すがゆき

公式には書けなかった結婚式のあれこれ「現場からは以上です」ほか日常茶飯事を2000字程…

すがゆき

公式には書けなかった結婚式のあれこれ「現場からは以上です」ほか日常茶飯事を2000字程度で書き散らかします。嫌いな食べ物はあんこ。SNSとは連携していません。

マガジン

  • はなのうた

    短歌、あなたもやってみたら?と勧められたのでこっそり始めてみます。エッセイつきの短歌です。テーマは『季節の花』

  • 眠れない夜に

    眠る前のホットミルクのような短いお話(エッセイ)です。(1000字) 読みながら聴いてほしい音楽を添えて。 『眠れない夜に』essay+ プレイリストはこちら https://music.youtube.com/playlist?list=PLctqDW_rRbdWBYUz8KdOVF3pGW_hhLuY8

  • 現場からは以上です

    ウェディングプランナーは見た!本当にあった結婚式の話。(2000字)

最近の記事

  • 固定された記事

ジャスコのスーツ。

今の地に引っ越してきたのは娘が3才の頃だった。近所のジャスコに遊びに行くと、いつも立ち止まらず通り過ぎるテナントがあった。シュッとかっこいいデザインのビジネススーツや知的ブラウスが並んでいるお店。 3歳の娘と手を繋いで歩きながら思った。 「あ~きっと私はこんな服を着ることはこの先ないんだろうな」 たかがジャスコと笑うなかれ。1万円スーツでも着る機会がなければ買えないものだ。 それはTVに映るアイドルのかわいいフリフリ衣裳に憧れつつ「あ~こんなかわいい洋服を着る機会は一生無い

    • 気功的、ペットボトルのフタの開け方。

      手に力が無くてペットボトルのキャップを開けられない、というのは高齢者になってみないとわからない事のひとつだ。我々は言われないと気が付かないし、言われたとて『そのくらい、頑張ればできるだろう』と思っている。それで高齢者の目の前にドンとペットボトルを置き「ご自由にどうぞ」などと言っている。100均には便利グッズも売っているらしいが、外出先では困ってしまうだろう。 ペットボトル難民 買ってもどうせ開けられないからと、飲物を買う事を諦めてしまう人もいるそうだ。まさかそんな理由で飲

      • 「迎え火のようね」とポツリ西陽射すサルスベリの赤ひざに零るる

        【はなのうた】 最近ではSNSで訃報を知ることも少なくない。 独り言のようなその投稿は、フォトスタンドの画像と、写真の中の人になってしまった夫に語りかける言葉だった。 結婚式はゴールではなくスタートだし、プランナーだって結婚式までの短いおつきあいにしたくないと思ってきた。レストランやホテルなど日常でも訪れることが出来る場所で、結婚式が終わっても「また来てくださいね」と言える仕事をしてきたつもり。 なかなか会う機会がなくても卒花さんのSNSをフォローさせていただき、「子ど

        • 言いまつがい~ソフランのルフランはサフラン

          同じ話を繰り返し繰り返しするものだから 同じ話を繰り返し繰り返し聞くことになる。 周りは年齢のせいにばかりしているが、当の本人は『話が伝わっていないのではないか』と疑ってのリフレインなのかもしれない。聞く側の姿勢にもよると自戒しつつも、同じ話を何度も聞かされるのは正直結構キツイ。 いつものように軽く相槌をうち受け流し、切り上げるタイミングを見計らっていると、 彼女は肝心な所で痛恨のミスをした。本人はミスに気づいていないようだ。いや、それとも私がちゃんと聞いてるかどうか試し

        • 固定された記事

        ジャスコのスーツ。

        マガジン

        • はなのうた
          5本
        • 眠れない夜に
          7本
        • 現場からは以上です
          12本

        記事

          咲いたねと向日葵の丘へ向かう友こっち向いてよ写真撮るから

          【はなのうた】 高校の時の同級生だから、故郷で会うのはもう何十年ぶりだろうか。 通いなれたはずの学校の周辺も街並みが変わり、懐かしさも曖昧で不思議な気分。無理もないか。いつのまにか長い年月が経ってしまった。 ちょっと曇ってるけどひまわり畑を見に行こう。もう咲いてるはず。 故郷の小さなスキー場は、夏の間お花畑になる。 駐車場に車を停めて丘の上から見下ろすと、ひまわりが全部後ろ向きだった。これじゃ花が見えないじゃない。 ひまわりって太陽のほうを向いて咲くっていうけど違う

          咲いたねと向日葵の丘へ向かう友こっち向いてよ写真撮るから

          プルーンジャムでjam(詰む)

          日曜の遅い朝ごはん。 フランスパンに手作りのブルーベリージャムとクリームチーズをのせる。 ヨーグルトには冷やした桃と冷凍しておいたブルーベリー、プルーンのジャムものっけて。 娘は言う。「このヨーグルト、お店で食べたら1000円くらいするよ」 そうだね、お店で食べたら1000円くらいするね。でもお店じゃないからお代は結構です。 桃はいただき物だし、ブルーベリーもプルーンも畑から採ってきたからゼロ円、かかったのはヨーグルト代と、ジャムを煮た砂糖とガス代、畑までのガソリン代くら

          プルーンジャムでjam(詰む)

          昭和に抗った新人類〜1988年の新入社員研修〜

          私が就職したのは昭和63年(1988)。 平成になる前の年だから、まさに昭和最後の新入社員である。 世はバブル景気真っ只中。高卒で何の取柄も資格も専門知識もなかったが、就職先には困らなかった。当時の女子の憧れの職業は、デパートのエレベーターガールや企業の受付嬢、トレンディーなハウスマヌカンなど、、、憧れとは読んで字のごとく童心なのである。学校には求人票が山と積まれ、私はその中からカーディーラーを選んだ。ハイレグのレースクイーンはさすがに恐れ多いが受付嬢くらいなら私でもなれる

          昭和に抗った新人類〜1988年の新入社員研修〜

          ヤマフジの蔓を導く老木の朽ちてなお立つ命は「ふじみ」と

          【はなのうた】 藤が咲いている山は、手入れが行き届かず荒廃している山なのだという。 勢いよく上へ上へと延びる蔓は、絡みついた木を枯らすこともあるらしい。 きれいな花が咲くよう高みへ導き、見届けた後も、 老木は何故、枯れてもなお立ち続けるのだろうか。 人の遠のいた寂しい山がまた賑わうよう、 託す老木の使命は 藤を支え見守ることのみ。

          ヤマフジの蔓を導く老木の朽ちてなお立つ命は「ふじみ」と

          「こんにちは」マスクの下は笑顔です背筋伸ばして咲くタチアオイ

          【はなのうた】 いつの間にかマスクをするのが接客のマナーとなりました。 お客様には頭を下げて遜る(へりくだる)時代でもないそうです。 常識とは変わるものです。 店に入ってきたお客様に最初に掛ける言葉を 「いらっしゃいませ」から「こんにちは」に変えてみると 「こんにちは」と笑顔が返ってくることが多いです。 そうしてはじめて、マスクの下に本当の笑顔が咲きます。 笑顔はコール&レスポンス、お互い様です。 タチアオイの凛とした佇まいが好きです。 前を向いて、きれい

          「こんにちは」マスクの下は笑顔です背筋伸ばして咲くタチアオイ

          ひらひらとニセアカシアの影法師むかし話の中の父やも

          【はなのうた】 大木をしならせるほどに咲くニセアカシアの花。 甘く薫る風に揺れる木漏れ日が ひらひらと舞う蝶のように見えた昼下がり。 この蝶はもしかしたら亡き父なのではないだろうか。 いつもは通り過ぎてしまうのに 車を停めて木の下で心を澄ませる。 『ニセ』などと誰が名付けたか。 美しく香り確かにここに在るのに。 母のむかし話は寓話ではないのだ。 #今日の短歌

          ひらひらとニセアカシアの影法師むかし話の中の父やも

          母の日のカルピス

          カルピスは断然、原液を買う。 カルピスウォーターとかカルピスソーダではなく、濃縮された『カルピス』を好みの濃さに割って飲むのだ。当然、自動販売機では売っていない。スーパーで間違えないようによく見て買わなければならない。 ペットボトル飲料をグラスに注いで飲むなんてことはほぼ無い昨今、五感をくすぐるカルピスがその心地よさを思い起こさせてくれる。 カルピスあります カルピスがまだ瓶だったころ。冷蔵庫の中、麦茶の隣に必ずあったカルピスは、茶色い瓶の全体が水玉模様の紙でくるまれて

          母の日のカルピス

          おふろのはなし。

          「お風呂を改装したい」と母が言った。確かに築50年の実家の水回りは限界に近い。しかし母はひとり暮らしの80歳、今さら改装なんて……お風呂かぁ…お風呂ねぇ… 憧れるのをやめましょう やると決めたらやる母である。シャワー付きユニットバスへの夢と憧れを膨らませ、近所の大工さんに見積りを出してもらい、実現に向けて動き出していた。年金暮らしのどこにそんなお金があるのかと言うと、大丈夫だと豪語した。 とはいえ放っておくわけにもいかず、私は改装祝いをポーンとはずんでみせた。ユニットバ

          おふろのはなし。

          ところでプランナーさんはどんな結婚式したんですか?

          ウェディングの相談は、初めて会った人と約1~2時間、向かい合って話をするという、あまり普段の生活にはないようなシチュエーションだ。必要な情報は今のご時世、だいたいネットに書いてあるので、せっかくの対面の個別相談の機会にはなるべくホームページに書いてないようなことをお話しできればいいなと思う。 しかし、そうは言っても「そんなこと聞きたいかぃ?」と思う質問を帰り際にされることがある。 「ところでプランナーさんはどんな結婚式したんですか?」 この質問の主旨、目的はなんだろう。

          ところでプランナーさんはどんな結婚式したんですか?

          できませんと言った日~3.11東日本大震災から13年

          今年も3月11日がやってきました。あの日からもう13年。 毎年同じことを言っている、そのこと自体ありがたいと思う日です。同じ明日が来るとは限らないという事を改めて自分に言い聞かせる日です。 * 今年は元日から北陸で大変な震災がありました。石川県能登を始め周辺の地域にお住いの、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早く故郷での日常生活が取り戻せますように、どうか希望を捨てずに前を向いて歩きだせるようお祈りしています。 * 今日は、『できないこと』と『やらな

          できませんと言った日~3.11東日本大震災から13年

          だから、お雛様を飾る。

          友だちの家には7段飾りのひな人形があった。 赤い毛氈の最上段にお内裏様とぼんぼり、次段に三人官女、五人囃子、『たのしいひなまつり』の歌に出てくるメンバーやアイテムが勢ぞろいだ。 絢爛豪華とは正にこのことだと釘付けになった。 私の人形 私の家にはひな人形が無かった。あるのはひな人形の絵が描いてある掛け軸。文字通り『絵に描いた餅』である。そしてガラスのケースに入った藤娘の日本人形がひとつ。これが私の人形だと母は言った。納得いかない。これはひな人形ではない。〇〇ちゃんちみたいな

          だから、お雛様を飾る。

          ランダムの美学

          車を買う時、自分の好きなナンバーを指定することができるらしい。 走る車のナンバーを見て、この車の持ち主はどんな人なのか、と勝手に想像している。 誕生日や記念日をはじめ、 パチンコ好きか【777】 銀河鉄道?【999】 新婚夫婦の【1122】 ニコニコ家族【2525】わんわん肉好き【1129】 縁起を担いで【358】 佐藤さん【310】 後藤さん【510】 斉藤さん【3110】etc. 夫の家族は皆、実家の電話番号の下4桁で統一していた。兄弟3人同じナンバーである。 しか

          ランダムの美学