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自分のアイデアがパクられたという勘違い

斬新奇抜(ざんしんきばつ)
→ 着想が独特でこれまでにない新しさを兼ね備えていること。

オリジナリティ、つまり差別化という言葉が好きな人が多い。

もちろん重要なことなのではあるが、自分のオリジナリティに価値があると考えている人はその間違いに気づいた方がいい。

オリジナリティだと思うときの裏側にはアイデアというものがあり、自分が生み出したアイデアに価値があると思っているというわけだが、それは大きな勘違いだ。

すでに世の中には真の意味でのゼロイチのアイデアというものはないと思った方がいい。

残念だが、あなたの考えていることなどたかが知れているということだ。

それをあたかも自分が初めて思いついたかのように語ることは、むしろ自分の価値を圧倒的に下げていることに気づいていない人は本当に要注意だ。

組み合わせの連続でしかない未来

2023年1月の世界を因数分解してみよう。

とりわけ、日本の自分の住んでいる環境を見返せばいいだけなのだが、衣食住で致命的に困っていることがあるだろうか。

このブログを読める環境にある人は、少なからずそんな環境にはいないはずだ。

つまり、なにもなくても生きていくことは可能だし、今の環境をより豊かにしていくことがベースになっている。

となると、常に比較対象があるわけで、それはゼロイチではなく、イチではないかもしれないが、少なくともゼロからではないということになる。

先人がいて、それをより改善していく方向という言い方をすればわかりやすいかもしれないが、そんな現代社会で思いついたアイデアにどれだけ価値があるというのだろうか。

それを、ドヤ顔で私が初めて考えたアイデアだと主張したり、なんなら私が考えていたアイデアがパクられたなどと語ることなど笑止千万だ。

優秀な人はそれをよく知っているから、パクられることなどには動じない。

それどころが、パクられることを別のプラスの方向に変えていく力がある。

アイデアに価値のない時代

くり返しになるが、この事実はしっかりと頭の片隅においておいた方がいい。

それは、現代社会においてアイデアに価値など全くない時代だということだ。

2022年11月15日に世界の人口が80億人を超えたという発表があった。

つまり、世界中には80億人という想像もできない人類が溢れていて、日々なにかしらの生活をしている。

そして、全員がとは言い切れないが、基本的に豊かになることを目的に人類は前進しているわけで、そんな中であなた1人のアイデアが特別などとおこがましい。

ましてや、これだけインターネットというインフラが世界中を網羅し、誰でも情報にアクセスできる時代に自分だけが特別だと思う方が間違っている。

勘違いしてもらいたくないのは、私はアイデアを出すことやアイデアを考えるためにインプットをやめることを主張しているわけではない。

あくまで、自分が絞り出したアイデアは世界中のどこかで誰かが同じことを思いついていると思った方がいいということだ。

アイデアを出すよりも重要な実行力

アイデアはどんどん出した方がいい。

けれども、それはほんの入口にしかすぎず、その何倍も何十倍も重要なのは実行力だ。

思いついただけではなく、スピード重視でそのアイデアを具現化していくこと、つまり確実に行動に起こしていくことの方が圧倒的に重要だ。

ほとんどの人はアイデアを思いついたと騒ぐだけで、実際に行動したかと問われたら、やっていないことが多い。

時間がないとか、お金がないとか、もう少し落ち着いたらとか、今じゃないとか、適当な言い訳をして動くことをしない。

そして、そんな人に限って誰かがやった後に、自分のアイデアがパクられたとか、同じことを思いついていたとドヤ顔をする傾向にある。

そういう人たちをたくさん見てきて、もはやなんの感情もないが、未だにそういう人が多いのは事実だ。

自分のことを棚に上げて外野からいうことはいくらでもできる。

そんな人がマジョリティの世界の話をしたところでなんの説得力もないことも理解できるだろう。

発言に影響力を持ちたいのであれば、その人が実際にどんなことをしてきていて、一定の成果が出ていなければ、負け犬の遠吠えなのである。

パクることはスキルの1つ

アイデアをどんどん出して実行していくには、インプットとアウトプットのいずれも重要になる。

となるとパクるという行為は自ずと必要になる。

というか、もはやパクるということが悪いことだと思っている暇はないといった方が正しいだろうか。

これだけ情報が溢れている中、結果的にパクっていたような形になるようなこともあるだろうし、そもそもあなたのアイデアはなにかしらをパクったものの延長線上だ。

未だに中国はパクリが酷いということを押し付けてくる人もチラホラ見かけるが、かつての日本だっていろいろとパクりまくっていたし、それができなくなったら相手を悪くいうイメージだ。

もちろん、法的なものや倫理観が大切ということは大前提だが、パクることやパクられることを恐れてはいけない。

なによりも、競合がいることがクオリティを高くしていくというロジックを理解していない人があまりにも多い。

一社が独占するというような状況は、競争がないので商品やサービスのクオリティを上げる必要がなくなる。

となると、どっちでも一緒ならわざわざ余計なことをしない方がいいという、楽な方向に人間は必ず流れていく。

つまり、必ず衰退する。

実はパクることで、新しいものが生まれていくことは良い循環になる可能性が高くなるということを私は主張している。

特許という独占権に対する考え方

私が社会人のスタートを弁理士という資格を取ることを目標にしたことは、何度か話をしたことがあると思う。

結局、その目標は未達に終わったわけだが、当時の私には特許という独占権がかなり魅力的に思えた。

特許権は、新規性や進歩性という部分が評価基準にあって、着想が独特でこれまでにない新しさを兼ね備えていることが最低限の条件となる。

そんな条件をクリアして晴れて権利となった特許は独占権が与えられるという特別感、そしてライセンスとして、その技術やアイデアが二次利用できるという世界観に魅了された。

まだ世の中のことがよくわかっていない私からすると、そんな独占できるものが合法的に世の中にあることに無限の拡がりを感じたわけだ。

ただ、その発想は幻想だったとはいわないまでも、世の中は想像していた世界とかけ離れていた。

stak, Inc. の社名の由来にもなっている、機能拡張モジュール型IoTデバイスのstak(スタック)は特許を保有している。

特開2020-96277(P2020-96277A)

上記を特許情報プラットフォームから検索してもらえたら、特許内容が書いてあるので見てもらえればいいが、なぜ特許を取るという決断に至ったのかを改めて書いておこう。

当然だが、特許を出すに当たってはある程度の費用がかかる。

先行して同じ技術や機能がないのかの調査、類似するものがあればそれをどうやって回避していくのか、特許申請するにあたっての書類作成などなど細かい作業も多々ある。

まあ、実際は弁理士という士業の人たちに丸投げすることになるのだが、それはそれで費用が発生するのも当たり前だ。

一昔前の特許であれば、特許を取ればその独占権を用いて、圧倒的な地位を築くことができた。

例えば、Qualcomm(クアルコム)というグローバル企業がある。

Qualcommは、CDMAという無線技術で大きく成功した会社だ。

この技術が最初に応用されたのは軍事無線で、Qualcommの初期の成長には、アメリカの軍事予算が重要な役割を果たしている。

ただ、Qualcommの本当の飛躍は、軍事予算を使って作り出した各種の特許を民間の携帯無線技術に応用したことにある。

スマートフォン1台あたり数ドルを特許料だけで稼ぐ巨大なビジネスを作り出すことに成功したというわけだ。

そんなQualcommの2023年1月時点の時価総額は、1284.78億USドルである。

このあたりの世界観が本当に魅力的だったのだが、GAFAMを中心とした巨大IT企業がグローバルを牛耳っている現代社会で特許で抜きん出ることは難しい。

そもそも、研究開発費の規模が圧倒的に違う中で勝てるはずがないし、勝負をする意味がない。

となると、特許はなんのために取るものなのか。

一言でいうならば、防衛するためだ。

自分たちが出した商品やサービスが他社からなにかを言われたときに、特許があることで守るという発想だ。

その位置づけを知ったとき、アイデアには価値がないことを改めて痛感したというわけだ。

まとめ

オリジナリティを求めることは重要だ。

けれども、オリジナルだという思い込みは非常に危険な考え方というか、そこに固執することはマイナスでしかない。

匠の技といった職人気質な部分に憧れのようなものを抱くのは、私にも理解できるし、その世界観が嫌いではない。

むしろ、クリエイティブな仕事をする以上は、どちらかというとその気質の方が重要なのかもしれない。

けれども、勝ち残っていくのと意固地になることは全くレイヤーが違うことだ。

ましてや、無名のなんの実績もない人や企業が、自分や自分たちのアイデアをパクられたなどと主張することは恥だとすら思っている。

パクられたというのであれば、パクり返せばいいし、もっと大量に情報をインプットしてパクることでその上をいけばいい。

そして、パクられたことはニーズがあることの裏返しということで、それを指標にピボットすればいい。

いちいち、アイデアをパクられたなどとジタバタしていることが無駄であって、そんなことで立ち止まるくらいなら最初からなにもしない方がいいくらいだ。

結論から言おう。

あなたのアイデアに価値など全くない。

あなたのアイデアに価値が生まれるのは、誰よりも圧倒的にスピード重視で動きまくって結果が出たときのみだ。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。