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[旅エッセイ]クロアチアの古都で美しいものを見て癒された話

疲れ切っていたときに、優しい街を訪れたときの話。

そのときの状況を説明すると、大学院の卒業旅行と銘打って地中海の旅をしていた私は、トルコからクロアチアに移動したのだが、まーあ何もかもがうまくいかなかった。憧れだったイスタンブールはまさかの雪(雪が降るのだ!イスタンブールも!)で防寒が足りないし、悪天候で飛行機が飛ばず、次の日やっと飛んだと思えばスーツケースが届かなかったり、ああ~そういうこともあるよね~と思いながらも若干へこんでいた。

夜行バスや宿泊を無理やり調整して、隙間の1日で訪れた町がスプリトだった。が、ここが非常にゆったりとして、癒される街で大正解だったので紹介してみようと思う。

小さい街だった。
ローマ遺跡の上というか中に建っている町。これは城壁。

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世界史をやっていた方はディオクレティアヌス帝という名前を聞いたことがあるのではないだろうか。スプリトはローマ皇帝ディオクレティアヌス帝が退位してから住むために建てた宮殿がそのまま残っていて、その上やその中に後世の人々が住居を構えて生活している、とても不思議な場所だった。

ここは本当に3世紀の建造当時のローマ時代のものが残っている地下宮殿で、とても広く、こんなに状態が良い場所は他にもないらしい。世界遺産にも登録されている。
1800年前に、日本だとまだ卑弥呼の時代に、こんなに巨大で美しいものをつくる技術があったなんて、次元が違いすぎる…。目を丸くして廻った。

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ディオクレティアヌスはキリスト教を弾圧したが、現在のクロアチアは敬虔なカトリックの国で、元宮殿の真ん中には大きな教会が建っていたのも面白い。時間が経てば場所の利用法なんか変わるわけだがアイロニックである。

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一通り見物し、簡単にご飯を食べる。テラス席のカフェに入ったような、気がする。
ヨーロッパに一人旅で行くとテラス席は気軽で良い。空いてたら適当に座って、置いてあるメニューを眺めていればボーイさんが来てくれるシステム。わからなければおすすめとかも教えてくれたりする。チーズがたっぷりはいったラップ(トルティーヤみたいなので野菜とかを巻いたやつ)を食べたことを、ここまで書いて思い出した。


歴史が深い街だったので、博物館が充実していた。適当に入ってみると、社会科見学であろう小学生の団体がぎゃあぎゃあと騒いでいる。子どもかわいいなーと思いながら眺めていると、受付のお姉さんが先に入れてくれた。お互いニコッとして入る。ありがたい。

適当にはいったそこは民族博物館で、中世くらいの当時の人が使っていたであろう日常のものがたくさん展示してあった。ヒットした衣装をふたつあげておく。

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かわいい!レースとかチョーカーの使い方とか色合いとか、とてもかわいい。クロアチアの美人が着こなしたら、と想像してパシャパシャ写真をとった。

ちなみに、クロアチアはヨーロッパの中でも美人が多いそうだ。街ゆく人皆きれいだったなあと思う。男性陣、見に行っておいて損はない。

日が暮れるまでまだ時間がある。お散歩してみると、城壁のすぐ外に素敵な公園が現れる。

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地元の男の子たちがスケボーをやっていたり、おばさまがベンチで本を読んでいたり。とにかくゆったり時間が流れている。


そろそろ日が落ちてきた。

私は、旅先で見る夕日が好きだ。
夕方になると、高台に上って夕日をみたくなる習性がある。

ここスプリトも、街から出てすぐのところにちょっとした丘があり、上が公園になっているのはリサーチ済みで、そこからうまいこと夕陽が見えないかなーという希望的観測のもと歩き出した。

幸いにもとても分かりやすい街で、こっちが公園だよーと看板が立っていたのでそれを目印に進む。道中レストランがたくさんあり、帰りにここらでご飯を食べようかなあと思う。

丘があり、どんどん上るのだが思ったより広い!上っている最中に日がどんどん落ちていく。そして気づく。街灯がひとつもない!これは帰り真っ暗になるやーつ!
治安はよさそうだったのであまり心配しなかったが、真っ暗は普通に怖そうだった。そして公園で足元が土だったりコンクリだったりいろいろだったので普通に何も見えなくて転びそうという恐怖。夕日は適当にして明るいうちに街に戻りたいなーという気持ちになる。

急ぎ足でずんずん歩いていくと、公園の途中で夕日が見える場所があった!

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ここで、地元のおじいちゃんも夕日を眺めていたのでスポットなのかと思い、立ち止まってしばらくぼーっと眺めていた。

するとおじいちゃんが話しかけてきてくれた。

「どこから来たの?」

ゆっくりできれいな英語だった。クロアチアの人は第二外国語で割ときっちり英語を習うようで、特に若者はみんなきれいな英語を話していたのを覚えている。複雑な歴史で、あの地域では小さな民族を守るために、外部とうまくやり取りして生き残っていくために英語を学んだのかもしれないなあなどと勝手に思う。

「日本から来ました」

「日本か!いつか行ってみたいとおもっているよ」

そのあともいろいろ聞いてくれて、学生生活が終わるのでShort tripをしていること、トルコから来て、これからクロアチアをまわってイタリアに行くことなどを話した。

おじいちゃんは、先日の嵐で(飛行機が飛ばなかった原因だ!)公園の木がたくさん倒れているから気を付けた方がよいこと、クロアチアの観光が近年上がり続けていることなどを話してくれた。ヨーロッパ内でも人気が高まっていて、ホテルが足りず、遺跡の入場料などはどんどん上がっているらしかった。

得意ではなさそうな英語で、言葉を探しながら一生懸命話してくれて、とても感じの良い人だった。
会話がひと段落すると、夕日は落ちていて、じゃあね、僕こっちだから、と帰っていった。

現地のおじちゃんおばちゃんとのこういう交流が、旅の良い思い出になるのだ。

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その後もマジックアワーを楽しみながら公園を一周し、街に戻る。

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案の定この手前の道とか真っ暗で、怖すぎて走って下った。
藪の中からガサガサとか言われたらたまったもんじゃない。

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ただ、灯りがついた町はどこに行っても美しい。
水辺ならなおさら。

ちなみにこの下の写真で見えている塔は、さっき昼間に訪れた教会である。

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帰り道、スプリトはクロアチアの中でもリーズナブルと聞いていたこともあって、さっき通ったレストランに入ってみる。
こんな海沿いの街で魚介がおいしくないわけがないので、エビのクリームソースパスタを食べた。味は多分、みなさんのご想像通りではあるのだが、とても、おいしかった。
お客さんはあまりいなかったが、お店の人もニコニコテキパキやってくれて、こっちもニコニコしてしまうような感じだった。素敵。

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スプリトという街はクロアチアでも割と訪れづらい場所にはあるものの、ドブロブニク(魔女の宅急便の舞台と言われる街)に行く機会があるなら、そこから近いのでぜひ訪れてみてほしい。

ちなみに別記事で書く予定が今のところないので写真だけ貼っておくと、ドブロブニクはこんな感じの外観。赤い屋根の古い建物がたくさん残っている城下町で、地中海に面している。

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そういえば、1日が終わるころには、不運があったことなど忘れてしまっていた。それほど癒される街だった。ありがとうSplitの優しい人たち。

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