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拷問投票

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SF長編小説。二十年後の日本、凶悪犯への厳罰化を求める世論に流され、一部の犯罪者を合法的に拷問することができる拷問投票制度が存在していた。残虐なレイプ殺人事件で娘を失った高橋実は…
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2023年11月の記事一覧

◯拷問投票93【第二章 〜重罪と極刑〜】

 審理開始から二週間以上が経過し、とりあえず第一の事件に関する証拠調べが無事に終わった。…

山本清流
7か月前

◯拷問投票94【第二章 〜重罪と極刑〜】

 第一の事件に関する審理の終結というこのタイミングを見計らったのか、田中裁判長から、みん…

山本清流
7か月前
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◯拷問投票95【第二章 〜重罪と極刑〜】

 この会話の中で、徐々にひとりひとりの個性が見えてきた。  田中裁判長は、とにかく切り替…

山本清流
7か月前

◯拷問投票96【第二章 〜重罪と極刑〜】

 そのほか、裁判員は六人だ。  いちおう自己紹介のときに名前を明かしているが、便宜上、お…

山本清流
7か月前
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◯拷問投票97【第二章 〜重罪と極刑〜】

 五番も女性だが、年齢不詳なところがある。おそらく四十代から六十代だろう。それ以上の年齢…

山本清流
7か月前
1

◯拷問投票98【第二章 〜重罪と極刑〜】

 会話の中でとくに盛り上がったのは、検察官と弁護人についての話題だった。検察官はどちらも…

山本清流
7か月前

◯拷問投票99【第二章 〜重罪と極刑〜】

 ほぼ毎日のように裁判所に通っていたが、振り返れば、こんな生活は高校以来だ。裁判所での長時間に渡る連日の審理によって、心身ともに疲労が溜まってきた。倒れるようにして自宅に辿りついても、裁判所で知りえた情報を理子に打ち明けることはできない。裁判員には守秘義務が課せられている。具体的な規制内容は知らないので、むやみに口にするわけにはいかなかった。  佐藤は、理子が用意していた夕食を食べ終え、風呂でシャワーを浴びた。続いて風呂に入った理子がシャワーから戻ってくると、ふたり用のベッド

◯拷問投票100【第二章 〜重罪と極刑〜】

 翌朝になってからも、気持ちは戻らなかった。せっかくお互いの気持ちが高まっていたのに、も…

山本清流
7か月前

◯拷問投票101【第二章 〜重罪と極刑〜】

 あの日、美紀は帰ってこなかった。  メールをしたが、既読にならない。電話をかけたが、い…

山本清流
7か月前

◯拷問投票102【第二章 〜重罪と極刑〜】

   これと同じようなスタイルの文章が、さらにふたつ。ほかの被害者のぶんだ。理子の言うよ…

山本清流
7か月前

◯拷問投票103【第二章 〜重罪と極刑〜】

 ついに第二の事件についての審理が始まった。  驚くべきことに、第二の事件が発生したのは…

山本清流
7か月前

◯拷問投票104【第二章 〜重罪と極刑〜】

 第一の事件とは違い、この時点ですでに相手が人間であると認識していたことを、被告人は認め…

山本清流
7か月前

◯拷問投票105【第二章 〜重罪と極刑〜】

 被害女性は、第一の被害者が殺害された現場でもある被告人宅の防音設備のある一室で、第一の…

山本清流
7か月前

◯拷問投票106【第二章 〜重罪と極刑〜】

 第二の事件についての証拠調べが続く中、五月も終わりに近づいてきた。 裁判所での公判がなかったその日、自宅でゆったりとしていると、佐藤の国民パスポートに、裁判所から通知が届いた。 『公判期日変更のお知らせ:複数の裁判員から辞退の申し出があり、いずれも受理されました。補充裁判員を加えても人員が足りなくなったため、新たに裁判員等を選任することになりました。この影響により、二週間ほど公判が延期されます。公判が再開される具体的な日程や公判手続きの更新など、詳しいことにつきましては、明