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「2404年の人類進化」7月20日追記

2404年、天王星までを完全な移住体系に進化させた人類は、数多くの人工コロニーを配備し太陽系全土を手中に入れた。

しかしその人類は、21世紀末から急激に増加したデザインDNA配合の優秀な頭脳と、屈強な筋肉、どんな病原菌やウイルスにも負けないアルファ性別の「ハイブリッダー」と、自然受胎母体出産で生まれた「ナチュリア」の二つに大きく分かれている。

また、外惑星や宇宙空間での低酸素や過酷な重力下で肉体労働をする為の奴隷として、人間と獣の遺伝子クローニングをされた「ビースター」が、圧倒的な繁殖力を持って20億人にまで達しようとしていた24世紀。


クシィー・セクシャルと人類進化の系譜。



23世紀に入ってから、突然変異で出現するようになった新人類。

★オメガバース設定
2020年台にオメガ性の人々への虐待が増えて、オメガの大量自殺や組織的な自爆テロが急増。危機感を募らせたアルファの政治家達が、数百人ほどのオメガを国籍無関係で辺境地の隔離施設へ収容した。

→徹底した身辺調査や人格テスト、代々の家系やレベリングリサーチを経て選ばれたアルファ男女のみが、相性の良いオメガ、または「ソウルメイト」とパートナー契約を交わして、次なるアルファやオメガが生まれる。

その子孫達の中からやがて「クスィー」と呼ばれる、突然変異種オメガが出現した。

政府はコピークローン化させて彼らを増やそうとしたが、受精の段階からアレルギーや遺伝子操作に耐えきれず、その政策は失敗。クスィーアンを守るための世界条約が多々締結されたが、それを強く支持したのが、天王星を支配するツタンカーメン一族。

宇宙での「王家」として木星の天然資源を独占し、太陽系連邦政府に唯一対抗できる派閥だった同家は、行き場のないビースターを保護し労働力として一定の権利を与えていた。このことにより、ホワイトファングやグリフォンなどの貴重な種族を独占し、王家に絶対的な服従を誓う強靭なビースター大部隊を確保している。その派遣はアステロイドベルト外惑星にも及び、「ツタンカーメンの視界に映らないものはない」と言わせしめた。



長身で骨格が頑丈、知能が高いハイブリッダーには宇宙貴族が多い。


21世紀半ばから、先進国の貧困層人口が急激に減り労働力が下降。それにより企業の大規模なロボット化が進む。逆に裕福層の優良遺伝子配合が個人家庭に浸透し、高知能で美しい外見の持ち主から高額の精子や卵子提供が市場マーケットで拡大。

優秀な人材が成長し、宇宙科学やサイボーグ化手術、ロボット生産がスピーディーに発達して、火星や木星、他コロニーへの移民が増えていく。

超額な税金の地球に住むよりも、宇宙移住の価格の方がどんどん庶民的になったし、家庭を持ち子孫を繋いだアルファやベータには、税金や移住費、生活光熱費、酸素代金などが大幅に減らされる。

地球の自然破壊と温暖化、異常気象により宇宙移民化が促進。移民家庭や個人には税金免除や住居建築補助金が配布され、2100年には地球に住む人々が一億程度に。



クスィーセクシャルが結婚出産に免除されること。


奨学金も返金免除のうえで、天王星や木星移住の税金やアパートマンションの賃貸料、一戸建て建築資金が大幅免除になる。老後積立も五割近く負担してもらえ、高額年金が確約される。





2100年頃の横浜。宇宙ステーションや、月への高軌道エレベーターが点在する。


経済破綻国として、分割売買された日本。


日本は2080年代に経済破綻国として、個人の企業に分割買収さればらばらの島国となる。富士山や琵琶湖、京都など歴史的な名所も外国裕福層の所有となり、戸籍なども多くの移民や、のちに出現するビースターとの混合種に買い取られていく。




宇宙に出たハイブリッド・アルファの実業家や資源王の中には、自らの一族を貴族として太陽系連邦に認可させて、地球にあった古くからの貴族位や家名を買い取る人々が増加する。




太陽系連邦政府の誕生。



旧人類となった資本主義経済先進国の人々が、汚職や戦争などに関与し過ぎる事件が増え過ぎたため、2050年代からAIに選出されたエリート・ハイブリッド達が中心になって作った地球を母体とする行政組織。裁判や司法などの統率はほぼ、ヒュートランマザーAIが管理。

その支配を逃れようと外宇宙へ脱出したビースト配合種や、犯罪者になったアルファノイドが、アンドロメダ空域に独自の生活圏を作り上げている。


優秀だが自己顕示欲が強く、顔付きや作り出す芸術品も似通うハイブリッダーのアルファクラスは個人主義を重んじるので、夫婦や恋人関係に囚われる事を嫌うタイプが多い。また遺伝子の人工配合を重ね過ぎたせいで、無精子症男性や生理のない女性が増えていく。

人類の繁栄のために開発された遺伝子技術が、「美しく聡明な子供が欲しい」という私利私欲に利用されていくうちに自然消滅していく皮肉である。




20年前に、あまりの離婚夫婦の多さと裁判数に歯止めをかけようと、地球連邦政府が「試験期間婚姻制度、テストマリッジ」を作った。そうでなくとも妊娠率が低いDNAデザインのカップルを、取り敢えず仮に結婚させて共同生活へ導くシステムだ。
まず結婚前に優良な子孫を残せる相性か、お互いの財産や実家の地位と権力などを精査され、別居婚からスタート。同居を始めても離婚時にきちんと半分ずつ分断可能な家か、家屋や車、ペットと家財食器類なども細かく所有権を決定しなければならない。
両者が政府に申請して決めた新婚生活期間をクリアすれば、税金が大幅に免除されるし、新生児の教育費も大学まで免除。半年、一年、一年半と一区切りごとに司法書士とセラピストを挟んだ協定が延長され、結婚生活継続が不可能と判断されれば、そこで円満離婚となる。

「真紅のシャンパンシャワー」より一部抜粋。


クシィー・セクシャルの子供は、人工的な遺伝子創作ベビーにはまず生まれない。珍しい自然受胎の自然出産を続けてきた家系のみに現れる。
母体にいる時から体内に、精巣、卵巣と子宮を持ち成長。外見的な特徴としては、目が大きく童顔で小柄。成人して平均身長は170cm前後。

代々遺伝子を優勢強化されたアルファハイブリッダーには及ばないが、記憶力や運動能力、言語能力に秀でていて、中には反射神経や動体視力は前者を凌ぐ新世代も増えている。人型兵器ナイファスパイロットエースが、クスィーに多いのはこの特徴から。

性格的に穏やかで感情の起伏が低め。一人で妊娠出産可能な為に、恋愛思考や嫉妬心を持たずにゆっくりと成長する。35歳くらいまで身長が少しずつ伸びて、大体120歳が平均寿命。

ハイブリッダーの人々が数を減らしていく中で、クスィー人類は、動物との交配種の中でも特に珍しい「グリフォン」「フェニックス」「ユニコーン」「ホワイトファング」などと「つがい契約」を交わして肉体進化をしつつ少しずつ数を増やす。



グリフォンとクシィーの「ダブルレリアン」



ダブルレリアンが90歳くらいになった姿。平均寿命が160年程度。




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