会ったことのない私たちは「再会の乾杯」をする
2020年12月12日。
私は、大切な大切な待ち合わせをしている。
まだ会ったことのない仲間たちとの「乾杯」の約束。
その「未来の待ち合わせ」を特別にしたくて、日々たくさんの言葉を交わし、伝えることと伝わることの狭間で悩み、こうしてnoteを書いている。
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緊急事態宣言が発令された4月。
6月末で仕事を辞めなければならなくなった5月。
そして、6月。
私は「言葉の企画」というオンライン講座の企画生になった。
社会人になってから、何か講座に通うのは初めてで。
書くことについて学ぶのも、オンライン講座を受けるのも初めてで。
緊張や不安に囚われないように、とにかく3ヶ月間、無我夢中で巻き込まれてきた。
初回の課題「自己紹介の企画」で、「思いついたこと全てトライする」と書いたから、こうしたいとおもったことには出来るだけ素直に反応した。
さすが企画生(言葉の企画に参画しているメンバーのことを、私たちはこう呼んでいる)、興味関心ごとが重なった人たちが集って、どんどん企画が生まれていった。
・朝に輝く者たち(毎朝☀️のスタンプを送りあう、たまに一緒に作業したり朝ごはん食べたり。)
・歌人の集い(うたよみんアプリで短歌を詠みあう。私は見るだけだけど、連歌がたのしい。)
・日経スク読会(週1回くらい気になる日経新聞記事をシェアしてお喋り。)
・本の人たち(週末の朝の読書会。読みたい本を30分もくもくと読んでから心動かされたところをシェア。)
・おとなりラジオ(企画生が企画に込めた想いや裏話を一人ずつ聴いていくラジオ企画。)
・企画生横丁(#カクヨコ と題した、企画生がふらりと立ち寄れる飲みの場。)
・シェアぶくろ(全国各地の美味しいお店をGoogle Mapで共有している。この価値たるや…!)
他にも、大学生が集まる「#ことば大学」が開催されたり、ジャニーズ好きの会があったり、第二回講義の講師で来てくださった芦田太郎さんの番組「#あざとくて何が悪いの?」をチャットしながら観る会「#あざとくてドリンク」もした。
and more は、数知れず。
中でも、私のイチオシは「褒め褒め会」。
とにかく、みんなで褒め合う。
すると、褒める方も褒められる方もハッピーになれる嬉しい企画。(気になってくださった方は、Twitterでぜひ #褒め褒め会 を検索してみてください…!)
もちろん、これらは全てオンライン。
ある日、おはようからおやすみまで企画生と話していることに気づいて、恋人か!と突っ込んだ。
課題に対する愛と熱量の込もったフィードバックや、自分と向き合う時間もとてもとても尊くて。
知らなかった自分の一面にたくさん気づいた。
あたらしくて刺激的な出逢いにワクワクして、好きなことを真っすぐに学ぶことの歓びを知った。
そして、いつのまにかこんな気持ちが湧き上がっていた。
関わる人たち"全体"を、より良くしたい。
一人ひとりの物語を知りたい。
ああ、そうだった。
そんな気持ちでその場にいることが、うれしくて自然で頑張れるんだった。
そこには大切な仲間がいて、「居場所」になっていた。
***
直近の課題は、「チームの企画」だった。
会ったことのない5人のメンバーで、約1ヶ月かけて、2020年中に実際にやる企画を生み出した。
私たちのチームでは、「オンラインの二面性」についてたくさん話をした。
いいところもたくさん知ったけど、オンラインで工夫すればするほど、超えられないオフラインの壁があることを痛感していたから。
私は京都に住んでいるから、もし「言葉の企画」がオンライン開催じゃなかったら、みんなには出会えなかった。
でも。
何度も何度も「会いたい」とおもった。
企画会議で通じ合えた瞬間に、ハイタッチしたい。
よく頑張ったねって、ハグしたい。
衝動は、手放すしかなかった。
まだ、良いことはオンラインでも伝えられて。
ちょっと気になること、もしかしたら相手がマイナスな気持ちになるかもしれないことを伝えるとき、会えないのは試練だった。
飲みこんだ言葉、なかったことにした想い。
あるよなあ、と5人でしみじみした。
私たちの企画書には、こんな1ページがある。
その想いを「あったこと」として認めるには、ことばにする場所が必要なんじゃないか。
そして、「おもいばしょ」という企画が生まれた。
11月のリリースに向けてまだ準備中だから、この企画を深めていく中で、私たちは何度も「会う」だろう。
チームの仲間だけじゃなく、興味を持ってくださった方々とも「企画」を通して「会って」ゆく。
それはときに、対面で何度も会うよりも深い絆を生むとおもう。
今までほとんど誰にも話さなかったことを不意に話せてしまうのは、程よく距離があるオンラインの良いところだと感じたから。
こうして、みんなで「未来の待ち合わせ」を大事に大事に育てた先に。
2020年12月12日。
私たちは「再会の乾杯」をする。
「乾杯」と小さな声で呟いてグラスを合わせるだけなら、ニューノーマルな社会でも堂々とできることは、本当に嬉しい。
乾杯の瞬間。
確かに、あなたと私は”つながる”。
『会えないけど、会っている。』
「言葉の企画」が始まる前、主宰の阿部広太郎さんから、招待状にのせてこんな言葉をもらった。
今では、日々実感していること。
だからこそ、「会いたい」に蓋をしなくていいその日が待ち遠しい。
12月だから、おでんも良いなあ。焼き芋も食べたい。
きっと、全員の全身に一瞬戸惑って、感情が爆発して、号泣するだろう。
気がすむまで泣いて落ち着いたら、いつも近くにいたように「日常」をみんなで過ごしながら、半年分の乾杯をしたい。
そして、私たちは出発する。次の未来に待ち合わせをするために。
今夜もきっと、全国各地で、誰かが大切な人と乾杯をしている。
そんなふうに想いを馳せる夜をあと94回過ごすのも、楽しみだったりする。
2020年9月9日 稲本朱珠
サポートいただき、ありがとうございます! 有料noteを読んで、学びにして、また書きたいと思っています。