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私の好きな映画ベスト50 Part2!!

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前回は50位から35位までを紹介しましたが、今回は34位から21位までをまとめようと思います。
前回からまとめていると意外と難しいが、楽しい!
今まで観てきた作品のことを簡単にまとめながらやってみると、また観たいなという気持ちになる。
もし気になる作品があれば観ていただけたらなぁと思います。


では早速34位から!

第34位『暗殺の森(1970)』

監督:ベルナルド・ベルトルッチ 主演:ジャン=ルイ・トランティ

アルベルト・モラヴィアの小説『孤独な青年』の映画化。
男は何故にファシストとなったのか。
暗く閉ざされた過去に、人生の道筋を決められた。
何故自分は“普通の人生”を歩むことができなかったのだろう。この時代に普通でいることは、ファシストでいることなのだ。
若干30歳でこのクオリティの作品を撮るベルトルッチの天才さを再認識。そりゃ天才って言われるよ!

第33位『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン(1975)』

監督:シャンタル・アケルマン 主演:デルフィーヌ・セイリグ

イギリスが10年ごとにBFIで発表する世界最高の映画として2022年に1位に輝いた本作。
厚い壁に覆われた孤独な空間で生き続ける日々の行き着く先は。
長回しが特徴的な本作だが、日常が崩れていくにつれ、ショットの位置が微妙に微妙に変わっていくという絶妙なカメラワークには舌を巻く。
フェミニズム映画とも呼ばれる素晴らしい作品だが、代わり映えのしない日常を描くため、好みは分かれそう。
だがそれが本作の真髄である。

第32位『ノスタルジア(1983)』

監督:アンドレイ・タルコフスキー 主演:オレグ・ヤンコフスキー

世界の救済を説く男。
主人公は余命わずかなアンドレイ。
タイトルの『ノスタルジア』とは、郷愁の意味合い。
本作でやたらと強調されるのは、過去への思い。つまりは少年時代。
人生の中で満足した日々を過ごしたのはいつだろうか。おそらく大抵の人は少年時代ではないか。
難解と呼ばれるタルコフスキー作品であるが、本作および遺作の『サクリファイス』はまだわかりやすいように思う。
どうすれば世界は救済される?
その答えは本作のラストで鮮やかに映し出される。

第31位『パターソン(2016)』

監督:ジム・ジャームッシュ 主演:アダム・ドライバー

バスの運転手パターソンの日常を、一期一会の出会いやユーモア溢れるやりとりで彩る本作。
映画は日常の変化や特殊な世界というのが多いが、ありふれた変化のある日常を本作は描いている。
こんな日常を映画として成立させてしまうのはジャームッシュの良さだし、本作は彼の作品のなかでも際立って心地がいい。
毎日の平凡な幸せを感じさせる。

第30位『佐々木、イン、マイマイン(2020)』

監督:内山拓也 主演:藤原季節

佐々木はみんなの心の中に。
何者かになりたかった悠二は東京で売れない俳優として日々を消費していた。
そんな折思い出すのは学生時代輝きを放っていた佐々木。
いつも明るく元気な佐々木との会話「やりたいことやれよ。」は悠二の心に強く突き刺さる。
『お前はいつもさよならを言って生きている。それが人生だからだ。そして最後にたどり着くさよならは、自分自身に対するさよならなんだ』
自分を奮い立たせたいとき、この映画を観たくなる。

第29位『欲望(1966)』

監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 主演:デビッド・ヘミングス

意味のある瞬間が全て無となり、意味のない瞬間が全て現実になる。
カメラを通して見る虚像と、目で見る現実。
アントニオーニは本作でパルムドールを受賞。
イギリスで撮影された本作は、スウィンギングロンドンのムーブメントを取り入れ、一部の映画好きにはおしゃれ映画として認識されている模様。
初見時に『THE END』が表示された瞬間、その意味不明な強制終了さに笑ったのは良い思い出。 

第28位『鬼が来た!(2000)』

監督:チアン・ウェン 主演:チアン・ウェン

2000年のカンヌでグランプリを受賞。中国国内では上映禁止となり、僕の中国映画鑑賞デビュー作も本作であり、非常に重要な作品である。
これは不条理の物語である。
誰か知らないやつから、何かわからない捕虜を押し付けられ、日本兵にバレたら殺すと脅される不条理。
村社会で嫌なことは押し付け、損な役が回ってくるという不条理。
そもそも日本軍に占領されているという不条理。
様々な不条理が渦巻きながらも、どうにかして生きていかないといけない。
“鬼”とは自分であり、他人であり、世界なのである。 

第27位『トゥルーマン・ショー(1998)』

監督:ピーター・ウィアー 主演:ジム・キャリー

ある離島で保険のセールスマンをしているトゥルーマン・バーバンク。
島から一度も出たことがない彼は島を出ようとする。だが数々の障害によって島から出ることができない。
自分が知っている世界は実は狭い世界じゃないか。今いる場所が世界のすべてではないし、変えることができる世界でもあるのだ。
あらすじを調べるだけでもネタバレの可能性が高いため、まだ全く知らないという幸運な方は、今すぐ観るのがおすすめ。(サブスクのあらすじにもネタバレあるかもなので気をつけて…)

第26位『桐島、部活やめるってよ(2012)』

監督:吉田大八 主演:神木隆之介

「桐島部活辞めたらしいよ。」
「はぁ?まじ?」
学生時代のスクールカースト。なんとなく運動部のほうが文化部よりも偉いとか。
あいつはイケてるとか。
あの子はイケてないとか。
本作では、あまり大げさに語られることなく、いつの間にか彼らの立ち位置が見えてくる。
本作の主人公は桐島ではなく、前田でもなく、宏樹なのだ。
間違いなく本作は、僕ら世代の青春映画の代表作。ってか青春映画だと思ってたけど、この映画って人生についての映画だね。
数々の立場から語られる人生観には、つい社会に飲まれてしまった社会人たちを執拗に捉えているように思えてならないのだ。傑作。

第25位『フォックスキャッチャー(2014)』

監督:ベネット・ミラー 主演:スティーブ・カレル

1996年、一人の男がある男を殺した。
殺した男は資産家。
殺された男は元金メダリスト。
監督は『カポーティ』のべネットミラー。
ある人物同士が共鳴しあうことで生まれた齟齬。そこから事件は始まりを告げる。
実在の事件なのでそこまでぶっ飛んだ内容ではないが、三人の俳優たちの演技が緊張感を生む。
結末だけ見ればただの殺人事件で終わるところを、殺意が芽生える瞬間や人の心に生まれるわずかな感情を見事に捉える。
ただの殺人事件?そんなに単純じゃない。
少しずつの軋轢が、結果としてとてつもない虚無を生む。
物語はスローなテンポで進んでいくが、一人一人の男たちが心に秘めた思いが絶妙な間により、じわじわと炙り出されていく。
万人受けはしない作品だろうが、間違いなく秀作。 

第24位『メランコリア(2011)』

監督:ラース・フォン・トリアー 主演:キルスティン・ダンスト

『メランコリア』とは憂鬱、鬱という意味。本作では、地球に接近する惑星の名前が"メランコリア"と呼ばれる。
本作は二部に分かれており、
第一部は「ジャスティン」
第二部は「クレア」
このふたりは姉妹だが、ジャスティンはいわゆる鬱病のような状態で、クレアはそんな妹を心配する健常者。この対照的な性格は後々深い意味合いを持つ。
監督の名前を観ただけで嫌悪感を覚える方もいるかもしれないが、確実に楽しい映画ではない。
ぶっちゃけ、この映画の価値観は嫌なくらいまでに極論。だからこそ嫌だと感じる人もいるんだろうけど、ある意味ではどの人間も救っているようには見える。こんなこと言うのもなんだが、傑作だと思うよ。
でも本作を始めトリアー作品は取扱い注意。タイミングを誤ると飲み込まれると思う。

第23位『犬神家の一族(1976)』

監督:市川崑 主演:石坂浩二

言わずと知れた日本が誇る傑作のひとつ。日本映画として語り継がれる作品は数多くあると思うけど、この映画もそんな中のひとつになっているだろうね。
市川崑監督による、石坂浩二が演じた金田一耕助の記念すべき一作目。
角川映画の第一作目らしく、製作陣もかなり気合いが入っていたらしい。だからキャストも豪華なのか。
どの映像をとってみても衝撃。スケキヨのマスクとかほんとびびるよね。
死体のシーンはどれも印象的で、すぐに思い出せるのもすごいところ。
大野雄二さんの音楽によって雰囲気も抜群だし、言うことは何もない。意欲的な演出もなかなか粋だし、展開を知っていてもずっと見入ってしまう。
市川監督で5作も作られており、個人的には『病院坂の首縊りの家』もおすすめ。

第22位『ポゼッション(1981)』

監督:アンジェイ・ズラウスキー 主演:イザベル・アジャーニ

ポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキーを一躍有名にさせた本作。
長期の仕事から帰宅した夫を待ち受けているのは、不倫をした妻の姿。
少しずつ狂い始める歯車。
崩れていく家庭という安寧。
無駄にセンスのあるユーモアや、ぐるぐる回るカメラワークは圧巻。
今は無きベルリンの壁から覗くドイツ兵や、まるで狙っているかのように生命力のない風景。演技の域を越えたイザベル・アジャーニの情緒不安定さは、まさに『ポゼッション(憑依)』しているかのよう。
意味不明に進んでいく物語。ラストはまさに次の次元へ。

第21位『隠された記憶(2005)』

監督:ミヒャエル・ハネケ 主演:ダニエル・オートゥイユ

ある一家に突然送られてきたビデオテープ。自宅の前をただ撮影しただけの内容。そして不気味なイラスト。
誰が、なんの目的で…?
『ファニーゲーム』が嫌というほど有名になったハネケの隠れた名作。
単純なサスペンスとして見ているだけではラストの衝撃の結末ということに期待をするかもしれないが、そのまま謎を解いてくれるほど本作は優しくはない。ラストを迎える頃に観客には?マークが浮かぶことだろう。
この作品のテーマは"やましさ"だ。劇中での主人公の言動に注目していれば導きだすことができる。そしてタイトルの"隠された記憶"とは一体なんのことなのか?
そこには僕たち一人一人に刻まれた遠い記憶のなかにも存在しているのかもしれない。 


ということで、34位から21位まで。
シリーズものやディズニー、ジブリはランキングに最小限にするといったが、あれはウソ。
作っているといれたい作品が多すぎて、たぶん入れることができない。
ないほうがあんまり他の人とも被らないだろうからそれはそれでいいかも。
では次は20位から11位を予定してます!

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