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柴犬の未来

8年前のこと…16年飼っていた犬を亡くしてまだ3ヶ月しか経っておらず、ペットロスのどん底から這い上がる気力すら無いとき、夫に柴犬を買いにいこうと言われた。


あまりにも落ち込んでいたから全く気が乗らなかった。


家の前を通る犬の散歩している人を見るのも辛かった。ずっと気にならなかったのに急に家の前の電柱に「犬オシッコ禁止」の手作り看板を作ったりしていた。結局怖くて立てかけるにはいたらなかったが。


数週間後、今から犬を買いに行くよ!なんて気分では無い気分で夫と出掛けた。

うちの子となる運命の柴犬はペットショップでちょっと適齢期を逃したという理由で10万円で売られていた。

顔が見たいな、こっち見ないかな。。。と思って見守っていると身体の下にあるちょっとずれてしまったフリース素材の小さな敷物を自分の前足でくるくる回して整えたあと、その上でぐるっとあっち向いて寝てしまった。

それを見て、

地面でなく高い位置にある狭いケージの中でそれなりに独りでやっているかんじに泣きそうになった。

そこで暮らしている。
売られているのに。
値下げされているのに。
何もわからずに。
いじらしくてたまらない。

結局顔はよく分からなかった。


それから柴がうちにやって来るのは早かった。

ケージの中では自立していたのにいざ店員さんに外に出されると驚くほどプルプル震えていて、大丈夫か心配だった。でも犬を買うときはお店で元気な子は躾が大変だ、と聞いたことがあるのでこれくらいなら楽勝だとも思った。



それから8年の年月が流れ、洋犬のように甘えん坊で頭のよい柴犬が出来上がっている。


かけがえのない存在になって、今、心の大きな拠り処となっているこの子はペットショップにいたあの時のあの子だった。

#短歌

柴犬は
遠い未来がわからない
今を大事に
人もそうあれ

#現代短歌   #柴犬 #今日の短歌

#クリエイターフェス #犬

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