不思議通信

みずうみへ なげいれよう/まだらにかがやく ほのあたたかな このこいしを/みずからがえ…

不思議通信

みずうみへ なげいれよう/まだらにかがやく ほのあたたかな このこいしを/みずからがえがく はもんは こいしにはみえない/ただしずかに しずみながら ゆめみている/さざなみにまじり かぜにこわれながら ちりつたうはもんが/むげんのさいはての きしべにたつ あなたへとどくのを

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  • 詩の箱

    詩の箱を開けたら、詩が思になって肢になって私になって史になって指になって糸になって視になって汝になって矢になって死になっても詩になる

記事一覧

[詩]幸福な夜

ひとさじの蜂蜜 ひとくちの珈琲 ひとつぶの指輪 ひとかけらの菓子 ひとしきりの雷雨 ひとみしりの青猫

不思議通信
5か月前
7

[詩]今日に似た日

歩きながら ふいに 気づくのだ 今日に似た日が たしかにあったと やはり 頭上に 淡い灰みの低い空 やはり 足もとに 乾き切らない舗道 やはり 靴音が いつもより…

不思議通信
5か月前
1

[詩]擬態の柩

擬態の柩 燃える 燃える 擬態の柩 もう ならなくていい なりたくないものに ならなくていい ハイビスカスの玉座で 瑠璃色の蝶に化け 蜜の吸い方も知らず 鏡の間へ…

不思議通信
5か月前
3

[アナグラム詩]甘い苺のお菓子を食べよう

甘い苺のお菓子を食べよう あのこいをいましたへおちようか あの恋を射 真下へ堕ちようか まいごをおかしたようちのあいへ 迷子を犯した夜討ちの愛へ いのちごいおうか…

不思議通信
5か月前
4

[詩]こころを喰らう

こころを喰らう あまりにも お腹がすいたので こころを食べることにしよう ましろな皿に 鈍色の叢雲 ナイフの先で すうっと切れた フォークを刺したら硬いのに 口の中…

不思議通信
5か月前
3

[詩]わたしのいし

わたしのいし みづうみへ 投げ入れよう まだらに輝く 仄あたたかな この小石を みづからが描く波紋は 小石には視えない たゞしづかに沈みながら 夢みてゐる さざ波…

不思議通信
5か月前
3
[詩]幸福な夜

[詩]幸福な夜

ひとさじの蜂蜜
ひとくちの珈琲
ひとつぶの指輪

ひとかけらの菓子
ひとしきりの雷雨
ひとみしりの青猫

[詩]今日に似た日

[詩]今日に似た日

歩きながら ふいに 気づくのだ
今日に似た日が たしかにあったと

やはり 頭上に 淡い灰みの低い空
やはり 足もとに 乾き切らない舗道
やはり 靴音が いつもより響いて

立ちどまって ふいに 分かるのだ
今日に似た日は さみしかったと

あれは ピアノ教室に向かう 夕刻前
あれは 恋の終わりを知る 信号待ち
あれは 余命短い父の 見舞い帰り

振り返ると ふいに 怖くなるのだ
今日に似た日が 

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[詩]擬態の柩

[詩]擬態の柩

擬態の柩

燃える 燃える 擬態の柩
もう ならなくていい
なりたくないものに ならなくていい

ハイビスカスの玉座で 瑠璃色の蝶に化け
蜜の吸い方も知らず 鏡の間へ逃げ延びて
見てしまったのだろう? 聴いたのだろう?
ひからびた樹皮を真似る 幾千もの蛾の羽ばたきを

燃える 燃える 擬態の柩
いま やっと なれるときがきた
いや いくども なったことがある

忘れられた墓標に寄り添う 朝露の輝き

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[アナグラム詩]甘い苺のお菓子を食べよう

[アナグラム詩]甘い苺のお菓子を食べよう

甘い苺のお菓子を食べよう

あのこいをいましたへおちようか あの恋を射 真下へ堕ちようか
まいごをおかしたようちのあいへ 迷子を犯した夜討ちの愛へ
いのちごいおうかまよをあしたへ 命乞い謳歌 真夜を明日へ
いまちのうたあおいかべをよごし いま血の歌 青い壁を汚し
ちへいのごうかよまたあおいしを 地平の業火よ また青い死を
ごかいのあまちいしようおをたべ 誤解の天地 石よ 魚を食べ
のべたいいまよち

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[詩]こころを喰らう

[詩]こころを喰らう

こころを喰らう

あまりにも お腹がすいたので
こころを食べることにしよう
ましろな皿に 鈍色の叢雲
ナイフの先で すうっと切れた

フォークを刺したら硬いのに
口の中では 薄玻璃のよう
ぱりぱりちくちく 割れて刺す
破片が喉を切り裂きながら
胃の腑に落ちて虚ろになった

まだまだ お腹がすいている
だけど 食べるものがない
もうすこしだけ待ちましょう
また こころが湧いて出る

[詩]わたしのいし

[詩]わたしのいし

わたしのいし

みづうみへ 投げ入れよう
まだらに輝く 仄あたたかな この小石を

みづからが描く波紋は 小石には視えない
たゞしづかに沈みながら 夢みてゐる

さざ波に混じり 風にこはれながら 散り伝ふ波紋が
無限の最涯ての岸辺に立つ あなたに届くのを