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いつの日か、この時代も「ノスタルジック」になる【映画から考える理想郷#6】

こんにちは、Studio Topitaです!
私たちは理想郷を本気で「想像」「創造」するサークルと称し、毎月テーマを決めて語り合い、議事録をアップロードしています。
ぱっと聞いただけでは「?」かもしれませんので、どうぞ是非、自己紹介をご一読いただきたいです。
(常連さんは、いつもありがとうございます!)

Studio Topia 8月
「いつの日か、この時代も「ノスタルジック」になる」

皆さんこんばんは。
お久しぶりです。StudioTopiaです。

会自体はほぼ毎週行っていましたが、忙しさを理由に記事を書くのをすっかりご無沙汰してしまっておりました…!

これからは、月の終わりに1回、会の報告をおこなっていければと思います。

さて、8月は【映画から考える理想郷】シリーズ第2回を行っていました。
▼前回はこちら

前回は「マトリックス」や「20世紀少年」など、未来を描いたSF(?)を中心に鑑賞していたこともあり、今回は「過去」を振り返ってみることにしました。
「過去」といっても、その切り口は様々ですが、今回は「ノスタルジー」の観点から「過去」を捉え直してみました!

作品は、山田洋次監督「男はつらいよ」とフランシス・フォード・コッポラ監督「ゴッドファーザー」の2本。一見するとつながりがないようなところもありますが、これらの映画を見る中で生まれた、私たちの「理想のノスタルジー」「ノスタルジーと理想郷」を一読いただけると幸いです。

▼「ノスタルジー(ノスタルジア)」とは

第1週目 「男はつらいよ」

最初の週に見たのは、山田洋次さん原作・監督、渥美清さん主演の
「男はつらいよ」

聞けば誰もが思い出す有名なあの主題歌からスタートし、「人よんでフーテン」(フーテン…定職なくぶらつく人)の寅さんの身の上ばなしからすっかり引き込まれてしまいました。

時は1968年ごろ。高度経済成長期も成熟していた時期です。

▼高度経済成長期に関する参考資料

NHKの高校教材用の資料ということもありますが、かなり教科書的で、自分達世代が思い描く「高度経済成長期」といえばこれ、という感じでもあります。遡ること50年程度であり、当時を知る方もまだまだ多くおられますが、2000年前後に生まれた我々としては、かなり未知の領域です。

今回「男はつらいよ」の寅さんという、ひとつ社会から外れた存在の視点を通して、わたしたちも「高度経済成長期の日本」をより身近に思いながら、同時に距離をとりながら、考え直すことができたように思います。

会の中では、高度経済成長期について「今以上に社会内での『格差』がはっきり見えていた時代」という発言もありました。映画内で描かれていたビル街の無機質さと下町の人情味、といったような社会的なあり方、描かれ方の違いは、たしかに今では薄れています。
教育を受ける中で、高度経済成長期の功罪を政治や経済の面から考えることは多くありますが、社会風俗や文化について深く考えさせられることは(多くの人にとっては)馴染みのないことでもあります。
歴史を考えるときに、「どうしたらその歴史を活かせるかを考えることが重要」という話もよくありますが、どこか効率重視で、冷たい印象を受けます。その当時の文化や社会風俗を捉え直し、生きていた人々の感覚を(もちろんフィクションはフィクションではありますが)ある種ノスタルジーや懐かしむ気持ちをもって受け止めることが、これから先の理想郷を考えていく上では必須だと思わされる会でした。

そして、この考え方は、「今の私たちが未来の世代に見られるときに、どのように評されるのだろうか」という疑問にもつながっていきました。我々の世代の社会風俗が、ノスタルジーを持って受け止められるのでしょうか。

第3・4週目 「ゴッド・ファーザー」

3・4週目に鑑賞したのは、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」です。

イタリアのマフィア・ファミリーが、守るべき「ファミリー」を中心に抗争を繰り広げる映画ですが、「男はつらいよ」とは一転、シリアスな場面も多い映画でした。

会の中で取り上げられたのは、「男性性・女性性」と「時代の過渡期」というテーマでした。

マフィア・ファミリーの中心はあくまで男性であり、女性の扱いが現代とは全く違うということ、また、それを支える稼業やあり方に無理が生じていることを、本人たちが薄々感じている、というところに注目した形になります。

作中で既に本人たちが「あの頃はよかった」的な回想をしており、会参加者の中で、「自分達は『あの頃はよかった』的な回想をすることのできる過去を持たないのではないか」という意見すら生まれました。

まとめ

今回は「男はつらいよ」「ゴッド・ファーザー」という二つの作品を鑑賞しましたが、それぞれから「今の時代は、将来においてどのように評価されうるのか」「我々はいま、懐かしむことができるだけの時代を生きているのだろうか」という、現代を捉え直す問いへとつながっていきました。

この問いに答えるところまでは至れていませんが、また次回以降の映画鑑賞会にて、取り組んでいけたらと思います。

編集後記

ここまで読んでいただき、ありがとうございます☺️

今回は、映画2本を見て話した内容をまとめました。
期せずしてどちらも男性を主人公としており、そこについても話したことは多々あったのですが、「ノスタルジー」について話した大筋から外れている部分として、今回はカットしました。

当たり前ですが、今は常に過去になり、いつか懐かしがられる時代となっていきます。そのときに、今を生きる我々がどのように見つめられるのか。どんな「ノスタルジー」が待ち受けているのでしょうか。(奈都)


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