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青春の後ろ姿のその先26 〜遠野物語(柳田國男全集4)〜

 怪談でもなく、何かの教訓でもない。あやかしのものたちの話をよく採集したなあと思います。ほとんどメモと言ってもいいような短い話が次々に語られ、でもひとつひとつが魅力に溢れています。
 民俗学は大学院から大学院にかけて、少しだけ学びました。どちらかと言うと折口信夫の方です。ずいぶん折口は読みました。
 民俗学が、例えば日本文学や中国文学のように、学問の下位分野としていまひとつ確立していないのが昔から謎です。
 ちなみに遠野には今からもう5年ほど前、文芸部の生徒たちを連れて一泊二日で行きました。レンタサイクルであちこち走り回っただけなんですけど、あの美しい風景と妖怪たちが息づいた世界に、生徒たちはすっかり引き込まれているようで、大人から見たら何もない真夏の田舎に過ぎないはずが、生徒たちの目にはとても豊かな世界に映ったようで、夢中で自転車で遠野の町を疾走していました。
 田舎で何もない、というのは、都会にはないものが全てある、ということでもある気がしました。


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