マガジンのカバー画像

青空物語

12
SF連載長編小説。 創作大賞2022に応募中です。 空気と水を作り出すナブンと食料を作り出すナルに分かれてしまった地球でその両方の血を受け継ぐ葵が繰り出す物語 地球から青空が…
運営しているクリエイター

#SF

青空物語 第1話 私たちの世界

青空物語 第1話 私たちの世界

索引第2話 期待と不安
第3話 旅立ち
第4話 視線
第5話 出会い
第6話 求めていたもの
第7話  地球の回復
第8話 言い伝え
第9話 思い
第10話 解き放たれた思い
第11話 希望  完

ーーーーーー

第1話 私たちの世界
地球から青空がなくなった時代。
青空がなくなっただけではなく、空を見ることがほとんどできなくなった時代。
この物語はそんな時代に青空を求めた人たちの話である。

もっとみる
青空物語 第7話 地球の回復

青空物語 第7話 地球の回復

前回のお話はこちらから

1話目に索引が載っています。1話目はこちら

ーーーーー
第7話 地球の回復
トラックに揺られて30分くらいでついた場所は広い農地だった。
空気も水もまともなものがないといわれるドームの外にありながらそこでは多くの木々と農作物が育っていた。
頭上にはまだ黒い蒸気が漂っているものの、その隙間から時折青空ものぞいた。

ユンが言うにはここから半径5キロは農地や森林になっていて

もっとみる
青空物語 第5話 出会い

青空物語 第5話 出会い

前回のお話はこちらから

1話目に索引が載っています。1話目はこちら

ーーーーーーーー

第5話 出会い

少年の名前はユンといった。
結構なスピードで馬は走っていく。
揺れる馬車の中で蒼は不安になりながらもクウの手が通常の温度になっていくのを感じていた。
それは危険が遠ざかったことを示していた。

もう危険は回避されたと頭では理解できても色々な疑問が湧き起こり彼女の心は落ち着かなかった。

もっとみる
青空物語 第4話 視線

青空物語 第4話 視線

前回のお話はこちらから

1話目に索引が載っています。1話目はこちら

ーーーーーーーー

第4話 視線
蒼とクウはナブンから遠く離れた都市、ナルの資料館のエントランスにいた。
ナルに到着したものの、その先に進む手段がなかったからだ。
本来ならば蒼の叔母の家の誰かが迎えに来るはずだったのだが、その人間はいなかった。

幸いナルの到着口のスタッフに、迎えが3−4時間遅れることが伝言されていたので、蒼

もっとみる
青空物語 第3話 旅立ち

青空物語 第3話 旅立ち

前回のお話はこちらから

1話目に索引が載っています。1話目はこちら

ーーーーー
第3話 旅立ち
「生きる選択は人によりますからワタシでもわかりませんが、確率でいうと」
「いや、確率計算しないで。余計に気になってくるから」
蒼がクウの口を押さえた。

「わかりました」
「クウはすぐなんでも正確に出したがるからなあ」
「いけませんか」
「大事だけど、ない方がいいこともある。ま、計算苦手な俺にとって

もっとみる
青空物語 第2話 期待と不安

青空物語 第2話 期待と不安

前回のお話はこちらから

ーーーーーーーー
第2話 期待と不安

「隆のところ、今年のトマトの収穫はどうだった?」
「んーじぃさんがいうにはさ、ちょっと実が小さかったって」
「去年と変わらずかあ」
「暑いからだっていってたな。俺もそう思うわ。この暑さの中で作業をやるのまじ、やだもん」
「作業もだけど、作物が可哀想」

「俺もかわいそう」
「・・そうね」
蒼は隆の気楽さに笑いながら続けた。

「これ

もっとみる