[生理学] 高体温について
総務省消防庁によると8月10日~8月16日の1週間における、
熱中症による救急搬送人員数が1万2804人(速報値)、
消防庁が確認している今年の累計人員数は3万5317人とのこと。
9月に突入した今現在でも暑さは続き、
予防と対策について連日メディアで取り上げられています。
中でも高齢者が半数を占める結果が出ています。
身内の方が危険な状態に晒される可能性もあります。
[熱中症ゼロへ-日本気象協会]
熱中症による高体温は生命の危険をも伴うものだが、
症状は変わりやすく初めから高体温があるとは限らない。
平熱だと思っていたら急に高熱になる場合もある。
熱中症による高体温がその日のうちに治まったとしても、
体の抵抗力は下がり、熱中症にかかりやすい状態。
翌日から長時間のスポーツや労働は控えるべき。
今回は熱中症にも関わる“高体温”について、
生理学的な解釈も含めて書いていきます。
1.高体温とは
熱産生が異常に増加したり、
熱放散が十分にできない場合の体温上昇をいう。
(熱中症・日射病がこれに属する)
生命にかかわる危険な状態です。
発熱は積極的に体温を上昇させているのに対して、
高体温は上昇してしまっている状態です。
セットポイントは上昇していないため、
解熱剤は無効であり、
物理的に身体を冷却する必要があります。
セットポイント
体温調節中枢(視床下部)の体温のレベル設定
→体温がそのレベルになるように調節される。
設定レベルより低い場合
・震えなどで熱産生を増加させる
・皮膚血管の収縮で熱放散の減少
設定レベルより高い場合
・皮膚血管の拡張や発汗
→熱放散が増大
→体温が低下
2.高体温にて起こる症状
脱水による口渇、無汗、倦怠感、意識障害
→長時間持続すると死亡に至る可能性が有る。
3.高体温状態の対策
・冷涼な部屋に移動
・水で濡れたガーゼを当て扇風機の風を受ける
・動脈が皮膚近くを走っている部分を冷やす
(頭部・腋窩・鼠径部など)
・ 冷えたスポーツドリンクなどを飲むことも有効
※体温調節の障害
・Uhthoff徴候(ウートフ徴候)
→多発性硬化症などの脱髄疾患では、
高温環境や長時間の入浴で神経症状が悪化する。
・脊損では体温調節障害(発汗障害・うつ熱)が起こる。
他人事では済みません。
特に今年はコロナウィルスの影響もあり、
マスクの着用頻度が高いと思います。
息苦しさも相まって熱中症へのリスクは上がります。
身近な人だけでなく、
近所の高齢者への気配りもしていきましょう!
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