お宅訪問プランナー①
結婚式の準備打合せは、今では新郎新婦が会場やサロンに赴いているが、30年前は逆にプランナーがご自宅に訪問していた。しかも主催は新郎新婦ではなくご両家で、招待状も両家のお父さんの名前で出すのが慣例だったため、
プランナーは招待状の校正原稿を持って両家それぞれに赴き、同じ説明を2回してそれぞれの招待者名簿を預り、完成した招待状をまた両家それぞれにお届けに行く、という具合であった。
今から考えると、手間!
しかも印刷業者さんも、原稿1枚でもいちいち大事に運んでくるものだから、原稿に修正が入れば会場と印刷所を何度往復するかわからない。それをまたプランナーは両家それぞれに持って行く、、、何日かかるの一体。(原稿をよく見て修正は一度にしてください)
お父さんがご在宅の平日夕方からお宅訪問していると、毎日残業でしかない。私はその当時プランナーではなかったが、夫はプランナーだったため、帰宅は毎日夜中、そして毎日のように訪問先から野菜などを頂いてきたものだ。
招待状や席次表の校正原稿をメールで送信!出来上がったので会場に取りに来てください!となるまでの変遷、そして結婚式の主催がお父さんから新郎新婦ご本人になるまでの過渡期を見てきた。昔の結婚式は今の100倍ハレの日感が強く、いちいち恭しく、普通じゃないこと満載だった。
上司に連れられお宅訪問
披露宴が終わると、お友達からのプレゼントや祝電など新郎新婦が持帰る荷物をクロークに預けておく。おひらき直後のクロークはてんやわんやなので間違わないように両家名を紙にデカデカと書き貼っておく。荷物がいっぱいあるときは、ここからここまでです的なロープで囲み、他の荷物と分けていた。
ある時、新郎新婦をお見送りしてふと見ると、クロークにブーケがぽつんと1つ残っていた。お渡し漏れである。すると上司が「家まで届けに行くぞ」と私に言った。
え?私?なぜに??
クロークの美人お姉さんがミスったのではないか。ブーケは美容室から直接クロークに来たんだし、私に何の落ち度もない。てかそれ造花なんだからさ、なにも今晩届けなくてもよくね?
腑に落ちないまま、上司の車に乗ってお宅訪問。
「お疲れのところお邪魔いたします。ブーケをお届けに参りました。お渡しするのを忘れてしまい大変失礼いたしました。」
90度にお辞儀をし、うやうやしく造花ブーケを差し出す上司の後ろで黙って同じように頭を下げた。私が行った意味とはいったい?
お客様からも上司からも特に叱られず、逆に届けたことにお礼を言われて、もし漫画なら頭の先からはてなマークが3つくらい出ていたが、
今から思えばあれは新人教育の一環だったのだろう。
上司よ、新時代のプランナーは、
もう今ではよっぽどのミスでもなければお宅になんて行きません。
昭和じゃないんで。
相手はお父さんではなく若い新婚の二人だし、新居にピンポンと来られても迷惑なだけだろう。
恐らく、恐らくだけれど、
祝福される当の本人が自ら宴席を用意するというのは、結婚式とホールインワンくらいなのではないか。特例としては自分の誕生日に皆を招待してご馳走する和田アキ子さんの顔しか思い浮かばない。
これはゼクシィによる啓もうの影響もあるだろう。結婚式は小さい頃からの憧れであるにもかかわらず、いざとなればお父さん主導で花嫁には何も決定権がないなんて悲しすぎる。自分の結婚式は自分のやりたいように!
よって結婚式は時代と共に「祝福される日」から「感謝を伝える日」に変わっていく。完全に後付け、辻褄合わせだが、そういうことになった。
感謝の伝え方
今も昔もわが子の結婚・結婚式というのは親にとっても憧れである。子どもの結婚を祝福すると同時に、祝福される側でもある。子育て卒業なんて言われ、ここにいるすべての人の中で唯一淋しさを含んだ祝福である。
プランナーがご両親に会うのは結婚式当日が初!という事も少なくない昨今だが、「両親に感謝を伝えたい」「アットホームなパーティーにしたい」というリクエストを聞いたら、私はだんぜん親御さんと一緒に準備をすることをおすすめする。
ポイントは、何か決める前に相談や報告をすること。(するふりでもよい)
相談しても結局は自分の好きなドレスを選ぶことになるのだが、それで良い。お母さんは頼まれれば試着に立ち会い、あーだこーだ言うが最終的には「あなたの好きなのにしたら?」と言うから絶対。
そうすれば当日の雰囲気が全然違ってくるのだ。親はゲストの一員になって座り、おもてなしを受けたいわけではない。
お宅訪問の実例は②で
話が逸れたが、
新郎新婦のお宅にピンポンと訪問なんて、よほどのことが無ければしない。昭和じゃないんだからメールでシュッ!だ。
しかしこれまでの道程では実際に幾度かお宅訪問をしている。
(嫌な予感しかしない)
話が逸れたおかげで長くなったので、お宅訪問の実例は日を改めることとする。乞うご期待。
ひとまず、現場からは以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?