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#小説
(非公式)『運命戦線リデルライト』第一話「キミだけのチカラ」
〇
小さい頃、本屋さんで占いの本を買ってもらった。
手相だとか血液型とか、今に思えば他愛のない話だけれど。
その頃のわたしには、何だか素敵に思えたのだ。
運勢を――あるいは「運命」を占いましょう、と本は語る。
赤い糸で結ばれた、顔も知らない誰かとか。
幸せを約束された未来とか。
けれど、本は一つだけ嘘をついていたのだ。
運命は、もっと残酷なものだって。
教えてくれれば
短編小説 「足と仮面」 高校生のための小説甲子園落選作
写真機の入った愛用の鞄が、妙に重たく感じられた。被写体にふさわしい風景が、どこにも見当たらないせいだった。
暗い空がビルの明かりに照らされて、霞んだような色をしている。月は遠く、建設中のデパートの影に隠れながら、こちらをじっと見下ろしていた。
繁華街は騒がしく、抱き合った男女だとか酔っ払った集団だとかが、地面へ深くめり込んでいる。両脇に長く連なった、楽器屋、質屋、あるいは雑多な飲食店。それら