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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】

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あらゆるアートやフィクションは人に影響を与えると思います。 つまり人の心が清く安らかになる様なフィクションがあれば、良い世の中になると言えます。 どんなに下手で稚拙であろうと気に… もっと読む
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#想像の世界

【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「Mask Is the New Hakenkreuz」(No.0202)

 その日は平日なのにとても混んでいた。
いや、市役所は平日しかやってないから当然か。まあとにかくとても混んでいた。そう思う。
引っ越してきたばかりでこの辺の事情には疎いし、そもそも市役所なんて滅多に来ないのだから詳しいことなんて知らないし興味もない。
とっとと手続きを終わらせて部屋に帰りたい。荷解きの続きやら何やらと、諸々細かいことが待っている。

俺は不慣れで居心地の悪い混み合った待合席で無味乾

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「懐かしいお引越し」 (No.0201)

僕が子供の頃はなかなか大変だったようだ。

僕の生まれた頃に父が逮捕されてしまい、母は小学生の姉と赤子の僕を一人で抱えることになってしまったのだという。

父は心に芯のある人であることは、出所後から去年までの生活で僕にもわかっている。母と姉はこの件に関しては殆ど話題に出さないので、僕は結局詳しい事情は直接聞くことはできなかった。もちろん父も話してはくれなかった。どうやら母と小学生の頃の姉は、赤子だ

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」第10章 まとめ記事(未完結)

 新しい政府は、人々がマスコミの様な嘘偽りをバラまき続ける組織を何故そこまで信じて来たのかが分かりませんでした。

とっくにネットでいくらでも正しい情報が簡単にタダ同然で瞬時に手に入るのに、ずっと嘘偽りで人々を混乱される幼稚で愚かなマスコミが長く居座りました。

新しい政府はマスコミへの追求や研究と同時に、人々が騙されて来た理由も調べました。

そしてその原因のひとつが学校である事が分かりました。

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「モグラたちに気をつけて」 まとめ記事

 今は夏です。この季節はとても暑いです、当然ですが。

それにしても今年の夏はとても暑い。
その暑い中でみんな、なにかしかの用事があって、陽に照らされてふらふらしながらも出たり入ったりとしなければなりません。

しかしここにいる3匹のモグラたちが住むこの地面の中はというと、決してそんなことは無いのです。

地面を少し掘っただけで、すぐに冷たく感じるほど外とは温度が違います。
外を歩き回る他の動物た

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「モグラたちに気をつけて」:後編(No.0192)

前編のつづき

そう言ってモグラたちは、更に多くの数の落とし穴をもっと精巧に作り続けました。
そうしている間にも他の動物たちは落とし穴にハマり苦しんでいました。
しかしモグラたちはもう他の動物たちには興味がありません。ハマっても関心を示しませんでした。

やがてそれまでよりも、更に精巧な落とし穴が沢山出来ました。

3匹は疲れた身体を休めながら待ち続けしばらくすると、またあの足音の奴がやってきまし

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「モグラたちに気をつけて」:前編(No.0191)

 今は夏です。この季節はとても暑いです、当然のことです。
それにしても今年の夏はとても暑い。
その暑い中でみんな、なにかしかの用事があって、陽に照らされてふらふらしながらも出たり入ったりとしなければなりません。

しかしここにいる3匹のモグラたちが住むこの地面の中はというと、決してそんなことは無いのです。

地面を少し掘っただけで、すぐに冷たく感じるほど外とは温度が違います。
外を歩き回る他の動物

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】  「ぼくのオレンジジュースはどこ?」まとめ記事

「観た?」
「うん、みた。」

朝、小学校の校門の前で、ランドセルではない四角いリュックサックを背負った2人の少年が話している。

まだ、登校にはずいぶん早い時刻だったので、校門は開いていたものの登校する生徒はいなかった。

「全然知らなかった。難しいところもあったから全部が分かったわけじゃないけど。」

青いリュックを背負った少年が自信なさげに言った。

「そうだろうね。君の歳じゃ。といっても私

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】  「ぼくのオレンジジュースはどこ?」:後編(No.0188)

前編のつづき

ハネオはミハルがこうして塞いでいる理由がわからずにいました。

確かに彼は自分と同様に子供なうえに歳も1つ下です。

ジュースを間違えたことで気持ちを傷つける事があるかも知れませんが、いくらなんでも引きずり過ぎています。

ハネオは質問し、返答を待っていました。
しかし返事はありません。

ハネオは校舎に顔を向けたまま黙っているミハルの顔を覗き込みました。

ミハルは泣いていました

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「ぼくのオレンジジュースはどこ?」:前編(No.0187)

「観た?」
「うん、みた。」

朝、小学校の校門の前で、ランドセルではない四角いリュックサックを背負った2人の少年が話している。

まだ、登校にはずいぶん早い時刻であったので、校門は開いていたもののまだ登校する生徒はいなかった。

「全然知らなかった。難しいところもあったから全部が分かったわけじゃないけど。」

青いリュックを背負った少年が自信なさげに言った。

「そうだろうね。君の歳じゃ。といっ

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「口癖はヤンス」 まとめ

 この記録的な灼熱の日に、男は電車に乗りました。

車内はキツイ冷房をかけながらも窓を開けるという矛盾した状況でありましたが、しかしそれでもホームよりよっぽど涼しく、男は帽子を取ってパタパタと涼みハンカチで汗を拭っておりました。

夏のさなか、通勤時間を避けたといってもまだ午前中です。かなり空いたと行っても利用客はそこそこいます。
男の乗った車両は、座席の端が全て埋まった程度でしたから座ろうと思え

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】  「口癖はヤンス」:後編(No.0186)

前編のつづき

中年は意外な反撃に怯んだものの、自分から周りにアピールして啖呵を切り、強気に出てしまったせいで引っ込みが付きづらくなっていました。

また、男の言い回しにもまだ意見の余地があると反射的に判断し、あまり考えもなしに、

「マスクの必要がないとか何言ってんだ⁉ 病気が伝染るだろ? お前、まわりの人に迷惑かけてんのが判んねえのかよ⁉」

既に抑揚を付けたり、言葉を選ぶ余裕が無くなっていた

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】「口癖はヤンス」:前編(No.0185)

 この記録的な灼熱の日に男は電車に乗りました。

車内はキツイ冷房をかけながらも窓を開けるという矛盾した状況でありましたが、しかしそれでもホームよりよっぽど涼しく、男は帽子を取ってパタパタと涼みハンカチで汗を拭っておりました。

夏のさなか、通勤時間を避けたといってもまだ午前中です。かなり空いてましたが利用客はそこそこいます。

しかし男の乗った車両は座席の端が全て埋まった程度でしたから、座ろうと

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】「狩人の朝」 まとめ記事

全く世の中は忙しい。
何にでも金が必要だし、その金を手に入れるには仕事が必要だし、仕事には嫌な事がついて回ってくる。

やっとの思いで金を手に入れ欲しい物を買っても、それが必ずしもその苦労に見合うとは限らない。買ってすぐにゴミになっちまうものも普通にある。

そのゴミになっちまうものだって、買うのに苦労したってのに今や捨てるのにも一苦労する。

やれ燃えるだ燃えないだ、金属だ粗大だっていちいち面倒

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「狩人の朝」:後編ラスト (No.0172)

後編2のつづき

後日

俺は部屋を片付けた。

もちろん安酒の空き缶や、それで作った工作物も全て捨てた。

かといって削ぎ落とすような事はしなかった。
きちんと必要と不必要を選別した上で整理整頓をした。
俺は反省したが、階下のようなカルトになった訳では無い。断捨離なんてもってのほかだ。

俺はあれからよく考えた。
日記をつけることを始めた。
といっても、あれを食べたとか、これをしたとかなんていう

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