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火曜日の雨女

皆さん、いかがお過ごしですか。

言語聴覚士(ST )の八田です。
私は、在宅療養されている方のお家に訪問して、リハビリテーションを提供しています。

今日は、私とあるご利用者さんとの思い出のお話です。

今日は火曜日です。
過去の天気を1年遡ったらはっきり証明できるのかもしれませんが、「私調べ」によると、火曜日は雨率が非常に高いです。なので、火曜日の訪問先では、複数のお家から「雨女認定」を受けています(笑)今日も予報によると雨80%のようです。

うちの事務所からの訪問は、基本移動はバイクですが、私を含めて数人は自転車で行かせてもらっています。雨や雪の日は、雨具の着脱、視界不良、万が一の着替の準備が必要です。

さて。
雨の火曜日には、必ず思い出すご利用者さんがいます。構音障害と嚥下障害があり、私とは言葉や飲み込みのリハビリテーションをしていました。後はうちの事務所から、理学療法士、看護師も訪問していました。

※構音障害(こうおんしょうがい)とは。正しく発音が出来ない状態で、呂律が回りにくく、話しづらくなること。

※嚥下障害(えんげしょうがい)とは。食べたり飲んだりがしにくくなること。

まだ、しっかりとした形がある物を召し上がっておられた時のことです。ある日、ご家族と生協のカタログに載っていた、「ご当地名産品」を頼まれていました。

「これ、美味しかった!」と空になった箱を見せて下さりました。島根県の彩雲堂というところのお菓子でした。そして「次、広島行った時、これ買ってきて。」と言われました。

私が以前広島でSTをしていたこと、時々広島に行くことを知っておられての発言ですが、ご家族には、「これ、島根のお菓子やで?広島と島根遠いやん。わかっててそうゆうてるんか?」とすかさずつっこまれていました。

ご本人はいたって真面目な顔で、「また、食べたい。」と。皆で爆笑したのを覚えています。

私は「わかりました!じゃあこれ次行くときのためにメモして帰りますね。」と撮らせてもらった写真がコレです。

京都はいたるところ世界遺産ですが、この方のお家の側にも世界遺産があり、また、家から少し通りに出ると京都マラソンのコースの道があります。

私が「こう見えて、私、以前京都マラソン出またことあるんですよ!ペア駅伝っていって2人で走るやつなのでコース全部走った訳じゃないんですけど。いつか42.195km走ってみたいんです。 」と言うと、「そこまで行って必ず見に行く。」と言って下さりました。

コロナもあり、何年先になるかわからないのですが、私はいつか必ず京都マラソン出ようと決めています。

最期の訪問は、いつもの火曜日ではありませんでした。お花を持って、理学療法士、看護師と3人で行く事になりました。たくさんの思い出を話して、ご家族とみんなで泣きました。

担当の理学療法士とは、リハビリしながら、いつもお互いの趣味のゴルフの話で盛り上がっていました。「コースデビューしたらスコアを持って来て。」と言われていたらしく、仏前でコースデビューしたスコアを見せていました。

看護師とは、お家でお風呂に入っていました。「お家で最期のお風呂になってしまったけど、あの時、気持ち良さそうに入ってたね。」と話ました。

療養生活の中では、ご利用者さんもご家族も、お天気だけでなく、気持ちが晴れる日もあれば、雨の日もあるかもしれません。そんな時はありのまま受けとめられる自分でいたいです。そして、ご利用者さんとのリハビリの時間は、どこかホッと安心出来て、笑顔になれるような時間を一緒に過ごしたいと思っています。

お家でのリハビリテーションは、病院のリハビリテーションと同じようなところと、違うところがあります。お家でのリハビリは、ご本人の生活が良くわかり、一人一人の方とゆっくり向き合えるところが自分には合っていると思っています。

では。今日は雨の訪問です!
「雨女やな~」と言われているような気がします。いってきます!!

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