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観察と対話と子育て 前編


<観察と対話と子育て 前編>

自然農やパーマカルチャーを教えてくれる人や本、動画は最近になってどんどん増えてきた。
それでも実際に実践できる人が少ない理由はまさに観察ができないからだと思っている。
にも関わらず、観察を教えてくれる人は全然いない。
それもそのはずで観察は感覚的な部分が多いので、教えるのが難しい。
しかし、観察にもコツがある。

だから、講座では必ず観察から始まる。
観察は確かに難しいが、誰にだって観察力が備わっている。
ただそれを十分に使いこなせていないだけだ。
だから、講座の初めに参加者たちが観察から気づいたことをシェアする時間を取り。
それを元に俺が植物からのメッセージを、自然からのメッセージを紐解いていく。
この辺の話は長くなるので、講座にお越しください♪

それにしても、どうして観察ができないと自然農の実践が難しいのだろうか?
その答えは「対話は観察から始まり、観察を通して続いていく」からだ。
自然農はスケジュール通りにマニュアル通りにすれば実践できるものではない。
植物からの、虫からの、自然からのメッセージを十分にありのままに受け止めることから始まり、そして続いていくのだ。
この対話とは植物や自然に限らず、人間同士の対話でも同じことである。

さて、観察と対話が必要だといってもいったいどうやって進めばよいのだろうか?
それにはまず「目線を合わせる」ことからはじまる。
自然農ではそれを「野生の目線」という。
(この辺の話も講座で)
人間の目線をやめて、野生の目線に合わせることで彼らの気持ちに寄り添うのだ。
すると多くのことに気がつくようになる。観察とは気づくことだ。

次のステップが「彼らを理解する」こと。
彼らの個性はどこにあるのか?どんな才能が備わっているだろうか?
どうすればストレスなく、イキイキと過ごせるだろうか?
そのためには彼らについて学ぶ必要がる。
これに関しては本やインターネットでたくさんの情報を調べることができる。
そこから、彼らにとって最適なタイミングで最適な配置でデザインする。
つまり適期適作、適地適作である。

さらに次のステップが「フィードバックを受け止める」こと。
私たち人間の頭で理解したところで、それが必ずしも最適とは限らない。
最適がどうかは人間ではなく野菜が決める。
「彼らがどう感じているのか」が対話には重要だ。
彼らはそれを全身を使って表現する。ときには虫が翻訳してくる。

ここで多くの人は彼らからのフィードバックを無視する。
人間都合の言い訳を用意して、ケアを怠る。人によっては畑にも通わなくなる。
もしくは人間の目線に戻って、こちらの都合を押し付ける。
害虫が悪い、肥料が足りない。と考えて余計なことを繰り返す。
その農薬と肥料が彼らの生命力を奪っていくことにも気がつけない。

フィードバックを受け取るには「尊重」が必要不可欠だ。
彼らが感じていることを否定したり、捻じ曲げようとしてはいけない。
彼らが感じていることこそがメッセージであり、個性や才能であり、唯一の真実である。

さて、これだけでは自然農を実践している人にしか分からないと思うので、たとえを子育ての話にしてみよう。

親は常日頃から子供たちを無意識によく観察し、小さな変化にも気がつく。
家事や家での仕事中でも頭の片隅に視野の片隅に子供達が居て、彼らの動きを追っている。
だから、小さな変化にもいち早く気がつき、彼らからの些細で言葉にならないメッセージにも反応する。

もし、あなたの子供(もし居なければ子供に戻ってみて考えてみて)が何かを訴えようとしているとしたら、
まず、親なら誰もが子供の目線に合わせて話を聴こうとするだろう。
対話を始めようとするだろう。
自身の仕事を中断して、スケジュールを変更することも厭わない。
子供の身になって、子供の話に耳を傾ける。

彼らの話す内容から子供のことを理解しようと努力する。
それは今までの経験から分かることもあるし、新たに聞き出すこともするだろう。
こうして親は子供たちの個性や才能を把握していく。

そして、子供たちにとって最適な選択をしようとする。
それは家庭内のルールかもしれないし、教育方法かもしれないし、住む環境のことかもしれない。
もちろん、ただ話を聴くだけかもしれないし、頭を撫でるだけかもしれない。
どんな方法であれ、親は子供たちのことを第一に考えて、その時思いつく実現可能な選択をする。最善を作る。一生懸命勉強する。

しかし、これで対話は終わらない。
実はやっとここで対話の門を開いたのだ。

その選択をしたあとに「子供たちがどう感じているか」が対話には必要不可欠なのである。
それによって子供たちはイキイキしているだろうか?何も変わっていないだろうか?逆にストレスフルになっていないだろうか?
そのフィードバックを観察して受け止めることで対話は進む。

もし、あなたの選択がシュタイナー教育だろうと、イエナプランだろうと、森のようちえんだろうと、現代教育だろうとそんなことは大人の都合である。
子供たちがイキイキしていないのに、あなたの好きな教育法に固執していないだろうか。
あの教育法は最先端だ!素晴らしい!絶対子供のためになる!と過信し、子供たちの感性を無理やり型にはめていないだろうか?

子供たちがどう感じているのかを尊重できなければ、どんな教育法でも同じだ。
それでは対話の門は閉じてしまう。
まずは子供たちがどう感じているのかを観察し、尊重しよう。

その観察のコツは植物を観察することに似ている。
言葉に頼るのはやめよう。人間は言葉を使って嘘をつく。
子供は大人を安心させるために、言葉で嘘をつくことがある。

必ず子供たちも植物たちも全身を使って表現する。
そのメッセージをあなたは五感を使って受け止めるのだ。
それが対話の門を開くということだ。

そして、観察と対話は次のステージに入る。
そこで必要となるのは「あなたがどう感じているのか」と「信じて待つこと」。
話はまだまだ続くので、今日はここまで。後半をお楽しみに。


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