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映画の話94 バニラスカイ

 主人公のデヴィッドと共に、最後までどこが現実でどこ夢か、何が真実で、何が嘘なのか、わからないままですが、それを決めるのがデヴィッド自身であるのと同じように、観ている者もまたそれを決めることを突きつけられます。そこが一番面白いところです。
 マスクを被り顔を失った男は、まさにアイデンティティを失った者の象徴のようです。周りから見たその異様さや、本人の苦悩、混乱ぶりも、無い物ねだりばかりしたり、自分を持たないと、こうなるよ、と言われているような気がしました。
 落ち着かない感じにさせられる映画ですが、ものすごく深くて気になって、繰り返し観てしまいます。

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