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確実に儲けるためには、意図的に狙って客単価を設定していますか?それとも後追いの結果として客単価を捉えていますか?

宇宙一外食産業が好きな須田です。
 
あなたは客単価についてどのようにお考えでしょうか?
漠然としたオープンクエスチョンなので少し混乱するとは思いますが、ちょっとだけ考えてみてください。
 
その前に、客単価の計算式はご存じですよね。
 
これを知らないと、そもそもご自分のお店でお客さまが平均的に使っている金額がわからないので、経営に関するあらゆる計画が建てられません。
 
実際に現場でコンサルティングをしていると、時々客単価の出し方を御存じない方もいらっしゃいます。
 
では公式は、
 

売上÷客数=平均客単価

です
 
年間を通してでも、ある月でも構いません、算出したい意図によって対象となる期間は変動しますが、基本的には売上をその期間に利用した客数で割って算出します。
 
月商3,000,000万円で、月間1,500人のお客さまにご利用頂いたのなら、客単価は、3,000,000万÷1,500人=2,000円となります。
 
ここまでご理解いただけたということで、もう一度客単価についてどのようにお考えでしょうか?
 

現状の客単価は予想通りでしょうか?結構高いなぁと思いましたか?逆にこんなに低いの!と感じましたか、いかがでしょうか。


 
勿論客単価は商品単価と連動しているので、商品単価が低ければ客単価も同様に低くなる傾向があります。
しかし一方では、低い商品単価にもかかわらず、それ相当の客単価の業態もあります。
 
そのような業態の共通する特徴は消費数が伸びているという点です。
 
1品当たりの単価は抑えつつ、それに合わせてポーションも下げて、追加オーダーを獲得する戦略をとっている業態が、しっかりとした客単価を獲得し
ています。

共通するポイントは真逆の方向に2つあります。

消費量が多いので満足度が高くなる傾向にあるところが1つと、逆に消費数が多い割には満足度が低く、結構単価はいっちゃったなぁという感覚です。

 
真逆の感想を消費者は持ってしまいますが、大方この2つの方向に共通するポイントは分かれます。
 
この違いを生む違いは、1品当たりの商品クオリティの差です。
 
当然満足度が高いお店は商品クオリティが高いですし、満足度が低い所はクオリティが高くありません。
 
低いクオリティなので、これはどうよ?こっちは少しはましかな?という風に次々とオーダーが入る結果、気が付くと客単価が上がっているということになります。
 
一見すると同じような客単価ですが、その構成要素が全く違ってきます。
 

何を言いたいのかというと、単に客単価の金額だけを見ていると、本当の姿が見えなくなってしまいますよ!ということです。


 

お客さまが満足した結果として客単価が高いのなら問題ないのですが、不満を解消したくて商品消費が進んでいる場合には大きな問題が隠されています。


 
でも、立地が良くて客数が拾えていると、この問題に気が付きません。
 
入りやすい雰囲気の業態で、店前の通行量が多い一見客の客数が確保できる立地の場合、売上も客単価も良いように見えるので気が付きません。
 


するとどうなるのか?
何が問題なのか?
 

簡単な話しです、近隣にクオリティの高い新店が出店したら一気にお客さまは持っていかれます。
 
新店の方が、圧倒的にクオリティが高く、商品単価も同等でポーションも満足できるようなら、一気にお客さまは新店に持って行かれます。


 

私は実際にこの戦略で、これまで何度も何軒も繁盛店を作ってきました。


そのエリアで人気と言われているお店をリサーチして、ウケている商品を何品も確認します。
 
同業態の人気店を回ってそれぞれの人気商品をリサーチします。
 

そして、それらのお店よりも確実に魅力的な商品を開発し、一気に客数を奪いとる戦略をこれまでに何度となくとってきました。


 

そのエリアですでに認知されてウケている商品なので、確実に売れますしオーダー数も伸びます。

強烈な差別化商品としての役割も果たしてくれます。


 
そして、意図的に集客商品のポジションに定着させて、確実にお客さまを集めてくれる商品に仕立て上げます。
 

実は客単価から、ここまで読み解くことができるんです。


それぞれのリサーチしたお店の客単価をみて、テーブルに乗っている商品を確認して、ドリンクの杯数を確認して、客単価の構成を分析します。

気軽に飲んでいる風にして、頭の中ではリサーチのため、データを収集しグルグル高速で回転させ分析しています。


客単価を分析することで、確実に消費傾向がわかります。



 
消費傾向がわかったところで、フードは何品消費、ドリンクは何品消費、それぞれのポーションを設定し、満腹具合を決めます。
 
最後の締めの炭水化物の取得率を想定し、デザートを戦略的に販売することを考えます。
 
そして平均客単価を設定します。
 
例えば、客単価の金額は4,300円として提供しますが、構成要素はフード何皿平均売価幾ら、ドリンク何杯平均売価幾ら、締めの炭水化物の平均取得率何品単価は幾ら、デザートの平均取得率何品単価は幾らとして算出します。
 
ここまで分解して客単価を算出するので、商品開発の段階ではポーションと味の方向性がブレルことはなくなります。
 
 
次に、今の客単価が適正かどうかという点です。
 
この適正客単価という考え方も多くの経営者はお持ちでないような気がします。
 
売上を算出する公式は、客数×客単価であることは多くの方がご存じですが、適正な客単価を設定する方は非常にまれです。
 
客単価を出すためには先ほどお伝えしたように、皿数とポーションが絶対に必要になります。
 
何皿食べておなかが落ち着くのか考慮すべきですが、ほぼ間違いなく試食会の段階では美味しさだけが議論されてしまいます。
 
それでは、狙って客単価を設定することは不可能です。

客単価とは、意図的に狙って構築すべき数値です。
本来、後追いの結果として算出される数値ではありません。


 
 
私がお手伝いさせて頂いた中華レストランの例を紹介させていただきます。
 
事例としては非常にわかりやすいと思います。
 
そのお店のサポート以前の客単価は、昼夜通して1,280円でした。

コロナの影響もあり、月商は決して満足のいく結果ではありませんでしたが、この客単価にクライアントは満足していました。
 
コロナが過ぎてお客さまが戻ってくれば、売上も上がってくると漠然と感じていました。
 
 
が、しかしクライアントの想いとは裏腹に、お店を利用しているお客様の表情を見ていると、ワクワク感も美味しそうな感じも伝わってきません。
 
そこで、実際に試食してみました。
すると、お客様のあのつまらなそうな表情の理由がわかりました。
 
どれを試食しても商品に特徴がなく、言うなれば味が昔ながらの中華料理のままだったんです。
 
少し味が強くて、旨味調味料の存在感も強く、油も多くオイリーな感じで、これと言って大きな不満はないけれど、また利用したいかというとそれ程でもない、他にお店がないからここに来ているんだなという感じでした。
 

そこで提案したのは、商品価値をもっと高めること、それぞれのクオリティを上げること、具体的に現状の150%アップを目指しますとお伝えしました。

それに伴って売価を上げること、平均135%にするとお伝えしました。

価値は150%アップ、価格は135%アップです。

 

当然、価格の上昇分以上に価値を上げていますから、お客さまの印象は「コストパフォーマンスが良くなった」となります。

 
一例とお伝えすると、中華料理では非常に人気の強いどこにでもある商品が麻婆豆腐です。

麻婆豆腐を進化させることで、何処にでもある商品なだけに差別化を仕掛けやすい側面があります。
 
勿論全メニューを変更・進化させましたが、実例としてわかりやすいのでご紹介します。
 
 
それまで麻婆豆腐は税込み748円だったものを、税込み980円にしました。
 
以前は税別表記の段階で切れのいい数字の680円に設定しており、消費税を追加する方式にしていました。
 
サポート後は税込みの段階で切れのいい数字になるように980円に、税別918円の売価設定としました。
 
税別680円の135%は918円となります。
すると税込み1009円と中途半端になることから、切れのいい税込み980円として1,000円未満の頼みやすい価格となるようにしました。
 
と同時にもう一つ戦術を駆使しました。
 
それは、麻婆豆腐は辛さの好みが分かれる商品です。
 
あるお客さまは麻と辣の効いた痺れる辛さが好きで、違うお客さまは辛いのが苦手という方がいらっしゃいます。
 
そこで、旨味と辛さのバランスの取れた軸となるレギュラーの麻婆豆腐を開発し、痺れる辛さと唐辛子の辛さが効いたアツアツのジュージューしている麻婆豆腐1,180円と設定し、全く辛みがない和風の肉味噌豆腐煮込みのような麻婆豆腐870円の3種類ラインナップしました。
 
すると、レギュラーの麻婆豆腐が60%、辛さの効いた麻婆豆腐が30%、全く辛くない麻婆豆腐は10%という取得率になりました。
結果的に、麻婆豆腐全体でみると消費単価はそれまでの748円から、1,030円程度となり、137%の結果になりました。
 
併せてお客さまの辛さの好み迄拾えるようになり、取得率が上がりファン化も可能になりました。
 

このお店ではこのような戦術を取り入れた結果、平均客単価は1,280円から1,880円になり客単価の上昇率は146%となりました。

当然お客さまの満足度も上がり、月間客数は2,000名から4,000名に上昇しました。

集客ための特別な販促などは一切行わずに、「お客さまが集まるお店」に変化・進化させることができました。


飲食店は「集める店」なのか「集まる店」なのかで、利用者の満足度が大きく違ってきてリピート率に大きな差がでます。
原理原則は、集まる店になるべきです。



 
客単価を単なる数値としてだけとらえていると、気が付けないポイントがいくつもあります。
 

客単価を構成している要素を分解し、検証し、再構築することで、大きな成果を、望む結果を現実化させられます。


 
 
冒頭の質問に戻ります。
 
あなたは客単価をどのようにお考えでしょうか?
 

結果論として客単価を捉えていますか?

戦略的に客単価を構築していますか?

 
もう一度検討していてはいかがでしょうか

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