『砂の器』と実験工房
獅子文六のことを少し調べていたら、彼のパリ留学時代は、第一次大戦後で、フランが円に比べて安く(ユーロのはるか前の時代、為念)、日本人が留学しやすい環境が整っていたという話が出てきて、フランスもそうだったのかとちょっと驚いた。
というのも、その時代、つまり第一次大戦後のヴェルサイユ条約の下、ドイツ・マルクが暴落し、日本からの留学がしやすかったという話をどこかで聞き齧った記憶があったからだ。京都学派の精鋭たちが次々とドイツに行き、長期滞在することができた一因はそれだったというこ