自由の感覚【すずの1人暮らし2】
始動した1人暮らし計画が、急展開を迎えました。
結論を言うと、今月中に引っ越します!
まずは前回の記事を↓
具体的に話が動き始めたのは先月のこと。
若者支援の方から教えていただいた、自立したい若者をサポートする団体が運営している施設。
その施設で生活するための費用の目途が何となく立ったので見学に行かせていただきました。
某喫茶店ではありませんが、写真で見たよりも何倍も綺麗なお部屋で「逆写真詐欺」状態。
同行してくれた若者支援のスタッフさんはずっと見学に来たかったらしく、「きれい!」「広い!」「すごい!」と私よりもテンションが上がってました。
広い共用スペースには絨毯の上にテレビと大きなクッションが置いてあり、(テレビ見ながら寝ちゃいそうだな~)とのんびりくつろぐ自分の姿が自然と浮かびました。
部屋を見せていただいたあとに相談室で代表の方、スタッフの方、同行してくれた若者支援のスタッフさん、そして私の4人でお話をしました。
過去のことを根掘り葉掘り聞かれるだろうと前日の夜から、「こう聞かれたらこう返そう」と想定門答集を頭の中に用意していたのですが、全く聞かれず。
若者支援のスタッフさんが、「すずさんは中高時代のことを話すと、気持ちが落ち込むみたいで…」と伝えると、代表の方は『話したくないことは話さなくていい。「話したくない。」って言っていい。』と言ってくれました。
そっか、話したくないことは話さなくていいんだ。
私はこのnote上ではべらべらと自分の事を話すし、話したいから書くけど、リアルで関わる人には自分の過去も病気も知って欲しくありません。
「どうして?」と問われても、「嫌だからイヤ」としか言いようがなく、「話して変な先入観や偏見を持つ人からは離れればいい」と言われればその通りなのですが、自分の過去や病気を人を判断する材料に使うことに何となく抵抗感があります。
にも関わらず、『聞かれたことには何でも答えないといけない』という図式が自分の中にあり、これまでは聞かれたら、たとえ言いたくない嫌なことでも話していました。
だからこそ『話したくないって言って良い』ということは衝撃でした。
面談はほぼ雑談で終わり、入院した経緯も、診断名も、これまでのことも、どうして家から出たいのかも、何も聞かれませんでした。
最後に代表の方がひとこと。
「で、今すぐ入居する?手続きとかは別に入居してからでもいいから。どうする?」
えっ…逆にこんなに何にも私のこと知らないのに、受け入れて大丈夫??
心配と不安に襲われ、「とりあえず…手続してからの入居でお願いします…。」と答え、連絡先を交換してその日は終わりました。
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夜、眠りにつこうとすると頭の中はぐるぐるし始めました。
話しが現実味を帯びて、というか現実になって、
1人で生活出来るのだろうか…
自立できるのだろうか…
こんなに早く話が進んで騙されているのではないか…
こんなにもうまくいくはずがない、とスムーズに事が運ぶことに疑心暗鬼になり、幸せから遠ざかろうとしている自分がそこにはいました。
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薬の影響もあってかいつの間にか眠ってしまい朝、目が覚めると頭の中は不思議とすっきりしていました。
「この機会を逃したら家から出られない!ずっとこのままでいいの?怖くて不安なのは当たり前。一歩踏み出さないと何も変わらないよ。」
気持ちが固まりました。
私は、この家から出て行く。
自分の力で生きていく。
施設のスタッフさんから連絡がきて、気持ちに揺らぎはないか確認をされました。
「話を進めて欲しいです。」
きっぱりと言い切ると、サービス利用計画案を作成してくれる相談支援専門員さんを紹介していただきました。
施設に見学へ行った3日後。
相談支援専門員さんとの面談を実施。
深いことを突っ込まれることもなくほぼ趣味の話で盛り上がり、「こんな感じで計画案を作ったので確認してサインをお願いします。」と紙を渡されて、「こんなに雑談ばかりしていたのにいつの間に?!」とびっくり。
相談支援専門員さんに「もう方法は無いと思っているかもしれないけど、生活していく方法はいくらでもあるからね。」と言われ、口には出していなかった『この施設が最終手段』という思いを悟られ、もし施設が無理でもこれからを一緒に考えてくれる人がいる安心感を抱きました。
スタッフさんに駅まで送っていただく車中。気になっていたことをぶつけました。
「あの…あまりにも話がスムーズに進んでいて困惑しているというか。もっといろいろなことを聞かれると思って準備していたから、何も聞かれなくてこれで大丈夫なのかなって逆に心配になるというか…」
スタッフさんは笑いながら、「聞いてほしいなら聞くよ?でも別に話さなくてもいいよ。私も代表も色々とゆるくやっているから。見学に来てその日にそのまま入居する人も多いの。だから、すずさんに「入居は2月くらいで」と言われて、『2月でいいのか…時間あるな…』って感じなの!」
無闇に境界線を踏み込んでこない感じ。
「家から出たい」が「家から出たい理由」でいい。
「自立したい」という意思を尊重しサポートしてくれる。
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その日の夜、私は「自由」の感覚を捉えられた気がした。
今まで、これほどまで自分の「意思」を尊重されたことがあっただろうか。
自分の意思を通すには誰もが納得できる理由が必要で、そんな理由がどこにもなくて「わたしには無理だ」と諦めてきたことが多かった。
何よりも自分自身に「お前には無理だ。」「甘えているだけだ。」「逃げているだけだ。」と言い聞かせて声を殺してきた。
何も聞かずに、ただ私の「家から出たい」という意思を尊重してもらえた。
「あぁ、自由なんだ。」
本当は、そんな理由は必要なかった。
自分の気持ちを殺す必要も無かった。
私はずっと自由だった。
理不尽には抵抗していいし、したいことがあるなら誰もが納得できる理由がなくてもしてよかった。
無意識の内に、抑圧されて無力感に苛まれてきた気持ち。
自分の思いが無条件に尊重されて、抑圧からの解放を感じた。
自分はやっと自分になれて、自分のために生きられる気がした。
🐣ひとりごと🐣
「大学生活が上手くいかなかった」と話した時に代表から「そりゃうまくいくわけないよ。他のことに全部エネルギー吸い取られてるんだもん。うまくいかなくて当たり前」と言われた。
思わず涙がこぼれそうになった。
「辛かったね」と言ってくれた人はたくさんいた。
「うまくいかなくて当たり前だ」と言われたのは初めてだった。
そうだよね、しょうがなかったよね、もう自分を責めるのは辞めよう。
また一つ、過去に区切りをつけられました。
心をぽかぽかさせるために使わせていただきます☺️