末﨑潤一

建築家/末﨑潤一建築設計事務所主宰/田園調布学園大学非常勤講師/中央工学校非常勤講師/…

末﨑潤一

建築家/末﨑潤一建築設計事務所主宰/田園調布学園大学非常勤講師/中央工学校非常勤講師/http://suezaki-architects.jp

最近の記事

設計課題のガイドラインの見つけ方。

先日、非常勤をしている専門学校の卒計の講評会があり7人が自分の作品を発表した。設計課全員に向けての発表でとても緊張しただろう。その総評を頼まれたので、お話してきた。それを受けて卒計について今考えた事を書いてみている。 建築設計とは何なのか? 何を設計しているのか?建築である。 では、建築とは何なのか?簡単な様でいて、難しい。殊更、建築家が建築という場合、建築家以外の人が考える建築からは逸脱している気がする。 専門学校で卒業制作を担当してみて学生の作品はコンテンツ探しで終わ

    • プレゼンボードの指導(雑記)

      非常勤で指導している学校の卒計が山場である。 そこでみんなプレゼンボードを作っているのだが、これ、すごい教えるが難しい。自分はなんで作れる様になったんだ?って思う。というか、自分はどれほどのもん作れているのかも怪しくなる。 そもそも自分の考えを図と文章にするのが教えるのがややこしい。自分では分かりきってる前提条件や人の行動が他の人とズレていることに気がつかないと説明出来ない。 また、質問されると答えられるが、されない限り思いもしないので、こちらの質問力も問われる。 禅問答の

      • 家造りについて

        前に設計管理した物件について、解説などをまとめて見ていた。 改めて『協働』したんだなぁと思う。 お施主さん、工務店、設計者がみんなで作っている。 お互いがお互いの思いをきちんと話しながら作っていたことがよくわかる。 コストについて、どこに注力するのか、それ以外の部分をどう収めるのか…ディテールを工務店と話して作りやすい方法を模索したりしているし、空間について説明を怠っていない。逆に工務店に対してもバッファーを取作れる様に話している。 我ながら良い設計管理をしていると思う。

        • 勉強することの愉しみ

          先日、令和5年度の大学での講義が始まった。 教えに行っている大学は、福祉方向へ特化した学校なので建築学とはほとんど関係がないと思われている学校である。 そこで僕は選択科目の一つとして、建築学をベースに講義をさせてもらっている。 毎年初回は、大学などで勉強をする意味であったり、他分野を勉強することの効果などを話している。 今までは受け身に微分された学問を一つづつ覚えて来たものを、大学に入ったらいきなり「自由に選択してね」となってもどうして良いかわからないのだ。 僕自身勉

        設計課題のガイドラインの見つけ方。

          設計課題の形の作り方について

          前回書いた文章は建築を学ぶ学生への講師である僕の評価の軸についてであったが、詳しく言うと形についての評価軸であったと言える。今回はまた違う方向からの形の評価についてである。 設計する建築がその場所に建つ意味についての評価である。 これが考えられる様になると建築をある場所に設計する事の意味がわかってくるかもしれない。 学生たちの作品を見ていると、建築の内側や外側についてそれなりに「格好良くしよう」と言う意識は感じる。デザインしてやろうとしているのがわかる。ただ、あくまでも

          設計課題の形の作り方について

          設計課題の評価について

          先日、非常勤講師をしている学校のプレゼンがあった。受け持ちの生徒全員がクラスの全員に向けてプレゼンするものだ。その中で、プレゼンボードではそこまで目立たなかったのだがプレゼンで意味がガラリと変わった作品がいくつかあってとても面白い経験をした。 プレゼンボードや模型では何がしたいのかなぁと思いながら見ていたのだが、プレゼンを聞いてみて、その謎が解けたのだ。 彼はミースのファンズワース邸の様な空間を作りたかったのだ。なるほど、だからテラスに石を使いたいとか、白くしたいとか言っ

          設計課題の評価について

          生活の器 どう器を選ぶか

          建築は器の様なものである側面がある。 陶芸家による一点物の器。 作家がデザインした器。 デザイン監修され工場で作られる器。 国宝の様な器。 100均の大量生産の器。 無印で買う器。 無銘だが両親から受け継いでる器。 キャラクターが描かれているが子供の頃から使っている器。 骨董の器。 金継ぎして大事に使うものだってある。 量産品であればガンガン使っても怖くない。耐熱だったら電子レンジにも入れられるし、メンテナンスも簡単だ。 作家物の器は食洗機に放り込んで洗うことができないし

          生活の器 どう器を選ぶか

          建築を知る事

          専門学校で設計を教えはじめました。 専門学校の生徒たちは基本的には18歳頃から多少幅がありますが、建築に初めて触れる者たちがほとんど。 そこで設計を本当に一から教えています。 彼らにとって初めての課題は、こちらから色々と設定を出しており、構造は木造の在来工法であったり家族構成であったり、規模であったり、いろいろなパラメーターを設定してあり、それを手かがりに各自が設計していくことになります。 基本的には自分が住むつもりで良いし、自分が好きな空間を作っていくとになるのだけど、そ

          建築を知る事

          気になるディテール

          建築家による建築を語る文章は沢山ある。 隈研吾や、安藤忠雄がどう考えてるか。建築はどのような問題を解決すべきなのかなどなど。読んでもらうと、とても良いことが書いてある。どういうところにコンセプトがあって、それはどのような背景から読み込んだのかなど。建築を計画する上で可能にしたいこと、まちづくりにどう関係するかなど、目標や願いがある。そうした建築家の文章には大きな物語があり、少し大袈裟に見える部分もある気もする。もっとラフな話を聞きたいと思う時があるのだ。ただ、その部分を本にし

          気になるディテール

          初めまして

          この時期、雨の後に公園へ行くと、桜の花びらが地面に沢山落ちている。 よく見ると不陸の縁や低い場所、排水溝など、水の流れる場所にたまっている。 普段は透明な水が流れたりする場所なので、意識されにくい。 しかし、この季節には「流れ」が見える様になる。桜の花びらが水の流れをトレースしてフラットに見える部分に「ヘリ」が現れる。そうする事で地形があることがわかる。面白い。今まで見えなかったものが、見える様になる。 僕は大学で講義をしている。建築の学生ではない福祉系の大学生相手に一般教養

          初めまして