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ひよこクラブVol.19 ひよこ先生たちは、名演技者たれ(前篇)

①必ずチャイムと同時に授業開始する。
②毎休み時間に教室に行って生徒とおしゃべりする。
③毎朝、早めに教室前やフロアに立って生徒に「おはよう」する。
④がんがん授業見学する。
⑤HR見学する。
⑥いろんな授業法を試してみる。
⑦何でもばしばし動く。
⑧授業やHRの始業と終業の挨拶は、必ず全身を生徒に見せて行う。
⑨毎回、必ずフルネームで生徒の出席を取る。
⑩問いかけ以外は「わかりやすさ」が大切。

 今回は

⑩「問いかけ以外は『わかりやすさ』が大切」

です。

 その昔、どれぐらい昔かというと、昭和の50年ごろ、1970年代ぐらいのころ、教室では、巨人戦(プロ野球)の行方が翌日の教室の雰囲気を大きく左右していました。
 巨人が負けた翌日は担任の先生の機嫌がとても悪いので、とにかくいい子にしておく。巨人が勝った翌日は担任の先生の機嫌がすこぶる良いのでまあまあ多少のことなら何とか許してもらえるからリラックスして過ごせる。

 あるいはまた、うちの担任は元気すぎて花瓶割ったりしてもごめんなさいして片付けさえきちんとすれば軽い注意で済んだ。やんちゃな男子がケンカしても諭しはしたけれど決して怒ったりしなかった。でも、ズルばっかりは絶対に許さない。めちゃくちゃ怒って教室の窓がビリビリ震えるぐらいの大声で僕らを叱った。

 あるいはまた、うちの担任は怒りの沸点が限界に達するまでにスリーステップあって、第1段階は笑顔で軽く「お〜い!いっかあ、話しやめろお」と言うだけ。第2段階は、オーバーアクション気味にこちらを振り返って、しばらく黙ってただこちらを見る。かなりやばい。第3段階は「うっせえなあおい」と半ばひとりごとのように必ず2回静かに口にする。それでもうちらの態度が改まらなかったら、次はもう大変なことになる。

 かつて、生徒たちは先生のそんなわかりやすいシグナルを読み取って、日々刻々と変化する先生と渉(わた)りあっていました。そこには緩急があって、生徒たちは緊張しっぱなしでもなく、緩みすぎることもなく、教室で過ごしていました。

 教員と生徒は常に視線を交わします。教員は常に不特定多数の生徒の視線に晒されているので、誰もみていないと思っても、必ずどの生徒かは見ています。そして驚くほど敏感に教員の気分を読み取ろうとしています。よく先生同士の会話で
「生徒は本当によく見ているよね」
と言うセリフが交わされますが、まさにその通りです。

 そういう意味では教員は「見られる仕事」です。だとすると、自分がどんな見た目で、どんな印象を人に与えるのかは、日ごろから意識しておかなければなりません。時々、バラエティーなんかのテレビ番組で本物の先生が登場しますが、中には見るからに「?」と感じざるを得ないような、ギャグとしか思えないような仕草や表情や見た目の先生が登場したりしませんか?(もちろんここで述べている「見た目」は、身だしなみが整っているいないのレベルの話です。)
 例えば、何日も同じものを着ている結果、匂いがやばい、特に夏なんかは耐え難い異臭を放っている、とか、真っ黒な指の爪でプリントを配るとか。。。
 映画やアニメやバラエティー的には濃すぎるキャラとして成り立つので、ありだとは思いますが、現実にこんな人がいたら?
 社会人としてどうよ、と思えるような人もいないわけではありません。
 ですからそういう意味で「見られる仕事」なんだということを意識する必要はあります。

 そして大切なことは、そんな先生を「見ている」のは生徒たちです。生徒からどう見られているのか、それは人気があるとかないとか、よく思われているとか嫌われているとか、こわもてとか優しそうとか、そういうことではなく、

「読み取りやすい先生か、何を考えているかわからない先生か」

 そういう意味で生徒からどう見られているか、常に意識する必要があります。

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