たんたんたん 【詩小説】

淡々タン…と
語るあなたの目は何処を見る
ここを見ずに 過去を見て
夢を見ずに 闇を見る

淡々たん…と
語るあなたの目の前の
カフェラテが冷めゆくことにも
あなたは気付かないまま

きっと何かを負った人はそうなのだろう
私の母もそうだった
目の前の人間が見えず
娘が見えず 慰めが見えず
自分の痛みしか見えない
あなたもそうだった
私もそうだった

君の優しさに触れて私は気付く
私は苦しみをなかなか語らない
でも私は学んだ
苦しみを
淡々とではなく
支離滅裂と
没入し
めちゃくちゃに
ヒステリックに
表現することに
意味があると
時には
時には
聞いてくれる人があると

あなたも苦しみを語らない
淡々タンと…出来事を語るあなたは
苦しみを語らない
淡々たんと…苦しみを苦しみなく語るあなたを
慰める力を私が持ち合わせていたならば
どんなにいいだろう

今日もきっと淡々たん…
嘆嘆嘆(たんたんたん)…

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