マガジンのカバー画像

ウマ娘と日本社会

66
シリーズものになります。
運営しているクリエイター

2023年1月の記事一覧

日記(1月12日)

ウマ娘の論文を書こうと思った日は2021年4月上旬のことであった。 私はこの日、近所のイオンモールでインタビュー調査を行った。 結果、知名度は予想を大きく上回っていた。 9割以上の認知。 やはりSNSの影響、ゲームの力は凄い。 ウマ娘の最大の特徴は、 普段まったくゲームや競馬をやらない人がプレイしていた、ということであった。 学生、職場(公安関係含む、笑)、男女問わない人気。 人気の秘訣は、 ゲーム構造の分かりやすさ。 それと画面の美しさ(ターフとウマ娘)

第45話:新しい「名馬」づくり①(レース体系の制度化)

組織?レジャー?スポーツ?国際化? うん。レースが大事! ということが前回分かった。 1984年のグレード制導入によってレース体系の制度化、それに伴う「名馬」の可視化が進んだ。 実態を見ていくことにしよう。 ちなみに競馬の殿堂にも認定年度の格差が存在する。 少しグレード制の動向と似ている。 以下、レース名、創設年(昇格年)、現在の競馬場の順。 ・1984年より前(から権威があったとされる) ①天皇賞(帝室御賞典、戦前まではこの名前)・・・春と秋 (1905年)

第46話:新しい「名馬」づくり②(競馬の殿堂)

これは「ケイバの壁」シリーズから再掲! 名馬の基準として最も分かりやすい指標は「競馬の殿堂」(顕彰馬)である。 次いで、年度代表馬(JRA賞)が一般的なものであろう。 今回は顕彰馬について考えてみたい。 「競馬の殿堂」は1984年に設置(制定)された。 これまで顕彰馬は34頭が選出されている(2023年1月現在)。 今年の選考(投票)結果は6月上旬に出る予定であり、(たぶん)コントレイル号が選出される見込みである(なんと昨年アーモンドアイ号が落選!!コントレイルは

第47話:新しい「名馬」づくり③(JRA賞)

このシリーズ、長くなったな・・・笑 今では当たり前だと考えられているJRA賞は1987年に生まれた。 この賞は3期に分かれる。 啓衆社賞時代(1954-1971年)・・・競馬予想紙を発行していた啓衆社が設けた賞 優駿賞時代(1972-1986年)・・・JRAの機関誌である『優駿』が主催 JRA賞時代(1987年 - )・・・1月に発表される(制度化) ・主な競走馬を表彰する賞 年度代表馬 最優秀2歳牡馬 最優秀2歳牝馬 最優秀3歳牡馬 最優秀3歳牝馬

第48話:アイドルホース、ゲームの歴史、声優のアイドル化(80年代以降の日本、なんと同時期に発展した!)

JRAによる「名馬」の可視化とゲーム(恋愛シミュレーションゲーム、アイドル育成ゲーム、CV)、声優アイドルの登場・発展がほぼ同時に起こった奇跡! 概要: グレード制、競馬の殿堂(84年)→JRA賞(87年)→第2次競馬ブーム(90年前後)→98年スペちゃん世代(最強世代)→テイエムオペラオー(世紀末覇王)→ディープインパクト(日本近代競馬の結晶)→ウオッカ・ダイワスカーレット(宿命のライバル)と続く、からの現在の(名馬の擬人化) ゲーム&ウオッチ→ファミコン→ゲームボー

第49話:ゲーム実況者と攻略サイト

かつてはなかった、居なかった。 ゲーム実況者さん、攻略サイト、まとめサイト、(ネトブロ) ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブ、ティックトックほか 今回は最初の2つについて考えていく。 「ウマ娘」は「ぱかチューブっ!」という公式サイトが存在するが、これはアニメの第1期直前に誕生したことは既に記した。 2018年春に出来たこのチャンネル。 ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が配信される前 また 「UMAMUSUME PROJECT」を支え続

第50話:毎日、馬(ウマ娘)は走っている

走る!走る!私たち! 流れる汗もそのままに! (ウマ娘バージョン) サンプラザ中野くん、にツイッターで「イイネ」貰ったことがある(笑) それくらいしか接点がない! ライブにも行ったことがない! (ますます好きになりました。) Dr.コパさん、馳星周さん、 競馬の研究をしているので 結構色々な人に絡んで頂けた! (ますます好きになりました。) 「ウマ娘」の話に入る。 ウマ娘は毎日走っている! スマホゲーム、DMM GAMESなどで・・・ おそらく端末

第51話:話題に出てくる(謎の)カタカナ語(2021年の回顧)

一昨年のネット流行語100(2021)の年間大賞は 「ウマ娘 プリティーダービー」だった。 ご覧の通り「ウマ娘」関係だらけ(笑) 一方、今年は・・・ 年間大賞はウタ(UTA)だった。 ワンピースが流行ったからね・・・ 「ウマ娘」関係は、ほとんど消えた! 94位の「タイトルホルダー」は実馬の話で、 上半期とても強かったからだ(秋には「凱旋門賞」にも出走した!)。 (なお、ウマ娘では実装されていない競走馬である。) それでは、「ウマ娘」のブームは去ったのか?

第52話:馬・車・船・飛行機・インターネット(言語というミサイル、仮想空間における暴力、対人、戦争)

人類の祖先が走った瞬間、「はやさ」を感じた。 原始時代の人々は身体能力というよりも、むしろ頭脳で大型生物に挑んだ。 集団による戦闘力の行使は、時にマンモスをも打ち破った。 その頃の馬は専ら食糧の対象であった。 「認知革命」後も、動物が動物を追っかけていた。 (やがて人は定住か(帝国、文明)、遊牧かの道(野蛮、非文明)を辿ることになった。) 牧畜、農耕、(動物の)家畜化 人(ヒト科のホモ・サピエンス)による「動物の仕分け作業」が始まった。 その中で馬は「特殊生物

第53話:馬は地球を一周する(地球は丸い競馬場)

いつの間にか馬が行けない場所はなくなった。 もともと馬が居なかった地域(日本列島やアメリカ大陸など)やサラブレッドが居なかった地域で、 現在は「競馬」が営まれている。 大陸の切れ目(障害)は船や飛行機によって繋がった。 競走馬は世界を一周できる時代となった。 地球は丸い競馬場と化したのである。 それは競馬、競馬ゲームどちらの側にも起こった。 現在における競馬先進国は自由主義的な民主主義国に多い。 競馬は「サラブレッドビジネス」とも絡んでいるので 自由貿易、国

第54話:無限の荒野を愛馬は走る(コラボの意味)

ゲームの売上のみが「ウマ娘」ではない。 企業とコラボすることによってゲーム会社は利益を上げることができる。 パズル&ドラゴンズやモンスターストライクがスマホゲームで未だに上位に位置しているのはコラボを行ってきたからである。 ふつうコラボは親会社系列や自社コラボ、同ジャンルまでが比較的行いやすいところであるが、 社会的ゲーム(ゲームの社会化)はどんなジャンル、企業ともコラボする。 以前、このテーマについて日本デジタルゲーム学会で、口頭発表を行ったことがある。 こうし

第55話:東京オリンピックとゲーム音楽(可視化された現代日本社会)

文明・文化・国民国家の見せ所である 「スポーツの祭典」オリンピックの開会式 そのために我が国が用意したのは・・・・ 古い新聞を取り出してみた。 2008年8月24日(朝日新聞、朝刊) タイトルは「北京五輪の終わりに」 (「空疎」でも関与が大切) 藤原帰一(東京大学教授、国際政治学) 15年前の記事だ。 内容を見ていく(若干編集)。 まず、一段目(国際社会とスポーツとは)。 「北京オリンピックを開いて良かったのか。 オリンピックを政治と切り離すことは不可能で

第56話:絵師(画師)・同人・なりきり

「ウマ娘」と絵(画)師、同人作品、なりきりは相性がいい。 ツイッター上で最も人気のある部類は絵(画)師、同人作品であると言ってもいい。 「ウマ娘」は可愛いを育てる文化が根にあるから、 「ウマ娘」を描くこと自体に魅力や価値が生まれる。 絵(画)師さんは自由に何を描くか、決める(設定する)ことが出来る。 同人作品(コマ漫画、小説、冊子)もそうである。 作品(元ネタ)に人気があれば、これらの分野にも新しいブームが芽生える。 何万、いや何十万とリツートやいいねがつく作品

第57話:競馬ファンとウマ娘ファン

「競馬ファン」と「ウマ娘ファン」に明確な違いはあるのか。 「可愛い(美少女)、競馬、育成」の3項目の中で、 「可愛い(美少女)」が従来までの競馬ゲームとの大きな違いである。 競馬ファンはこの「可愛い(美少女」」を受け入れられるのか。 分岐点がある。 逆にウマ娘ファンは「競馬(実馬、ギャンブル)」を許容できるのか。 ここには明らかな壁がある。 したがって、「競馬ファン」と「ウマ娘ファン」に違いがあると思われる。 前にも述べたが、どちらも人口数が多いので重複する人