カリスマ店員に学ぶ【人を動かす】テクニック
3~4年ぶりに靴を買いました。
正直に言うと、全然買うつもりは無かったんですが、
カリスマ店員さんの接客が凄くてですね。
つい買ってしまったんですよ。
店員さんの接客を振り返ってみると、「指導」の観点から見ても、
とても勉強になる内容だったので、記事にしてみました。
「営業」に携わる方はもちろん、「子育て」にも役に立つ内容になっていると思うので、
是非最後まで読んでみてください!
さて、タイトルにある【動機づけ】ですが、
「特定の行動を促すための働きかけ」と言い換えても良いかもしれません。
例えば、
小さい子がトイレが上手にできた時に、沢山ほめてあげたりするのは、
「もう一度トイレを上手にさせるための動機づけ」ですし、
一生懸命勉強しても点数があまり良くなかった時に、叱りつけたりするのは、
結果として、「勉強をさせない動機づけ」になってしまったりするわけですね。
僕たち講師は、自分の発言や振る舞いが「良い結果を生むような動機づけ」になるように、
生徒の性格の傾向や、表情、発言、体調、家庭や学校での状況などの情報を踏まえて、1つ1つの発言を選んでいくわけですが、
これがまぁ難しいんです…
良かれと思って発言したことが裏目に出てしまったりということも良くあります。
ただ、
コミュニケーションは
「どういう思いで伝えたか」ではなく「どう伝わったか」が全て
ですからね。
良かったこと、悪かったことの記録を積み重ねて、毎日ちょっとずつ改善していくわけです。
さて、話を本題に戻したいのですが、
皆さんにはクイズに挑戦してもらいたいと思います。
まずは↓の画像をご覧ください。
どうでしょうか?
中々のボロさですよね。
元の色は濃い黒だったのですが、もはや「銀ネズミ」みたいな色になっているところもあったりしますし、ハリとツヤの無さが異常ですよね。
段ボールを組み立てて上手に色を塗っても、これよりいい感じの靴に仕上がると思うんですよね。
さて質問はこちらです↓↓↓
【質問】こういう靴を履いているお客さんに、
どのように声をかけて、靴を買ってもらいますか?
どうでしょうか?
色んな答えがあるとは思いますが、
「もう古くなっているので、新しい靴に変えた方が良いですよ!疲れやすさとかも違いますし。」
とか
「靴の印象が悪いと、女子受けが悪いですよ!」
とか
「大人の身だしなみとして、靴はこだわった方がいいですよ。」
みたいな答えが出てくるのかな、と思います。
僕を接客した店員さんがどうしたかというとですね、
僕の靴を見た瞬間に、
「え、この靴すごい!ちょっと触らしてもらってもいいですか?」
と興奮気味に言ってきたんですよね。
凄いテンションが上がってる感じだったので、
「あ、はい、別にいいですけど…」と言うと、
しゃがみこんで画像の靴を直接撫でまくるんですよ。
で、
「これ、凄いですね!もう皮がトロトロで、こんなに柔らかい皮は中々ないですよ。足に物凄くフィットするんじゃないですか?」
と聞いてくるわけなんですよ。
実際、見た目に関しては「まずいな」と自分で思いつつも、履き心地が良すぎて、あんな見た目になるまで履いていたわけなので、
僕としては凄い嬉しかったんですよ。理解者が現れた感じがしました。
両親や友達からは、
「なんでそんなボロい靴履いてるの?」
とか
「恥ずかしいから早く買い替えなさい」
とか
「それ、履いてなかったらゴミだよ(直球)」
とか散々な言われようだったので、余計に嬉しくて。
「そうなんですよー!!買い替えようと思いつつも、離れられなくて。」
なんて会話が弾みます。
で、ここからが凄いんですよ。
「せっかくなので靴の中も触らせてもらっていいですか?」
とお願いしてくるわけです。
自分にとって愛着のあるモノに興味を持ってもらえるのは嬉しいので、
断る理由もなく、
「あ、いいですよー。ここで脱げばいいですか?」
「ありがとうございます!じゃあこちらに座ってもらってもいいですか?」
なんて言いながら椅子に座って靴を脱ぐと、
パッと手に取って、内側から手を入れて一通り皮の感触を確認して、
「うわー、やっぱりこの柔らかさは半端じゃないですねー!!」
と、目をキラキラさせる店員さん。
で、このタイミングで、
「もしよろしかったら、履き心地の感触が近いものをお持ちしましょうか?」
と聞いてきたんですよ。
このタイミングが絶妙で、
僕はこの時、椅子に座っているし、靴を既に脱いでいるので、
試着するハードルが滅茶苦茶下がっているんですよね。
立っていて、靴をしっかり履いていれば、
「いやー、別にいいです。」
って言っていた可能性も十分あったと思います。
でも、
「自分のお気に入りを褒めてもらって嬉しい」
「既に座っていて靴を脱いでいる」
という流れだと、全然気にならなくて、もうすっかり試着モードなんですよ。
元々靴を買う気なんてなく、フラッと通りかかって眺めていただけなのに。
その後も丁寧に、手厚く、僕に合う靴を一生懸命探してくれてですね、
「まぁ実際買い替え時だし、今日買っちゃうか」
という気分になり、
見事靴を買うに至ったんですよね。
店員さんによって「靴を買うための動機づけ」が行われた結果、僕は靴を買ったわけなんですが、
店員さんは、最終的に一度も「買い替えた方が良いですよ!」とは口に出してないんですよ。
これ、凄くないですか?
「買って」と言わずに買わせるって完全にカリスマですよね。
その時は「良い店員さんだなー」くらいで、細かいことは全然気にしていませんでしたが、
後々振り返ってみると、「あれ?あの人凄くないか?」と思い始めて、
遂にはこの記事を書くに至ったわけですよ。
ポイントは、
「客観的に正しくないと思える行動でも、本人にとっては筋が通っていることなのかもしれない。」という想像力を持つこと。
だと思います。
勉強に置き換えてみると、
生徒が周りから見て効率の悪そうなやり方をしている時に、
「なんでそんな効率悪い方法でやってるの?」とか「そのやり方じゃ意味ないよ。」
などと、いきなり決めつけてしまうと、それが事実だとしても、その後の話を受け入れてくれる可能性は低くなってしまいます。
僕も「その靴古いみたいですし、もう履き替えた方が良くないですか?」と言われたら、
「余計なお世話じゃ!」と反発し、靴を買う気なんて絶対に起きなかったと思います。
事実、周囲の人間にそう言われてきても、買ってなかったわけですし。
いきなり改善を促すことはせず、
「そのやり方、結構時間かかると思うけど、中々根気あるね!」
とポジティブに捉えてあげると、
「そうなんですよ。細かいところが気になってしまって、時間がかかっちゃうんですよね。」
とか
「覚えられてるか自信が無くて、何回もつい確認しちゃうんです。」
のように、自分の認識を教えてくれたりします。
相手の認識を確認した上で、
「なるほどね。実はもっと楽な方法があるんだけど、試してみない?」
と声をかけてあげると、伝えている内容は同じでも、
受け止め方は全く異なってくるんですよね。
無意味だとわかっていながら行動できるほど人間は意思が強くないです。
皆さんもきっとそうだと思います。
何かしらの行動している以上、その行動をさせる「理由」があるわけです。
自分だけではなく、誰にでも「理由」があることを僕らは忘れがちです。
その「理由」の正体を良く見極めたうえで、コミュニケーションを取るかどうかが、
「動機づけ」の方向を大きく変えていくわけですね。
店員さんは「僕がボロボロの靴を履く理由」を想像し、そこを尊重してくれました。
その結果、「靴を買う」という行動をさせることに成功したわけです。
ダメな接客ばかり晒されて炎上するのはフェアじゃないと思いますし、
良い接客だって広まった方が良いと思うので、お店と店員さんの名前を書いておきます。
このお店の林さんというお洒落な男性でした。(たぶん30歳前後?)
林さんに選んでもらった靴、買って以来毎日履くくらい気に入っているので、めっちゃ感謝です。
林さんありがとうございましたー!!
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