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社会人2年目、限界を知った話

僕は保育士として働いている。
今年度は新人がいないため僕は2年目だがまだ一番後輩という立場だ。
一年目僕は、特に大きな失敗もなく、学ぶことはたくさんあったが、それなりに順調な社会人生活を送っていた。
だからこそ、僕は「自分ならできる」と天狗になっていた、過信していたのだ。
でもそれは自分の実力ではなく、上司や先輩方に守られて支えてもらっていたからこそだったのだ。

僕はある行事(夏の縁日)の担当になった。僕はその準備期間で沢山の失敗を経験した。凄く辛くて悲しくて、自分のことが心底情けないと思った。
でも、その中で沢山のことを学んだ。今回はその話をしようと思う。

この行事の準備が始まったのは梅雨に入る少し前のことだ。
社会人として初めての行事の係、しかも年間の中でも大きな行事だ。
緊張と不安と期待ですでに頭はいっぱいだった。
会議が始まり、昨年度の振り返りから今年度の大まかな案が決定された。
僕にも仕事が割り振られた。クラスの事はもちろん、動画編集が得意な事もあり動画作成も任せてもらった。
頼られ信頼されているようで嬉しかった。

その行事では、本番の前に職員はもちろん子ども達も参加して準備を行う。
もちろん僕1人ではなく、クラスの職員が協力して行う。
だが、ここで僕は大きなミスを犯す。
"情報の共有不足"
自分やクラスとして何を用意するのか、締め切りはいつなのかなどだ。
準備の一歩目からミスをしてしまった。
だが、その時の僕はまだそれがのちに致命傷になることに気づいていない。
それは本番2ヶ月前だった。

2回目の会議でさらに詳しいことが決定された。
子ども達の参加する準備物の制作方法、職員が用意するもの。
かなりの量だった。
その時僕は思った。「こんなに準備できるのか」と。
その時僕の頭の中に誰かに頼るという選択肢はなかった。
その後行事のリーダーにこう言われた。「この行事の一階フロアはほぼ貴方のクラスがメインだから、色々決めてね」
僕は驚いた。「そんな事できるわけない」
これは言い訳だが、僕は2年目でそこまで器用な人間ではないから、通常業務で手一杯だった。
当然だが、まず日常の保育がありその上での行事でないといけないと言うのに、保育に対しての余裕がなくなってしまった。
この時の僕のミスは
"助けを求めなかった事"
できないヤツだと思われたくなかったのだ。
本番まで残り1ヶ月。

本番に向けて、1階フロア全体で予行練習を兼ねた遊びを行った。僕は余裕のない中なんとか乗り切ろうとしたが、遊びを仕切る中でパニックになってしまった。
すると、他クラスの先輩が声をかけてくれた。「次に何するかを、まず職員に伝えるといいよ」
その一言のおかげで、僕はなんとかその活動を最後まで行うことが出来た。
退勤後、その先輩に会い感謝を伝えた。
するとその先輩は「全然いいよ!困ったら声かけて」
僕は涙が出そうだった。
行事の準備を行う中で、なんとなく先輩に頼りづらさがあり、全て自分で行おうと張り詰めて切れかけていた糸をそっとゆるめてくれたように感じた。
僕はこう聞いた。
「どうやったらもっといい活動ができますか?」
先輩は退勤後だというのにも関わらずゆっくりと丁寧に話を聞いてくれて返答をくれた。
この時僕は気づいた。
"人に頼る事はダメな事じゃない"

それから僕はその日のうちに自分のクラスの先輩方に、謝罪と相談のLINEを送った。
すると、先輩方はすぐに答えてくれた。色々な案をくれた。後日話も聞いてくれた。
「やる事あったら言って、手伝うから!」
この言葉に本当に救われた。
この時僕は気づいた。
"頼るには情報共有がすごく大切だ"

その日からメモ書きやグループチャットでの共有を行い、最終確認を行う3回目の会議になんとか全ての準備を間に合わせることができた。
本番まであと2週間。

完成した物を使い、遊びやダンスを日常の活動にも取り入れていた結果、子どもたちは本番をすごく楽しみながら行事に参加できていたように思う。
本当によかった。僕も先輩方もこの子ども達の笑顔を見るために、子ども達の新たな学び、経験のために頑張っていたのだ。子ども達が楽しく遊んだそれが何よりの成功だ。

最後に

僕には限界があった。
学生時代、何度か行事の実行委員などをやったことがある。
その時は僕1人が仕切り全員に全てを共有しなくても回っていたし成功もしていた。
だが、大人になり社会に出て行う事で1人でできる事なんて本当に少ないのだと知った。

自分の限界を知った時僕は凄く辛かった。なぜこんなにも出来ないのか、なぜこんなにも不甲斐ないのか。
自分はもっとできる。きっとなんとかなる。乗り越えられる。
そう自分に言い聞かせて一日一日を送っていた。

だが、大抵そういう時はうまくいかない。
じゃあどうしたらうまくいくのか、それは人に頼る事だった。とても簡単そうな事だが、これが僕にはとても難しかった。

自分の手では届かない事をする時、誰かと手を繋げば今よりも大きな物に手が届く。

取り組む行事が大きくなったのならその分関わる人も多くなり、チームとして挑めば1人でやるよりもいいものが作れる。
そして、乗り越えた先に少し成長した自分が待っている。
今回の失敗で僕はそれを学んだ。次の挑戦では一体何が学べるのか僕は今から楽しみだ。

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