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誰かのためにとなりすぎた少年の末路。

今日も雨・・・

雨の日はどうしても気分が下がる。

嫌な思い出が蘇るからだ。

カメレオンのように誰にでも合わせてしまう僕。
だが、コミュニケーション力は無い。

力を入れすぎていつも立ち止まってしまう。


中学生の僕には何も無かった。
何もできなかった。

雨の日の全校集会の最中
急に体育館に放送が鳴り響く

『それがしさん、それがしさん、至急職員室に来てください。』

周りからの視線
何をやったんだ?

そんな圧が凄かった。

職員室に行ったら
一本電話が来ていた。

それは親父からだった。
「悪い申し訳ないけど、母の調子がおかしいから家に戻って欲しい」と

先生に事情を伝え
家に帰宅をしようとした。

その日は急に雨に変わったから
傘も差さず走る僕。

家に着いたら
部屋の風景はいつもと違っていた。

リビングのテーブルや椅子や
食卓のもの、全てひっくりがえっていた。

「・・・!?」

状況が理解できなかった。

手を洗おうとシンクへ・・・

シンクは割れた食器まみれだった。
後から聞いた話だが、むしゃくしゃしてグラスや食器をシンクに投げつけたという。

14歳の中学生の少年は
感情がよくわからなくなった。

ゴミ箱を見ると
異常な量の薬や医療用麻薬の後。

母親は倒れていた。

「母さん、母さん、」

声をかけると意識を朦朧としている声

「おかえり」

だけ言って
薬の作用で寝たのがわかった。

とりあえず全部治す僕。

シンクの周りにはガラスの破片が飛び散っていて
足に刺さる。

沸々と湧き立つイライラと

なんかどうでも良くなる

「虚無感」

無言で片す僕
手を切りながら片付け

数時間がたったころ
片付け終わった。

やっと終わった・・・

と思った頃、母は起き上がった
急に台所へ。

片付けたことに有難うは無く

手に取ったのは包丁だった。

包丁を持ちながら僕の元に来た母

僕を押さえつけ、
僕の顔もとに包丁を突きつけた。

「薬を出せ」

と、一言

何が起きたのかわからなかった。
目の前に包丁の先端がある恐怖。

ああ、死ぬのかなと思いながら

「薬なんてない。知らない、
 知ってもいても言わない」

と答えた。

母は諦めたのか
包丁を下ろした途端
次は壁に思いっきり包丁を突き刺した。

「使えねえな」

この一言が今でも忘れられない。

母はそう言いまた寝床へ戻り
襖を力強く閉めたのだ。

うつ病のせいだと思っても
耐えられなくなった。

でも、そんな時に手を差し伸べてくれる人なんていない。
結局は自分1人でどうにかするしかないのだ。

中学生の僕は何度も思う
僕はいなくても何も変わらない。

誰も悲しまないと。

急に吹っ切れた。

落ちるまで落ちたのだろう。
それからだ、僕は考え込まなくなった。

僕が何かをして尽くしたとしても
感謝では無く

罵倒だったからだ。

でも今だから思う。
この経験があったからこそ
辛いと思う人に手を差し伸べたいのだ。

その苦しみを救ってあげれるなら。
自分が何かをできるならばと、

虚しくても何かを変えて行かなければいけないのだ

嫌だと思ってもやらなければならないのだ

言い訳しても、何も変わらないのだ。

だからこそ自分を変えるのだ
自分が変わらなければいけないのだ。

最後を救ってくれるのは自分の力だけなのだから
無駄と言われてもやるし

自分で無駄かどうか確かめたいのだ。

何もできない僕は思う
消えても消えなくても変わらない人生なら。

自分の思い描くように変えてやるのだと。

あなたとの出会いが
最高の出会いであると思われるために。


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