金魚鉢 【シロクマ文芸部】
金魚鉢にうつる自分の顔に驚く。
そこにうつる私の顔は大人の顔だった。
何故、この鉢の金魚を飼い始めた頃の自分の顔が映るはずだと思っていたのか。私はもう大人なのに、あの頃に急に戻りたくなってしまっていたのか。
もう一度金魚鉢にうっすらとうつる自分の顔を見る。初めてこの鉢のくろちゃんを飼い始めた頃とは違う顔。同じ目だけども、違う顔。いつのまにか私は化粧をし、睫毛を長く見せ、瞼にきらめくマイカを乗せるようになった。あの頃の幼い顔でも素顔の私でもない。くろちゃんと出会った頃の私とはか