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未来につなぐ1121日の時間

活動停止を余儀なくされた3年の時間

コロナ禍とともにコモンビートのメインプログラムのミュージカルが完全停止した、2020年3月22日。

あれから3年もの月日が流れ、関東→関西、そして2023年3月19日、福岡で再開記念公演のファイナルを迎えた。

この間、1121日。

人と人との関わりを取り戻し、お互いの違いや個性を活かしあえる社会をつくっていきたい。
学生や社会人など多種多様なバックグラウンドをもつ100人がキャストとなり、全ての想いを全力で受けとめるスタッフが、100日をかけて一緒につくりあげるミュージカル。

そんな私たちのミュージカルプログラムは、リアルな会話、伝わる感情、空気感…それは、ソーシャルディスタンスやオンラインでは、代えられるものではない…

出口の見えないコロナ禍の中で、この再開公演の計画が始まる。
緊急事態宣言の真っ只中。規制が多すぎて、社会風潮も最悪。
マスクでステージに立てないし、クラスターになったら団体消滅さえもあえりる。
そもそも、キャストが集まるのか、集まったとしても、上演して見に来てもらえるのか…

考えるほど絶望的な状況の中、コモンビートは、それでも進むことを決めた。

誰もがそれぞれに大変な状況にも関わらず、コモンビートを未来に繋げようと、それぞれがそれぞれにできることを、自分ゴトとして支えてくれた。
キャストもスタッフにも毎回の練習と公演で必要な、感染対策、健康観察、抗原検査、PCR検査…膨大な運営負担。
夏の関東公演の実施日の翌日は、過去最高の感染者を更新。そして秋の関西公演、そしてこの九州公演。

そして2023年。
様子を見ては足止めされる、幾度となく社会環境も大きく変わる中、ようやく出口が見え始める。
そして、5月開始の57期東京プログラムから、58期関西、59期の東京と、再開を発表できるに至った。

たくさんの、ありがとう

とにもかくにも、この状況下でキャスト参加を決めてくれたみんなには、もう、ありがとうの言葉以外が見つからない。

それぞれに大変な状況のなか、さまざまなリスクを背負うことになる。

そんなことをしている場合なのか、感染したらどうするのか…

きっとたくさんの逆風がある中で、それぞれの想いで、この止まった歯車を動かしてくれた。

コモンビートがいくらやりたいと言っても、キャストがいなければ始まらない。
キャストがいなければ、来場者もいない。

やっぱり、会場で、空気感を感じないと、
僕らが伝えたいことは、伝わらない。

それをいちばんわかってくれる、仲間たちが、コモンビートを未来に繋いでくれた。

心から、ありがとう。

運営をする仲間も、全国から駆けつけてくれる。

いつもの公演では、キャストの100人を超える仲間が会場を運営してくれている。
今回はそんなみんなが、ステージに立ってくれたから、会場はいつもの1/10くらいの人数での運営。

インカム(会場のスタッフがつけている無線)でスタッフのやりとりを聞いていても、想像以上にいろいろなトラブルも起こる。
もしこれが、バイトだったら、仕事だったら、きっと「やってらんない!」と思うことばかりだろう。

でも、「みんなのために」という想いだけで、それぞれの自己判断で乗り越えていく。
高いハードルの課題も、それぞれがリスペクトしあい、乗り越えていく。
そのやりとりを聞くだけで、みんなが、みんなのために、動いていることに、涙が出そうになる。
まるで家族のように。

いつも、ありがとう。

「スタッフの方の動きが機敏で、完全に統制が取れているにも関わらず、みんなが笑顔で楽しそうにしているのが、本当にすごいですよね。ここまで運営の統制を取ろうと思ったら、もっとピリピリするし、怖い顔になってもおかしくないですよ。でも、そんな硬さも全く無いし、本当にみんなが楽しそうで、私も見ていて気持ちがいいです。実はキャナルシティも改修で半年閉まっていたのですが、実は今日がその再開した初日で、そして満席ですよね!とてもホッとして…安心しました!
そして、この花束やギフトの量が、すごすぎますね。こんなのこれまでに見たことがありませんっ!」

キャナルシティの施設担当の方との話で、思わず涙ぐんでしまった。

そう、
僕らはどんな状況でも、
仲間のために、楽しめる。

いつもならキャストと来場者との対面が僕らにとっての大切な時間であるのだけれど、この再開公演では封印をしている。

だから、来場で応援に駆けつけてくれた2000人以上の人が、長机で15本分くらいはあろうかという量の花束やギフトで、フロアが溢れる。
もちろん、これは関東でも関西でも。
そう、仲間が日本じゅうから、駆けつけてくれる。

これはコモンビートの応援…というより、キャストのチャレンジと想いを支えてくれる応援が、結果的にコモンビートを支えてくれている。

僕らはやるという覚悟を決めただけ。
それを支えてくれるすべての人の想いが恩送りされて、僕らの活動を支えてくれている。

ありがとうございます!

見ないと、わからない世界

コモンビートは、こんな想いの循環で20周年を迎える。

コロナ禍で世界じゅうが大変な中で、信じられないことに、新たな戦争も始まってしまった。

人間は、いったい何をやっているんだろうか。
我々は、何も歴史に学んでいないんだろうか。

コモンビートの上演する「A COMMON BEAT」には、平和とは何か?というメッセージも込められている。

「違い」とは、恐れるものなのか?
見えない「境界線」を、誰が引いているのは?

この20年の中にも、この作品をその時代に重ね合わせることがあった。
でもこれほど響くのは、今の時代だからかもしれない。
この3年間で、コモンビートのビジョンやミッションを徹底的に向き合い見直す中で、また新たな私たちに与えられた使命にも気づくことができた。

ダイバーシティとか繫がりとか混ざり合いとか、いろいろと理想はあるものの、やっぱりそれを見たり体験をして、「これがいい!」と共感して心が動かないと、実際に人は何も変えようとはしない。

でもそれを身近に実感できる機会は少ないし、むしろ見渡せば、合理化のために分類し、敵と味方に分けて安易に安心を得ようとすることばかり。

違いを避ける安心感ではなく、混ざり合うことで得られる安心感から、「違いがあるからこそ生まれる楽しさ、そして美しさ」を、多くの人に伝えたい。

コモンビートのミュージカルは、全員が「違う」という前提に立つことで、全員がマイノリティであり、協力しあわないと成り立たない。
それに気づくと、自分自身に対しての思い込みが外れて普段の自分以上のことが引き出されていく。

そんなキャスト自身、そしてその公演を見てくれる人が、それぞれに違いを乗り越えてみようと、少しでも行動をすれば、もっと違った社会や未来が見えてくる。

私たちはそれを、目指したい。
きっと、それは目指せるはず。
違いが混ざり合う社会、それが本来の姿だし、本当の意味での、みんなにとっての、平和ではないだろうか。

コロナは大変ではあったものの、結果的に、この時間は僕らにとって必要な時間だった。そういう見方ができるのも、現場のスタッフが本当に粘り強くささえてくれたから。

本当に、本当に、ありがとう。

コモンビートも、2004年の設立から、今年で20年周年を迎えます。

私たちが目指したい社会に向けて、新しいチャレンジを始めます。

これからも、仲間たちをを応援し続けてください。

あらためて、
これまでの応援をありがとうございました。
そして今後も、
どうぞよろしくお願い致します。