現代詩

   〈花Aについて〉

花の美しさ  なんてものはない
美しい花があるだけだ

かって
批評家Kは
そう言った

だが、わたしは
美しい花Aの
その美しさを
感受するとき

花Aの香り
花Aの色
花Aの形
花Aの触感
加えて
その花Aの
全体の佇まい
を味わっている
ような気がする

まれにその花Aに
まつわる思い出も
混淆させ
むしろ
その花Aに
まつわる
記憶が
向こうから
飛び込んで
くることさえ
ある

おそらく
それが
その花Aの
イメージと
呼ばれるべき
もので

わたしは
そのイメージを
その総体を
花Bではない
まさしく
花Aの
個別の
美しさとして
感受する

それが
美しい花A
ではなくて

花Aの
美しさと

わたしが
呼ぶべき
もの
なのだ

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