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【過去最高額】資金調達の裏側とスプレッドのこれから

こんにちは。スプレッドnote編集部のユーリストロガノフです。

突然ですが、8月にスプレッドは初めての資金調達という大きな節目を迎えました!
しかも総額40億円と、国内フードテック業界で一度に調達した中で過去最高額となるんです。
(フードテック専門のファイナンシャルアドバイザーにお聞きしました)

ありがたいことに、このニュースは様々な国内外メディアに掲載されました。


Yahoo!ニュースや、ツイッターなどのSNSでも多くの反応をいただいており、嬉しい限りです。

今回のnoteでは、ニュースリリースに記載されていない様々なお話や
読者の皆様の疑問点への回答を中心に紹介したいと思います!

嘘のような、本当の話

ここだけの話ですが、
資金調達の準備を始めたスプレッドは、当初のシリーズAでの目標として、約20億円の金額を設定していました。

なぜかというと、当初想定していた利用目的はその金額に近いイメージでしたし、
ファーストラウンドでは20億円でもかなりチャレンジングな目標になると聞いていました。

しかし、投資家の方々とのコンタクトを進める中、「私も投資をしたい!」という方が続出。
想像以上の反応にびっくりしつつ、我々は当初の想定をなんと2倍に超えた、総額40億円に増額することとしました。
さて、一体なぜそれだけ多くの方々が、スプレッドに投資しようと考えられたのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

不況の中、選ばれた理由


コロナ感染症の影響や、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などでインフレや世界的な不況が懸念されています。(筆者は車をよく乗る人間なので、ガソリン代が特に気になります・・)
多くの有名なテック企業も、今年に入り株価低迷が一気に加速してきました。
そんな中なのに、なぜスプレッドが40億円の資金を調達できたのか??
というご質問をいただくことがあります。

実は、今回の危機はある意味できっかけにもなりました。
「⾷料安全保障」という言葉があります。
簡単に言えば、「人が、健康的な生活を送るための、安全で美味しくて、栄養価のある食料があること」なんです。
この状態は今、戦争やパンデミックによって脅かされることになっていて、各国が食料の生産を自国で賄うため、⾷料安全保障への取り組みを強化しています。

それと同時に、欧州では「Farm to Fork Strategy」、日本では「みどりの食料システム戦略」など、持続可能な食のバリューチェーンを実現するための仕組みづくりも進められています。

今回、スプレッドに出資いただいた事業会社や個人投資家様の多くも、
持続可能な生産方法に関する課題意識や、食料の問題に関する「ぼんやりとした不安」(芥川龍之介ではないですが)を抱えていたそうです。

これらの課題に対して解決策を提示する「フードテック産業」、とりわけ植物工場のパイオニアであるスプレッドに対する期待が大きく、今回の資金調達に繋がったそうです。

持続可能な未来農業のイメージ

なお、国内には200カ所ほど、植物工場があると言われています。
なぜスプレッドが選ばれたのか?
評価ポイントとして、次の点があったそうです!

①レタス生産から販売までのノウハウ、流通力の高さ

植物工場を成功させるには、ただ先進的な設備を導入すれば良い、というものではありません。「商品」は生き物なので、「製造する」というよりは「成長していただく」必要があるんです。

そのため光、養液(水)、空調など全てにおいて絶妙なバランスが必要で、植物に最適な環境を整えなければなりません。少しでも環境にバラツキがあれば、それが収量や品質に影響を及ぼします。
では、生産面を完璧におさえればそれで終わりかというと、そうでもありません。

ここからは、どこに販売して、どのように品質を担保しながら効率的に運べるかが課題となります。青果流通にルーツを持つスプレッドは、全国の食品スーパーなどの約4,500店舗に販売していて、累計9000万食の出荷実績があります!
このように、生産から販売までのバリューチェーン全てをカバーする点について、スプレッドは高い評価をいただくことができました。

物流のイメージ
自社で完結する受注管理・物流システムを構築していることが、大きな強みとなります

②将来の発展性

スプレッドは国内でトップクラスの生産力と販売実績を持っていて、新しい商品や技術を産み出す力も備わっています。

例えば、国内植物工場の8割ほどがレタスや葉菜類をメインに手掛ける中、
スプレッドは独自のカット野菜の加工技術やいちごの量産化技術を確立させたりしています。

植物工場でのいちご栽培の様子
スプレッドの人工光型植物工場で育っているいちごの様子

そして今回はじめて発表させていただきましたが、実は「代替肉」なるものも手掛けています!
代替肉はソイミートなどが有名で、海外では本物と遜色のない味や食感で、環境にやさしい肉として市民権を得ています。
植物工場のスプレッドが手掛ける代替肉とは、いったいどのようなものなのか?
まだ詳細は明かせないのですが、皆様のご期待を裏切らないようなものにはなると確信しています。

代替肉のイメージ画像
※写真はイメージです

数あるフードテックや植物工場企業の中でも、発展性のあるモデルとしてご評価いただきました。光栄なことです!

資金調達までの、道のり

スプレッドは2006年に設立された企業です。
16年ものの間、外部の資金に頼らずに事業を進めてきましたが、
なぜここに来て、資金調達を行ったのでしょうか。

答えは、スプレッドの社長、稲田 信二の哲学にあります。

「事業の基盤は自分たちの力で創る」

2006年は、大規模植物工場はまだ夢物語の時代。
しかし、稲田は30年後にはこの技術が次世代に活かされる確信を持っていました。
自分でリスクを取り、まずは自己資金で亀岡プラントを立ち上げました。

当然ですが、誰もやったことがない取り組みは、マニュアルや教科書がないですし、
何が「正解」か誰にも分かりません。
最初から全てが上手く行くはずもありません。
そうした中で亀岡プラントは6年間の諦めない努力と試行錯誤を繰り返し、黒字化を実現できました。
しかし、稲田はすでにグローバル展開を見据えた『Techno Farm™』構想を思い描いていたんです。

テクノファームのコンセプトイメージ
『Techno Farm™』のイメージ

『Techno Farm™』のコンセプトは4つです。

• 天候に左右されない
• 世界中のどこでも⽣産できる
• 若い世代にも魅⼒的
• ⼈や環境に優しい

そのために、スプレッドは自動化、IoTによる栽培管理システム、高度な環境制御、そして環境に配慮した栽培方法(水リサイクルなど)という技術を開発いたしました。

そんな『Techno Farm™』がついに2018年に「テクノファームけいはんな」をマザー工場としてスタートし、わずか2年で生産の安定化を実現。
モデルとして実証されたので、『Techno Farm™』を全国に展開することが可能となりました。実際に昨年にENEOSグループのJリーフ様が運営する「テクノファーム成田」が稼働し、第二弾として中部電力様、日本エスコン様とスプレッドによる世界最大規模の「テクノファーム袋井」が2024年の稼働を見据えています。

(合わせて1日に19トンのレタスを生産する見込みです! この数字はどれくらいすごいかというと、年間換算ではスウェーデン全国の生産量の約1/4に相当すると言われています)

テクノファーム成田とテクノファーム袋井のイメージ画像
左:テクノファーム成田。右:テクノファーム袋井(イメージ)

ここまで来ると、稲田が考えていた、「事業の基盤」は確かなものとなりました。
そして、事業拡大をさらに加速させるため、資金調達を行いました。
2030年の目標は、1日100トンのレタスを生産できる体制を構築すること。スウェーデン全国の生産量よりも多いです!

今回は、資金調達の取り組みについてご紹介いたしました。
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