャンドルサービスが熱く盛り上がっていた時代('80〜'90年代)に目撃したハプニング。 キャンドルサービスへの期待 高砂ステージに居て容易に近づけない新郎新婦。 故にキャンドルサービスの盛り上がりが熱く、自分のテーブルに本日の主役スターが来るとなれば、 一斉に指笛やクラッカーを鳴らしたり、 トーチの炎でタバコに火をつけてもらったり、

”どんでん”を取り巻く風景

結婚式場でいう「どんでん」とは「どんでん返し」のことで、披露宴①から披露宴②へとセットチェンジすることを指す。 今はどうかわからないが私の見た昭和の終わりから平成のどんでんは、それはそれは修羅場だった。 どんでんタイムは容赦なし 同じ会場で一日に2~3回披露宴をする際のどんでん時間は1時間だった。主に150名~300名規模のパーティー。お開きになると酒屋さんも花屋さんも清掃さんも残飯バケツや食器ワゴンも一斉に会場に入る。高砂のステージに上りやたら煽るどんでん隊長(頼んでい

無い!からのリカバリー

ロバート秋山さんのクリエーターズファイルに出てくるウェディングプランナーは、発注漏れによって牧師が来ず、プランナーが牧師役をしてその場を切り抜けるといったありえないシチュエーションだったが、 実際、使おうと思ったら無い!という危機はあって、それはそれは背筋も凍るほどの恐ろしさなのである。 明日の席札どこですか 繁忙期、怒涛のどんでんが終わって明日のセッティングをする段階になって「あれ?明日の席札は?」 いつもだったらもうすでに手元に届いているはずだが、保管している予約課

’80年代のブライダルフェア

結婚式場の黄金期、ブライダルフェアは年に2回、オフシーズンの夏と冬に大々的に行われていた。フェアでは結婚式のあれこれがデパートのように実物展示され、見て選べるので、 初めて見学に来る人だけでなく、すでに日取りが決まっている人も招待されて来ていた。どちらかというと新規集客・成約のためというよりも打合せを1日である程度済ませようとする向きが強かったと思う。 まずは全館のレイアウトから 1階のメイン会場には中央に本物の料理が価格ごとに展示され、その周りを業者さんがマルシェのよ

裁判沙汰になっても。

失敗は成功のもと、ピンチはチャンスというけれど、ウェディングで裁判沙汰になったら流石にへこむ。 次はがんばります!といった類のものではなく、やり直しのきかない一発勝負のウェディング。準備万端整えて「わたし失敗しないので」と言い切らなければいけないのだが、どうにもこうにも、、にんげんだもの。いろいろあるのだ。 新婦の名前を間違えた事件 挙式で牧師が新婦のお名前を間違えてしまった。私もその時、後ろの方に居て「あ、間違った」と思ったがもう遅い。新郎新婦退場の時だ。 そのあと司会

お宅訪問プランナー①

結婚式の準備打合せは、今では新郎新婦が会場やサロンに赴いているが、30年前は逆にプランナーがご自宅に訪問していた。しかも主催は新郎新婦ではなくご両家で、招待状も両家のお父さんの名前で出すのが慣例だったため、 プランナーは招待状の校正原稿を持って両家それぞれに赴き、同じ説明を2回してそれぞれの招待者名簿を預り、完成した招待状をまた両家それぞれにお届けに行く、という具合であった。 今から考えると、手間! しかも印刷業者さんも、原稿1枚でもいちいち大事に運んでくるものだから、原

お宅訪問プランナー②よほどのこと

プランナーが新郎新婦の新居やご実家に訪問する、というのはよほどの事でもない限りないのだが、その【よほどのこと】が起こらないとも限らない。 Case1:送迎バス、事故る 田舎の結婚式は送迎バスがつきものだ。最寄りの駅や指定の場所にバスをチャーターしゲストにご案内する。ある日、家族親族を乗せ到着したバスがレストラン入口の縁石に乗り上げた。その拍子に後部座席の窓ガラスが割れ、破片がバスの中に散らばった。 乗客は皆急いでバスを降り、青ざめた顔で会場に入ってきた。ビックリした、怖か

行くがマストのプランナー

ウェディングの現場には様々なスペシャリストが居て、当日はプランナーがやれることなど無いに等しい。事前に準備が整い、何もやることがないというのが理想である。当日は大船に乗ったつもりでその道の職人さんたちにお任せすればよいのだ。 しかし現場を知っていればいるほど、ディレクションの重要さがわかってくる。オーケストラでいえば指揮者のような存在。せーので集まった職人気質のスタッフ間の息を合わせるといった役割だ。ゲストにとっては何でも聞けるコンシェルジュ。新郎新婦もこれまで一緒に準備し

裁判に負けても。

久能整くんはこう言っている。 結婚式をキャンセルしたい まだハタチそこそこのカップル。わが家の長男と同じ年なのに仕事をして結婚もするなんて、自立してて偉いな~。 とはいえ高額になる契約なので「おうちの方と相談してみてくださいね」と言って、急かさなかった。後日両親にも会って承諾してもらい、いざ結婚式の準備が始まった。 1ヶ月程経ったある日、 「結婚式をキャンセルしたい」と新郎から電話が。理由を尋ねると、「父の友人が○○式場に勤めていて…」云々。 もしや同業他社からの横