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文学フリマあかさたな雑記

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文学フリマ東京38に向けてあかさたな作文で文学フリマにちなんだり自己紹介したりしました!
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#文学フリマ東京38

酒(文学フリマあかさたな雑記『さ』)

酒(文学フリマあかさたな雑記『さ』)

初回の「あ」はこちらから

私は酒が飲めない。好き嫌いじゃなくて、体質的に合わない。飲むと動悸が激しくなったり息が切れて寝込んだり頭や胃をおかしくしたり吐いたりする。私と話したことがある人は全員もれなく同じ反応なのだけれど、この事実を知るとみなさん必ず「えーっ」と驚いてから「すごい飲めそうなのに」という。どこからそのイメージがわくのだろう。声と態度と腹がデカくて言動がおかしいからか。失礼だろ私にも

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墓参り(文学フリマあかさたな雑記『は』)

墓参り(文学フリマあかさたな雑記『は』)

初回の「あ」はこちらから

父親の葬儀後、亡くなったことを後から知った父親の会社のお友達に墓の場所を聞かれたことがあった。その方の名前は子供のころ、父親から何度も聞いたことがあった。葬儀についてはOB会へ連絡しておけば、そこから会社関係の人に届くだろうと思っていた私は申し訳ないことをしたと思った。にもかかわらず、その方は「釣りでしょっちゅう近くを通るから、ちょこちょこお参りしておくね」と言ってくれ

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松の木の精(文学フリマあかさたな雑記『ま』)

松の木の精(文学フリマあかさたな雑記『ま』)

初回の「あ」はこちらから

『ほんとにあった怖い話』というコミック雑誌をご存知だろうか。読んで字のごとく、"本当にあった怖い話"を集めたコミック雑誌なのだが、中学生のころから私はこの雑誌が好きだった。(今は「HONKOWA」って名前で公式twitterがあるんですね)

その雑誌で不定期連載の「氷室奈美のオーロラドローイング」という漫画があった。氷室奈美先生というイラストレーターの先生が、依頼者の

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「やるか、やらないか」っていうより、「やりたいか、やりたくないか」(文学フリマあかさたな雑記『や』)

「やるか、やらないか」っていうより、「やりたいか、やりたくないか」(文学フリマあかさたな雑記『や』)

初回の「あ」はこちらから

本を作って文学フリマに参加し始めたころ、友人たちは感心しながら繰り返し、すごいね!と言ってくれた。たいしたことじゃないよ、と返す私に友人たちは、ううん、と力強く首を振って続けた。
「普通、できないって。書くことも、ましてそれを本にするためにデータを作ったりとか、出品するとか、とてもとても、簡単にできることじゃないよ」

褒めてもらえることは素直にうれしいし、長い付き合い

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卵巣膿腫があった(文学フリマあかさたな雑記『ら』)

卵巣膿腫があった(文学フリマあかさたな雑記『ら』)

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もう7年も前のことになる。不正出血が続いて心配になった私は数年ぶりで婦人科を受診し、卵巣がとてつもなく腫れていることを知ったのだった。

卵巣と言うのは親指の第一関節までくらいのサイズが標準らしい。それが、5cmとか6cmとか、それって何倍なのよとパッと頭には浮かばないくらい大きくなってしまっていた。

ちょうど同じ時期、首の甲状腺という器官にも腫瘍があって切り取る手術

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輪のちょっと外側にいたい(文学フリマあかさたな雑記『わ』)

輪のちょっと外側にいたい(文学フリマあかさたな雑記『わ』)

初回の「あ」はこちらから

お酒は飲めないけど親しい友達との飲み会とかカラオケとか、わいわいと盛り上がる場は嫌いじゃない。嫌いじゃないけど、最初から最後までずっと盛り上がっているかと言うと、そうでもない。

カラオケで室内に入り、みんながデンモクをいじったりドリンクどうする?と聞いて回ったり、えーどうする、何歌おー、みたいなちょっと遠慮がちな、モジモジしている最初の10分ちょっと。ここに私はすべて

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