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ファンタジー短編小説 「朝の9時は永遠に…」

広大な空が途切れることなく広がり、陽の光がきらきらと輝き続ける、時が止まったような不思議な世界があった。太陽はいつも、明るい朝の9時のままで、静かに東の空に輝いていた。

暖かな陽差しが草花を優しく照らし、早朝の露に映る光がキラキラと輝いている。風が心地良く吹き、木々がさらさらと音を立てていた。そんな不思議で美しい世界で、元気いっぱいの小さな少女、ゆんのが毎日を楽しみながら過ごしていた。

彼女の家は丘の上にあり、小さな窓からは、いつも変わらない明るい朝の風景が広がっていた。ゆんのは、この特異な世界にもかかわらず、日々を心から笑顔で野原を駆け回っていた。
彼女は、いつもおっちょこちょいながらも、全力で走り、大声で笑い、新しいことを見つけてはワクワクしていた。何事にも負けず、立ち向かう勇気を持った、笑顔が絶えない元気な少女。

ある日、ふとした瞬間、ゆんのの目が何か輝くものに引き寄せられた。巨大なケヤキの木の根元に、虹色の羽根が落ちていた。美しい羽根は、朝の太陽に照らされてさらに鮮やかに輝いていた。

「あれ?これは一体……」とゆんのは首を傾げながら、ゆっくりとその羽根に手を伸ばした。


その瞬間、まるで生きているかのように羽根はゆんのの手から躍り出て、空へと舞い上がった。それはまるで蝶のように舞い、光のように輝いていた。
そして、突然、その羽根から巨大な鳥が現れ、ゆっくりとゆんのの前に舞い降りた。その鳥は虹色の羽毛を持ち、優雅に風に揺れていた。伝説で聞いたことがある、朝の9時のままのこの世界を生み出したという鳥だった。


「君がこの世界を動かす新たな守護者に選ばれたようだね」とその鳥は声を響かせ、優しく微笑みながらゆんのに語りかけた。
その声は心地良く、風に運ばれて遠くへと広がっていった。

驚きと期待で目を輝かせたゆんのは、少し立ち尽くした後、元気いっぱいに鳥に向かって走り出した。

「私、やります!」と彼女は力強く、そして全身から溢れるエネルギーとともに宣言した。


そして、ゆんのの新たな旅が始まった。彼女は毎日、太陽がいつも東の空のままの、この変わった世界を、一歩一歩、楽しげに探索した。
それぞれの花びらが朝の光に照らされてキラキラと輝く草原、静かな湖面が朝日に照らされて金色に光る森の中を、彼女は心躍らせながら駆け抜けた。

彼女のおっちょこちょいな性格が引き起こすちょっとした問題も、ゆんのは自分の旅の一部として楽しんだ。
彼女はその度に笑い、その度に自分自身を強くした。こぼれ落ちそうな彼女の笑顔が、朝の光と一緒に、いつも世界を明るく照らしていた。

この永遠の朝の世界に生きる小さな少女、ゆんの。彼女の勇気とエネルギーが、変わらぬ朝の光の中で、いつも新鮮で、いつも元気なこの世界を彩っていた。

ゆんのの笑顔は、いつも9時の世界に、新しい日の訪れを感じさせてくれた。





時間を割いてくれて、ありがとうございました。

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